平手友梨奈の移籍後MV再生数が急伸、欅坂46からのソロ曲全てが200万再生突破の意外な背景とは
この年末年始を経て、平手友梨奈が昨年新事務所でリリースしたデジタルシングル2作のMV再生数が急伸した。その背景を紐解きたい。
まず、平手の過去のソロ曲MVを振り返ると、欅坂46時代の2016年3月公開『山手線』(Short Ver.)が2025年1月8日執筆時点で257万再生、同年8月公開『渋谷からPARCOが消えた日』(Short Ver.)が323万再生を突破している。グループ初期のカップリングソロ曲であることを考えると、十分立派な成績と言えるだろう。
次に、グループ時代最後のソロ曲MVとなったのが、2019年に配信リリースの『角を曲がる』で、976万再生を突破している。同曲は2018年公開の平手初主演映画『響 -HIBIKI-』の劇中でのみ聴くことが出来た幻の楽曲であったこと、楽曲配信リリースから約4ヵ月後に平手が電撃的にグループから離れたことも相まって、多くの注目を集めた。
平手がソロとなってからは、2020年にデジタルシングルとしてリリースされた『ダンスの理由』が990万再生を記録。グループから離れ約1年で公開された待望のMVであったこと、欅坂46時代からさらにダンスを進化させた渾身のメッセージソングだったことなどから、特大級のインパクトを放った。また、続く2021年のデジタルシングル『かけがえのない世界』MVも、平手が俳優業に主軸を移していた中で219万再生を記録している。
2024年9月に平手は、歌い手・Adoらが所属するクラウドナインに移籍すると、10月にデジタルシングル『bleeding love』をリリースした。前作から約3年のブランクの中でも、いずれの活動も無かった空白の期間が長く、同曲のプロモーションも最小限という状況で、公開から2ヵ月で50万再生ほどの推移を見せていた。
同年12月には、移籍後第2弾のデジタルシングルとして、変態紳士クラブ・GeG氏プロデュースのもと、エモーショナルなミディアムバラード『ALL I WANT』がリリースされた。MVではマフィアに扮した平手のジェンダーレスな悲恋を情緒的に映し出し、また平手最大の武器とも思われたダンスを封印しながらも、表現者・平手の只者ではない存在感が誇示されている。
『ALL I WANT』は先の年末年始を経てMV再生数が急伸し、前作『bleeding love』より早く100万再生を突破した。この急伸の背景には、『2024 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)など民放音楽番組への立て続けの出演があり、同曲MVコメント欄にはそれをきっかけに平手のファンになった、あるいは再び平手に注目することになったというファンのコメントも目立つ。また、LINE MUSIC『ミュージックビデオTop100』ウィークリー1位も獲得しており、そこからの流入もあるだろう。
さらに特筆すべきは、『ALL I WANT』MV再生数が急伸し始めた頃から、英語、中国語、韓国語、インドネシア語、スペイン語など海外からのコメントが一段と増えてきたことだ。特に印象的なのは、「中国で非常に好評を博し、グループ時代からの古いファンも戻っている」というコメントだ。
平手は欅坂46時代から熱烈な海外ファンを多く獲得していたが、2020年にソロとなって以降、約4年間は国内向けの俳優業がメインであり、海外から彼女のドラマや映画などの映像作品にアクセスすることは、楽曲のMVに触れることよりずっと困難な状況にあった。
そもそも欅坂46時代の海外ファンも、もとは世界を席巻するK-POPアーティストのファンで、欅坂46の従来にない力強いメッセージを体現するパフォーマンスにより、日本のアーティストに初めて興味を持ったという人々も多かった。ただ、平手がソロとなり音楽活動が限定的な中で、K-POPに戻っていった海外ファンがいたのも確かだ。それでも、『ALL I WANT』のMVは彼らを呼び戻す力を持っていた。
この年始、『ALL I WANT』MVの急伸に呼応するように前作『bleeding love』MVにも注目が集まり、現時点で『ALL I WANT』が255万再生、『bleeding love』が230万再生を突破。これで平手のソロ楽曲MVは、グループ時代を含め7作全てが200万再生を超えた。また、高評価は『ALL I WANT』が4.2万、『bleeding love』が3.2万で、再生数が同水準の『山手線』の1.6万、『渋谷からPARCOが消えた日』の2.1万を優に超える高い水準となっている。
この2曲の勢いはまだまだ加速し続けており、自身のキャリアハイ『ダンスの理由』にどこまで迫るのか見当がつかない。ちなみに『ALL I WANT』、『bleeding love』による平手への再注目も追い風となり、4年前に公開された『ダンスの理由』MVも再生されており、近いうちに1000万再生を超えそうだ。
俳優業を軸にしつつ、いずれの活動も無い期間が長かった平手だが、ソロアーティストとしてあらためて、ファンを引き寄せ呼び戻す表現者としての求心力は底知れないものがある。これまでのソロ楽曲の動向も注視しつつ、移籍後第3弾の楽曲への期待も膨らむばかりだ。
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