趣里主演・異色のリーガルドラマ『モンスター』誕生秘話「トラブルの理由をあえて曖昧に描く意味」
現在放送中のドラマ『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)。弁護士の主人公・神波亮子(趣里)がアイドルの歌詞盗作や精子提供といった多種多様な依頼を、どこかゲーム感覚で立ち向かう姿を描いたオリジナル脚本のリーガルドラマだ。依頼を解決して「はいそれで終了」とはならず、依頼人の人生はまだまだ続くことを示すヒューマンドラマ的な側面も持った内容となっている。前衛的かつ真新しいリーガルドラマ『モンスター』がどのように制作されているのかなど、プロデューサーを務める加藤春佳氏に話を聞いた。
まず本作誕生の経緯について「脚本を務める橋部敦子さんがこれまでリーガルドラマをやったことがなく、『橋部さんが描くリーガルドラマを見てみたい』『初挑戦だからこそ面白ものができるのでは?』という考えが背景にあります」と説明を始める。
「『法の下の平等』という言葉がありますが、橋部さんは『法を上から見る・俯瞰しているキャラクターがいても良いのでは?』『そういうキャラが描けるのであれば、これまでにない新しいリーガルドラマが制作できるのでは?』と話しており、その流れで神波亮子が生まれました。
亮子はお金のために働いているわけでも、かといって確固たる正義があるわけでもない。得体の知れない弁護士が依頼に挑んでいくリーガルドラマはあまりなく、この辺りは差別化につながると考えました。趣里さんにも『何を考えているかわからない』『だけど何を考えているのかを知りたい』と思わせるように演じてもらっています」
また、亮子の衣装についても言及する。加藤氏は「1つ亮子には明確なルールがあって、それは“基本的に手ぶら”というもの。『スマホ一台あれば資料を持ち歩く必要はないでしょ?』と考えているため、スマホと名刺くらいしか持ち歩かない。なので、亮子のポケットがある衣装を選ぶことが多いです」と話す。
続けて、「リーガルドラマというよりはヒューマンドラマとしての側面も強調しました。『亮子が依頼に至った経緯や被告との関係性など、依頼人に対してどのような視線を向けているのか』を通して、依頼人をはじめ周囲の人間の人生にいろいろ思いを馳せられるように意識しています」と語った。
亮子と杉浦義弘(ジェシー)のバディものでもある本作。亮子に振り回される時の杉浦の反応は毎回面白い。名コンビの2人ではあるが、キャスティングの経緯が気になるところ。
加藤氏は「趣里さんは猟奇的な役を演じることもあれば、『ブギウギ』(NHK総合系)では福来スズ子という天真爛漫な役を演じることもある。『趣里さんってどういう人ですか?』と聞かれた時にハッキリと答えられる人は少ないと思います」という。
「亮子は何を考えているのかがわからない人物です。亮子の得体の知れなさを表現してくれる役者さんとして適任であると感じました。また、橋部さんは脚本を描くうえで亮子の性格や言動を細かく記さずに趣里さんに委ねている部分があるのですが、制作側の期待を超える演技を毎日見せてくださるのでオファーして本当に良かったです」
次にジェシーのキャスティングの背景として「趣里さんと亮子の父親役として古田新太さんの出演が決まっていて、『この2人と一緒に誰が立っていたら面白いか?』を話し合っていた時、『ジェシーさんならワクワクしそう』と直観的に感じました」と振り返る。
「振り回されたり、難易度の高い依頼を引き受けたりなど、亮子の思いがけないアクションに、自然にツッコミやリアクションをする“視聴者の補助”になってくれる存在として杉浦というキャラを考えていました。『視聴者の共感を誘い、そのうえで感情を乗っけてもらえそうな杉浦役にはジェシーさんがピッタリでは?』と考えたことも背景にあります」
また、ジェシーの演技についても触れる加藤氏。
「バラエティ番組で培われたものなのか、遊びのパートにおいて他の出演者のアドリブに対するリアクションが早く、それでいて面白い。また、最初の本読みの段階で『え!?』というセリフが多いことから、監督から『え!?』のバリエーションを増やすように宿題を出されていました。ただ、その宿題も毎回満点で提出してくれています」
亮子に振り回される杉浦に同情してしまうと作品の軸がぶれる。しかし、杉浦は亮子に振り回されていても良い意味でかわいそうに見えない。それはジェシーだからこそ成立させられているのだろう。
精子提供をはじめ印象的なエピソードが多い中、ぞっとするラストだった1話『悪意の所在』に心をつかまれた視聴者は多い。1話に自殺教唆をテーマにした『悪意の所在』を持ってきた狙いは何なのか。
「1話ですが、最後まで見ると自ら命を絶った川野紗江(藤吉夏鈴)の背中を押したのは、カウンセラーの梅本ますみ(美波)かもしれない。ただ、川野を追い詰めた背景にはパワハラ上司の上岡弘一(戸田昌宏)の存在もあります。さらには、彼氏の塩屋遼(萩原利久)が暴言を吐いたことの影響も少なくない。とはいえ、そこに向かおうとしたのは川野自身の意思です。つまりは川野の選択には明確な理由があったわけでも、誰かの確実な悪意(殺意)があったわけでもない。
実際に世の中で起きているいろいろな事象の原因は1つではないですし、ハッキリとしていないことは往々にしてあります。本作でもそこは強調したかったところです。『依頼人に起きたトラブルの理由を明確にはせずに曖昧に描いていくドラマである』ということを示したかったため、『悪意の所在』を1話にした部分は大きいです」
また、演技やストーリーだけではなく『嘘と選択』『愛の末路』といったサブタイトルも印象的だ。小説のような短い文字数のサブタイトルにしている理由として、加藤氏は「サブタイトルはTVerやFODなどの配信サイトで表示されます。やはり地上波のドラマですので、地上波で視聴してくれた人がサブタイトルを見た時に、『このエピソードで描きたかったことはこういうことだよ』ということを伝えられるようなサブタイトルにしています」と細部までのこだわりを語る。
最後に「最終章に向けて、9話で環境汚染を引き起こしている疑いのある産廃処理場をどうにかしてほしいという依頼人が亮子のもとを訪れました。10話、そして最終話はこの依頼人と対峙していくことになります。亮子はこの事象の何を観ていくのか、また『モンスターとは何たるか』ということも考えてもらえればと思います」と締めた。
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