「マクロスF」のダブル歌姫並び立つ アニオタアナウンサー・吉田尚記が15周年を迎えたアニメミュージックの祭典に寄せる期待<ANIMAXMUSIX 2024 FALL>
2009年から始まったアニメミュージックの大型イベント「ANIMAXMUSIX」。15周年を迎える今年は11月23日(土)に神奈川・横浜アリーナにて開催される。司会進行を担当するのはアニメオタクで知られるニッポン放送のアナウンサー・吉田尚記。ANIMAXMUSIXの歴史を見続けてきた吉田に、アニメミュージックが人を惹きつける理由、15周年29開催目を迎える「ANIMAXMUSIX 2024 FALL」の見どころなどを聞いた。
90秒の制約がアニメミュージックに音楽の“流通革命”をもたらした
――毎年盛り上がりを増していくANIMAXMUSIXです。アニメミュージックが他の音楽と違う魅力を持つ理由はどこにあると思いますか?
アニメミュージックと他の音楽の違いについて真剣に考えたことがあって、出した答えは(オープニング、エンディングの)90秒バージョンの存在です。他の音楽は、R&B、ロック、演歌などジャンルでくくるじゃないですか。対してアニメミュージックは唯一尺で分類される音楽なんですよ。アニメのテーマ曲である時点で、必ずその曲の90秒バージョンが存在します。これって“音楽の流通革命”です。
例えばR&Bが好きという方は自然とR&Bばかり聴くことになりますが、アニメミュージックが好きという自意識を持っていると、90秒ソングの色々なジャンルの曲を聴けるんです。演歌でもロックでも、Creepy Nutsみたいな1コードで押してくる曲とか。その自由さこそ、アニメミュージックがこんなにも人を集める最大の理由だと思っています。90秒ってどんな実験的なものでも飽きずに聴ける絶妙な時間なんですよね。これを発明したことが、他の音楽ジャンルにはないポイントだと思います。
それに、音楽ってそれを聴いていたときの時代や思い出が蘇るじゃないですか。アニメミュージックの場合は作品に直結するので、だから共通体験で盛り上がるんです。そういう意味でも、アニメミュージックって機能的によくできていると思いますよね。
ANIMAXMUSIXはファンの“好きな気持ち”を最大限尊重している
――今回もANIMAXMUSIXの司会を担当され、本イベントを盛り上げる1人となります。アニメオタクである吉田さんにとって、ANIMAXMUSIXに携わることはどんな意味を持ちますか?
僕自身もストレートに楽しみですね。普通にお客さんだったアニオタがアナウンサーなっただけなので、なぜかステージにお客さんが1人いますっていう気持ちです(笑)。
ANIMAXMUSIXは「我々はこんなことまでちゃんと分かっているんだよ」みたいなことを、試しに来るのではなく、「ファンの“好きな気持ち”を最大限尊重します」という姿勢で来るんです。アニメオタクを舐めていない。僕も皆さんと同じアニメオタクですし、その一員になれるのは光栄なことだと思っています。アニメミュージック好きの方でテンションが上がらない人はいないでしょう。
――アニメミュージックのイベントやフェスは他に数多くありますが、ANIMAXMUSIXならではの魅力というのはどういうところに感じますか?
ANIMAXMUSIXって、その日全体を通して、“縦の流れ”を作る意識がすごく強いイベントだと思います。オープニングとエンディングがあって、誰がどのタイミングでどう出てくるかというのにすごく作戦がある。何も考えずにやっているイベントだと、例えば15分ずつアーティストが次々にステージに出てきてセットリストをやって、それで終わりとなりがちなんですよね。
ANIMAXMUSIXは、デュエットでの組み合わせ、カバーコーナーでの曲、コラボもこのタイミングでこれが来るかっていうのを演出が意図を激しく持ってやっているのを感じます。
あとは1日の開催時間。最近はもう振り切って、長いことはいいことだってなっていますよね(笑)。今回も14時30分スタートでイベントは6時間。それだけでもとんでもないのに、朝9時からロビーは開場していて、DJ和さんが12時までDJタイムをやっているというのがあります。
――そういったお客さんも一緒に参加できる距離感の近さもANIMAXMUSIXの特徴ですね。
そうですね。大型イベントの中ではだいぶその傾向が強いと思います。選曲もお客さんからの受け付けを行っているし、NEXTEAGE(ネクステージ)という登竜門的な前イベントもお客さん参加型ですね。今年は渋谷ストリームで開催されましたが、イベント後にオンラインの視聴者投票で選ばれたアーティストがANIMAXMUSIXへの出演権を勝ち取るというガチ勝負です。
今回は大渕野々花さんに決定しましたが、彼女は横浜アリーナ規模でやるにはまだ世間に見つかっていないアニメミュージックのアーティストです。でも、こういう発掘イベントを作ることで、まだノーチェックだった人との新しい出会いが生まれるんです。音楽界のすごいアーティストがアニメソングを担当するようになったことも嬉しいですが、新しい原石にもスポットを当ててほしい。NEXTEAGEはこれからのアーティストとそれを応援したいファンに応えてくれるいいシステムですね。
―今回の目玉企画に「CHARACTER SONG SELECCTION」というコーナーがありますが、これはどういったものなのでしょうか?
これは僕も聞いていなくて未知の企画なんですが、「キャラソン」と銘打った企画は今までなかったんじゃないのかと思います。ここに来てそういうコーナーを作るのはまた絶妙にずらしてきているなと感心しますね。キャラソンは演じていたキャストが歌うものなので、じゃあ、アーティストによるカバーキャラソンなのか? 全く未知ですね。オーイシマサヨシさんがキャラソンを歌う世界線が生まれたりするのかも? 楽しみにしています。
アニメミュージック界の歴史と未来が詰まった「ANIMAXMUSIX 2024 FALL」
――今回の出演者の中で、吉田さんが特に注目されているアーティストは誰になりますか?
出演者全員が注目ですが、さらにいうならば、先ほど話したNEXTAGE枠の大渕野々花さん。彼女のステージを初めて見る方もいると思います。それと、今回ならでは言えば15周年記念のスペシャルアーティストで参加のKOTOKOさん、中川翔子さん。KOTOKOさんはR指定ゲームの世界からスタートして人気を築いた我々世界での重要な歴史的人物で、中川さんは逆に表舞台の人なのに我々の日陰の世界のことを全て知っているというレジェンドです。
初参加では「ラブライブ!」からのLiella!がANIMAXMUSIXのステージでどういう見え方をするのかは注目ですし、Ave Mujicaも。僕、Ave Mujicaは来年騒ぎになる予感がしているので、今の段階で見ておけば自慢できるんじゃないのかなと思います。加えて、どこにでもいるオーイシマサヨシ。僕は15年来の付き合いになりますが、その頃はまだ今のポジションではなく、いつの間にかこちらのシーンの人という認知になっていて(笑)。アーティスト力は今がマックス高いですし、そもそも歌も演奏もMCもめちゃくちゃ上手い。エンターテインメント精神がものすごい方なので必ず面白くして帰っていくんじゃないのかと思います(笑)。
無観客となったコロナ禍…それでも“音楽は続いていく”というメッセージ
――初開催から今年で15周年。振り返ってみて、今までのANIMAXMUSIXで印象に残っている出来事は何がありますか?
コロナ禍での無観客オンライン開催となった2021年ですね。TRUEさんが「DREAM SOLISTER」を歌っていたとき。「音楽は続いていく」のフレーズに入った瞬間、有明アリーナのスクリーンにその歌詞がバーンと出て、それはむちゃくちゃ格好よかったし、感動しました。無観客ですよ。そこに「音楽は続いていく」と出て、あれはすごく印象に残っています。ああいう演出をやるのはANIMAXMUSIXらしさでもあるんじゃないのかなと思います。
出演者でいうと、直近開催になりますが今年3月のSPRING。レジェンド枠で出演だったMay’nさんのステージで「ライオン」のイントロが流れて、当然、お客さんはぶわー!っと盛り上がるんですけど、そこにサプライズで中島愛さんも現れて。「本物来た!」ってドッカンですよ。あのシーンは「おお!」ってなりましたね。「マクロスF」のダブル歌姫がここで並び立つって、誰も予想していなかったと思います。今回もこういうサプライズがあるのかどうなのか。きっと何かをやってくれると期待しています。
――最後に、15周年29開催目となった「ANIMAXMUSIX 2024 FALL」に参加する方々へメッセージをお願いします。
6時間のイベントの中で、ちょっとトイレに…なんていうステージは1つもありません。休憩時間はちゃんとありますが、心してご来場ください(笑)。生配信(Lemino)もありますので、遠方でお越しになれないという方はぜひそちらのほうで楽しんでいただければと思います。これ、コロナ禍でのオンライン配信から生まれたもので、僕も参加できなかったときに生配信で見ていたんですが、音がめちゃくちゃいいです。配信のライブ音でこんなにすごいのかと。自宅で生ライブを聴く感覚なので、きっと満足できると思います。
当日、(司会で)盛り上げるためにしっかり寝て行きますので、皆さんも十分に睡眠をとって、体調を万全にして緒に盛り上がりましょう。
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