『海のはじまり』最終話 水季からの手紙、そして海と一緒に生きていく夏の「選択」
Snow Manの目黒蓮が主演を務めるTVドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)の最終話が、9月23日に放送された。
これまでは、在りし日の水季(古川琴音)と海(泉谷星奈)の回想シーンで始まるのが定石だったが、最終エピソードとなる第12話では、夏(目黒蓮)、水季、海が三人で仲睦まじく朝を迎えている様子が描かれる。ひょっとしたらあり得たかもしれない、もう一つの世界線。
おそらく、二人だけの新生活を頑張ろうとする夏の振る舞いに、「ママがいない人になっている」と海がショックを受ける前回のエピソードを踏まえたオープニングなのだろう。いきなり心を掴まれてしまう幕開けだ。(以下、ドラマのネタバレを含みます)
物語は、リスタートを切った夏と海の二人の生活を丁寧に描いていく。そんな父娘を、夏の母・ゆき子(西田尚美)や、水季の母・朱音(大竹しのぶ)は優しく気遣い、明日への英気を養ってもらおうと、ご飯をつくる。そう、今回のエピソードで印象的なのは、とにかくご飯を食べるシーンが非常に多いことだ。
キャラクターが会話をする設定として食卓を囲むのではなく、食事そのものが人間の営みにとって一番大切なのだ、と言わんばかりの演出。最終回であっても、『海のはじまり』はカタルシスを発動させるためだけの展開には舵を切らない。日々の生活を丹念に抽出し、丁寧に描くことで、ドラマとしての強度を高めている。
最終回では、水季が夏に宛てた手紙の内容が明かされる。
「一人で海を育てた訳じゃないよ。たくさんの人に助けられてきました。たまに夏くんにいてほしいと思うことはあったけど、全然大丈夫でした。海と海を大切にしてくれる人がいたからです。その人たちは絶対夏くんのことも大切にしてくれます。一緒に過ごした人も場所も、海や夏くんのことを忘れません。頼って、甘えてください」
一人でもがくのではなく、誰かに頼ること。きちんと、自分のことを労わってあげること。おそらく脚本を務めた生方美久は、現実の世界で子育てに奮闘している人たちに向けて、そんな想いを込めてシナリオを執筆したのではないか。日曜に会社に出ることになってしまった夏のために、弥生(有村架純)、津野(池松壮亮)、大和(木戸大聖)たちが彼の自宅にやってくるのは、夏が「頼って、甘える」ことを選択したからだろう。
「親から子どもへの一番の愛情って、選択肢をあげることだと思う。海には、自分の足で、自分の選んだ道を進んで欲しい。夏くんには、おおーきくなっていく海の足音を、後ろから見守って欲しいです」水季もまた、海の「選択」を夏に託していた。このドラマは、夏の「選択」のドラマであると同時に、海の「選択」を見守るドラマでもあったのだ。そして手紙は、こんな風に結ばれる。
「海はどこから始まっているか知っていますか?(中略)始まりは曖昧で、終わりはきっとない。今まで夏くんが、いつからか海のパパになっていて、今そこにいない私は、いなくなっても海のママです。父親らしいことなんてできなくていいよ。ただ、一緒にいて。いつかいなくなっても、一緒にいたことが幸せだったと思えるように」
筆者は、間違っていた。このドラマは、主人公がどのように娘と向き合い、どのように父親としての自覚をもち、どのように二人で暮らしていくかを、“はっきり”と、“明確”に「選択」させる作品だと思い込んでいた。「選択」に受動的だった夏が能動的になることで、彼の成長を分かりやすく明示する作品だと思い込んでいた。
だが実際には、ゆっくりと時間をかけて海と向き合い、さまざまな感情のグラデーションのなかで熟考を重ね、気がつけば父親になっていく物語だった。「選択」は本作の重要なモチーフだが、それ自体がドラマをドラマティックに高揚させるトリガーではない。
このドラマは、ご都合主義的なストーリーに流されることなく、どこまでもキャラクターの心情に寄り添っていく。「選択」というテーマすらも、カタルシスの道具に利用しない。その誠実さ、その真摯さが、『海のはじまり』というドラマを特別なものにせしめている。
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