THE ORAL CIGARETTES 山中拓也が自身の今の思いを吐露「同じ想いを抱える人たちに寄り添うことが、自分の一番の役割」
人間の闇の部分から目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド、THE ORAL CIGARETTESのボーカリスト山中拓也が、泣き虫だった幼少期から、「クズだった」という学生時代、そして音楽や死生観までをも包み隠さず綴った初著書「他がままに生かされて」の重版を記念した出版記念トークイベントを開催。イベント終了後に改めて、彼に書籍のことから、音楽を生む原動力、30歳という節目の年を迎えての“今”について話を聞いた。
「最悪やけど、最高の人生やな!」って思いました
――THE ORAL CIGARETTESとしては、4月から5th Album『SUCK MY WORLD』の世界観を表現した展示とトークを行う「TALK & MUSEUM TOUR」を開催されていますが、今回はひとりでのトークイベントでした。いかがでしたか?
自分の人生について2時間弱も話すことはなかなかないので、新鮮味を感じつつ、「みんな喜んでくれているのかな?」という不安も感じつつでした。でも、トークだけでも集まってくれる人がいることには、感謝しかないですね。
――歌は人の心を動かすドラマですが、そんな歌を作る山中さんの人生もまた、ドラマチックだなと思いました。30年の人生を振り返ると、どんな人生といえますか?
「最悪やけど、最高の人生やな!」って思いました。原因不明の病気で死にそうになった時は絶望したし最悪だったけれど、こうしてアーティスト活動ができて、曲が書けているのは、自分の感情を揺り動かす出来事があったからなんですよね。今に繋がった人生がちゃんと送れていて、ひとつも無駄はなかったです。
――感覚としては、もう30歳? まだ30歳?
「もう30歳」でしょうか。原因不明の病気がなぜか治って、10年生きているけれど、いつ自分の命がなくなってもおかしくない。今は本当にありがたい余生みたいなタームだと思っているんです。「ロックスターは27歳で死ぬ」という年齢を超えて、「ちゃんと生きられた」というのは感じています(笑)。そのおかげで「これはやっておいた方がいい」という判断がしやすくなった。すごくありがたいギフトだなと思っています。
ロックスターとしては、「真面目じゃねーよ」と言いたい(笑)
――「ロックは弱い人間が鳴らす音楽だ」と常々おっしゃっていますが、本書を読んで、山中さんにとって「もがく」ことが音楽を生み出すパワーになっているのでは……と思いました。
もがいたり、誰かの絶望を背負うことが、作品が生まれる時の喜びや、誰かがその作品を聴いて笑ってくれる喜びにつながっているんですよね……。人生って8割しんどいでしょ? だから2割の楽しいことを見つけると達成感があるし、喜びもある。しんどい人生で良かったなと思っています。
――こうやってお話を聞いて、思いました。優しいし、真面目ですよね?
そうですか? ロックスターとしては、「真面目じゃねーよ」と言いたい(笑)。でもこれが自分だから、この性格で人が救えるならそれを受け入れて、それを活かして何ができるかを考えた方がいいと思うようになりました。
「綺麗事」って言われるかもしれないけれど、綺麗事にはめちゃめちゃ説得力がある
――山中さんにとって曲を作ることは誰かに伝えること、自分を吐き出すこと、どちらの側面が大きいのでしょうか。
どっちもですね。でも、「自分の経験が誰かの人生に作用する」ということをすごく考えています。さっき話題に出た優しさや真面目さを持っている人って、苦しんでる人に多い気がするんです。自分が苦しんでいるからこそ、人の痛みを知ることができる。同じ想いを抱える人たちに寄り添うことが、自分の一番の役割だと感じているんです。
だから歌詞には自分の体験やその時の思いをなるべく正直に書いて、「僕はこうやって乗り越えたよ」ってメッセージを自分が確認しながら伝えています。そうすると書き終えた時に自分で「これで正解だ」って思えるし、出したあとも「誰かのためになってよかった」と思えるから。
――でも、「人の人生に作用する」って、ちょっと怖いことでもありますよね。
そうですね。以前、東京の交差点の真ん中で、40歳ぐらいの方に「拓也さんの MCを聞いて転職を決意しました。新しい人生に踏み出せて、今、人生がめちゃめちゃ楽しいです」って言われたんです。あまりにもびっくりして「ありがとうございます」しか言えなかったけれど、そういう大きな決断のきっかけを作ってしまっているんですよね。だからこそ、自分が書く言葉には責任を持ちたいと思ったんです。
「綺麗事やん」って言われるかもしれないけれど、綺麗事にはめちゃめちゃ説得力があるし、その説得力をいかに自分の人生を通して伝えていくかが大事。言葉ひとつに対する重みって、そういう経験から変わりました。言葉の力も強くなったけれど、その分、責任感も増した気はしています。
――今回は音楽ではなく書籍という形で言葉を残されていますが、音楽との違いとは?
歌詞や歌は、歌う声や譜割りで伝えられる部分も多いのですが、本は声が聴こえない分、相手に想像させなきゃいけない。だから自分の人間性や人物像が、より正確に伝わるように書くことが一番苦労したところです。
誰かと一緒に喜んだり、誰かが幸せな気持ちになるって事が自分にとっての幸せ
――「もっと自分の幸せを考えてもいいのでは?」と思うようになった……という一節がありましたが、山中さんにとっての幸せって?
人が喜んでくれること……じゃないですかね。でもその形も、変わってきています。最初は、「喜んでもらえるなら、命を削ってでもやる」という使命感みたいなものでやってたんです、(自身が大病を患い回復した後の)余生だし。
でもデビューから10年間バンドをやり続けて、自分たちの音楽を好きになってくれる人が増えて、「救われました」という声をもらえるようになると、「喜んでもらえて、自分も幸せ」という捉え方に変わっていって。誰かと一緒に喜んだり、誰かが幸せな気持ちになるって事が自分にとっての幸せなのかなって思います。
――自分が幸せになるためにすべきことは、何でしょう。
よくファンにも言うんです。「人のことを参考にするんじゃなくて、自分のことをよく知ることが自分の幸せへの近道だよ」って。何が幸せかって、人それぞれ。誰かと比べて「正解」を考えるんじゃなくて、自分がどういう時に喜びを感じたかを知ることが大事だと思います。
――「犬を飼い始めた」という項もありましたが、犬は山中さんを幸せにしてくれる存在のひとつなのでは?
可愛いんですよーー(ニコニコ)。犬を飼い始めて、ちょっとやそっとのことじゃ怒らなくなりました(笑)。何回もペットショップに行って、契約書を読んでビビって止めて……、飼うまでに1年かかりました。
運命の出会いだと感じて飼い始めたんですけれど、命を預かるのは大変。どんなに疲れて帰っても、お世話をしなくちゃいけない。「なんでこんなことせなあかんねん」って思いながら続けているうちに、心の豊かさや、命への愛情みたいなものを意識するようになって。そうしたら、ちょっとやそっとじゃ怒らなくなりました。昔はギターアンプを投げたりしてたのに(笑)。犬から教えられることは、多いですね。
自分で判断して、前を向いて生きていかなきゃいけない
――6月30日には、約1年ぶりの新曲「Red Criminal」がデジタルリリースとなりました。今作は、TVアニメ「SCARLET NEXUS」の第1クールオープニングテーマで、疾走感のあるギターとタイトなリズムが効いている楽曲は、勢いがありオーラルらしさに溢れています。同時に、山中さんが吐き出す言葉には、強さの中に切なさがあり、今日伺った著書のお話にも通じる、“聴いてくれる誰かのために”という思いも感じられましたが、ご自身は書かれる際にどんなことを考えていらっしゃいましたか。
この作品の脚本を読んだ時に、コロナ禍の今、みんなが思っていることと、主人公の葛藤がすごくマッチしているなと思ったんです。よく分からないウイルスが入ってきて、価値観が変わって、想像していた未来がどうなるのかもわからなくなってしまった今の時代。それでも人間はもがいて、自分で判断して、前を向いて生きていかなきゃいけない。「Red Criminal」を書く上で、それがキーワードになるなと思えたんです。
――確かに、歌詞からはアニメの世界観への共感も強く感じました。
「SCARLET NEXUS」の主人公は、自分の未来が絶望的であることをわかっている。でも、未来を変えるために自分の正義を曲げても闘うんです。それって、全ての人間に当てはまることじゃないかな?って。
――まさに今この時代だからこそ生まれた作品ですね。
そうですね。いい意味でアニメの世界観だけじゃなくて、今の世の中にも当てはまる。偶然かもしれないけれど、リアルとアニメ、どちらにも届くメッセージが書けたので、そこはすごく良かったなと思っています。
インタビュー&文=坂本ゆかり 写真=後藤利江
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