「パリピ孔明」実写化主演・向井理「本当に自分ができるのだろうか」不安が自信に変わった瞬間 特殊な役作りで挑む<インタビュー>
2023.09.26 17:00
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9月27日スタートのフジテレビ系水10ドラマ「パリピ孔明」(毎週水曜よる10時~ ※初回15分拡大)で主演を務める俳優の向井理(むかい・おさむ/41)にインタビュー。「本当に自分ができるのだろうか」と感じた不安・プレッシャーを乗り越え、今「絶対に度肝を抜ける作品ができた」と自信を持って言える理由とは―――。
向井理「パリピ孔明」に並々ならぬ覚悟
本作は、中国三国時代の名軍師・諸葛孔明(向井)が現代の渋谷に若かりし姿で転生し、歌手を目指す1人のアマチュアシンガー・月見英子(上白石萌歌)のために、魔法のような作戦を考えては、彼女の前に立ちはだかる壁を軍師のごとく切り崩し、成功に導いていくサクセスストーリー。原作は「ヤングマガジン」(講談社)にて現在も連載中の人気コミックだ。斬新な設定のストーリー、さらには人気作品の実写化。主演のオファーが来た時のことを、向井は「『なんで僕の方に来たのか』と思いました(笑)。今でもよく分かっていないんですけど、『41歳になってこういうことをやるのか』とびっくりはしました」と本音混じりで振り返る。
「でも、選んでくれた人に『この人にこれをやらせたら面白いんじゃないか』と思ってもらえたことは率直に幸せなことなので、あとはどれだけ現場で楽しめるかということだと思いました。単純に『パリピ孔明』というタイトルと孔明が出てきただけで出落ちにならないように、説得力を持ってやらないといけないと感じました」―――並々ならぬ覚悟を持ち、向井は新たな挑戦をすることを決めた。
不安とプレッシャーが消えたクランクイン日
しかし、台本を読んでさらに不安な気持ちが生まれてしまう。「どうやって実写化するんだろうという表現がたくさんあり、今までのドラマで見たことがないような広がり方をしている台本だったので、本当に自分ができるのだろうかという不安が1番大きかったです」今までに経験したことのないプレッシャーを感じる一方で、「逆にこれを映像化できたらとんでもないものができるんじゃないか」という期待もあった。そしてその期待が確信に変わったのが、クランクインの日だった。
菅原小春演じる人気シンガー・ミア西表のクラブでのライブを孔明が見ているシーン。実際にダンサーとしても活躍し、向井自身も以前から注目していたという菅原が表現するミア、そこに演出や照明が加わり、向井は「これを1話からやるなんて、なかなかすごい映像を撮っているな」と驚いたという。
その驚きとともに、向井の不安は消えた。「本当にミュージックビデオのようでしたし、『ワンシーンでここまでやるんだ』と思いました。それを見てクリエイティブさと同時に制作する人たちの本気度を感じたんです。『こっちも覚悟を決めてやらなきゃいけないな』と思うぐらいエネルギッシュなものを初日からガンガン撮っていたので、そこで不安はなくなりました」
「『この台本を忠実に皆で演じて作っていけば、こういうすごいものができるんだな』と感じた初日だったので、そこから一気に『とにかく現場を楽しもう』『このシーンを誰よりも先に見られる幸せを日々感じられるんだな』と思うようになりました。なのでミアのライブシーンからクランクインできたのはすごく自信に繋がりましたし、何より『こういう人たちと一緒にドラマを作っていけるんだな』と、スタートラインに立てた気がしてとても幸せでした」
向井理「パリピ孔明」で新たな役作りに挑戦
役作りにおいて向井が監督と最初に話し合ったのは、「孔明だけが転生して現代に来てしまった」という“時代の違い”をどう見せていくか。「ビジュアルに負けないぐらい異質じゃないといけないので、喋り方やセリフのトーンは細かく設定して、僕としても『こういう感じはどうですか』というのを監督にいくつか映像で提案しました。言ってしまえば、1人だけ1800年前からポーンと来ているという意味では時代劇なんです。『1人だけ時代劇をやることで違和感が生まれるので、時代劇をやってほしい』というオーダーを受け、『自分が今までやってきたキャラクターと通じるものがあるのかもしれないな』と思って、作品名とシーンをお伝えして、観ていただいて、イメージやベースをすり合わせていきました」自身がこれまで演じてきた役からヒントをもらい、新たな役へのイメージを構築する。この役作り方法は、普段の作品では「全然しない」とのこと。「普段の作品でも、監督とキャラクターについての話などはすごくしますし、『じゃあこういう感じだね』とお互いの共通認識は絶対に持つようにしています。ですが孔明は特殊なので『クランクインする前に明確に方向性を決めておかないといけないな』と今まで以上に思っていて。なかなか分かりやすい映像はないですし、提示するとそのキャラクターに寄ってしまうのであまり良いとは言えないですが、『時代劇』というキーワードをきっかけに、自分も時代劇に出ていたことがあるので提案しました」
その緻密な作業により、クランクインする前から孔明の方向性はある程度定めることができたそう。「孔明は立っているだけで違和感ですし、何をやっていても面白がられるのはラッキーだなと思います。ただスマホを触っているだけでおかしいし、現代のことをやればやるほどギャップがあって面白い。違和感が生まれるように、当たり前のようにやることをすごく計算しています。それを計算していないように見せるという匙加減が難しかったです」
向井理、芝居で大事にしているのは「嘘をつかないこと」「信じること」
これまでも、時代・年齢・背景の異なる様々なキャラクターを魅力的に演じてきた向井。どの役柄でも共通して意識していることを尋ねると、「嘘をつかないこと」と即答した。「キャラクターを『誰よりも疑わないで演る』ということです。それから周りのリアクションを大切にしています。孔明が立っていても、誰かが『なんか変なヤツがいる』と言わないと変なヤツにはならない。自分1人ではなく周りと一緒に作り上げていくものなので、共演者とのコミュニケーションも大事にしたいなと思っています。多少トーンの違いをつけたところで結局顔や体は自分のままなので、衣装やヘアメイクによるビジュアルに頼ること、嘘をつかないでお芝居をすることで切り替えています。そこには魔法があると思ってやっているので、信じることは1番大事なことかなと考えています」
上白石萌歌に抱いた安心感
撮影の真っ只中に実施された今回のインタビュー。向井は「打ち上げをやったらフェスになるんじゃないかというぐらい(笑)、よく集めたなと思うすごいミュージシャンの方たちが参加して一緒に作ってくださっています」と出演者の豪華さに感激した様子。「毎回すごい人たちが『この人がこのシーンで?』と思うようなところで出ているので、普段お会いすることのない人たちと同じ画面に映ってお芝居ができるというのはすごく新鮮でした」と生き生きとした表情で明かした。また、上白石が演じる英子を1番近くで見守り続けられる“楽しさ”も。「実際に歌手としても活動をされてるので、歌唱パートに関しては安心感もありました。回が進むにつれて、英子として、色々な葛藤を抱えてるシンガーとして、表立っては目立たないけど、カリスマ性のある歌声やパフォーマンスが研ぎ澄まされていく感じでした。これはある意味、1人の少女の成長物語なので、それを間近で見られることの楽しさがありました」
そんな上白石とのシーンでは「なるべく噛み合わないように」しているという。「孔明は淡々と自分の運命を一瞬で受け入れて『やっていくしかないな』と考えるタイプなんですけど、そこが周りの人とペースが違うし、何を考えているか分からないので理解してもらえないと思うんです。だから、なるべくセリフのやり取りは上手くいかないように気を付けています。敢えて外すと全然違うことになるので難しいですが、周りの人との掛け合いが上手く行っているようで行っていないというのが大事なのかなと。そのニュアンスの違いがシュールなコメディになっているんじゃないかなと思います」
向井理が感じた「パリピ孔明」の“総合力”
俳優からアーティストまで、年齢も異なる幅広いキャストが集結しているが、向井は「自分が置かれているキャラクターや立場を理解した上で最善を尽くそうとしている皆の姿、それをどうやってエンターテインメントとして消化していくかを最優先に考えている監督、それを良く撮ろうとするカメラマンと照明、良い音を録ろうとする音声、衣装とメイク…と、改めてドラマというのは総合力だなと思いました」とドラマチームが一丸となる日々の尊さを、座長として分析。「なかなかこういう作品には出会えないので、とにかく今は楽しんでやっています。クリエイティブで大変なことはありますが、現場の雰囲気は和気あいあいとしています。37度の中でロケをするという大変な撮影もやりましたけど(笑)、そういう中でも笑顔の絶えない現場で、すごく居心地が良いです」とリラックスした雰囲気で毎日撮影しているようだ。
「絶対に度肝を抜ける作品ができた」座長が持つ自信
さらに向井は、「『パリピ孔明』というタイトルはすごくキャッチーで分かりやすく、ビジュアル的にもコメディと思われがちですが、1人の女性が挫折して成長していく物語。他の周りの人も色々な挫折があります。孔明が計略を張り巡らせて最後にその説明をして伏線回収を毎回するという、1つのパッケージも完成していると思います」とストーリーの厚みに言及。「名前負けしない、むしろ名前の逆をつくようなドラマなので、タイトルの面白さやキャッチーさだけじゃないところをどんどん広めていかないといけないなと思います」と主演らしい意気込みを語った。「僕もいくつか音楽ものというジャンルの作品をやってきましたが、色々なジャンルの音楽がこれだけ贅沢に出てくるドラマを経験したことも観たことも聞いたこともないです。色々な人に刺さる音楽シーンがあり、音楽が好きな人だったら間違いなくこのドラマの面白さに気付いてもらえると思います。また、これから音楽に触れていく人もきっといるだろうし、このドラマをきっかけに『こういう音楽聴いてみたい』『フェスに行きたい』『クラブに行ってみたい』と思う人もいるだろうし、間口を広げるという意味でも画期的な作品です。
何より、僕も短くない期間お芝居の仕事をしていて、クオリティがここまで高いものはなかなか観たことがないです。毎回、フェスなどの音楽シーンは自分の出番がなくても観に行っているんですが、曲を聴いて泣く人の気持ちが分かるぐらい圧倒的な歌唱シーンです。歌も踊りも贅沢だなと思います。1話から小春ちゃんがあれだけ踊って歌っていた部分がただのワンシーンだと思うとぞっとするぐらい、贅沢に撮影時間や準備時間を設けてもらっています。
なので、毎回視聴者の方より先にそのシーンがフル尺で観られるというのが、僕の今の1番の楽しみです。それをさらにブラッシュアップした映像で色んな人に観てもらえるというのはすごく誇りでもありますし、反応が気になるというよりは、『絶対に度肝を抜ける作品ができたな』と日々撮影していく中で感じています」
向井理の夢を叶える秘訣
最後に向井に、モデルプレス恒例の“夢を叶える秘訣”を聞いた。「宝くじに当たるとかは別として、いきなり叶うことはないと思うんです。具体的なものが明確にあるんだったら、今目の前にあるものをとにかく一生懸命やる。それができない人は他のことも一生懸命できないと思います。
大きい仕事とか小さい仕事とか、それを決めるのは自分じゃないので、どんなものでも一生懸命やるのが1番大事だし、その結果やりたいことに近付いていくかもしれない。時にはちょっと遠回りするかもしれないけど、その遠回りが必要なこともあると考えています。
それから、僕には明確な夢があるわけじゃないですが、夢は叶ったら終わりじゃないと思うんです。人生はゲームのように全面クリアでエンディングにならないじゃないですか。『叶える』という意思は固くした方がいいですが、叶えてからの方がよっぽど大変だったり大事だったりすると思うので、それで終わりだと思わないことも重要だと思います。
よく『100m走を110mのつもりで走れ』と言われましたが、ゴールで終わりじゃないと思うんです。だから、叶えることは大前提で、その先をどう走っていくかということの方が大事な気はします。少し質問のお答えと逸れてしまったかもしれないですが、叶えること、そのために目の前のことを一生懸命やること、そしてその先も続くということを、僕はいつも意識しています」
(modelpress編集部)
向井理(むかい・おさむ)プロフィール
1982年2月7日生まれ、神奈川県出身。2006年に俳優デビュー。主な出演作に、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(2010年)、ドラマ「10の秘密」(カンテレ・フジテレビ系/2020年)「着飾る恋には理由があって」(TBS系/2021年)「先生のおとりよせ」(テレビ東京/2022年)「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系/2022年)「警部補ダイマジン」(テレビ朝日系/2023年)、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」(2022~2023年)など。
【Not Sponsored 記事】
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