要潤「挫折と苦悩があったと思います」 絵画指導受け臨んだ「まんぷく」出演<インタビュー>
2019.02.05 08:15
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女優の安藤サクラがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)に出演している俳優の要潤が、同作での印象に残っているシーンや今後の見どころについて語った。
『まんぷく』は、インスタントラーメンをこの世に生み出した日清食品の創業者で実業家・安藤百福(ももふく)とその妻・仁子(まさこ)の半生をモデルに、戦前から高度経済成長時代にかけての大阪を懸命に生き抜く夫婦の成功物語。物語のヒロイン・福子を安藤が、実業家の夫・萬平を長谷川博己が演じている。
要が演じているのは 克子の夫・ 香田忠彦。画家で穏やかな性格だが、「画商から依頼されるような商売用の絵は描かない」という芸術への強いこだわりを持つ。鳥を描くのが好きで、それが高じて自宅に大きな鳥小屋を作り、そこで何羽も飼っている。
普段からあまり感情を表に出さないタイプだが、心の中では妻の克子や四人の子どもたち、そして福子たち家族への深い愛情を秘めている。
以下、要のインタビュー。
かなり変わりました。やはり忠彦自身の成長を感じますね。リアルな父親像を含め、戦争を体験したということも大きいと思います。
それまでは寡黙で画家らしいというか、家族のことよりも芸術のことを考えるタイプでしたが、戦争を経験して命の尊さを感じ、生還できたたくましさも加わって、気持ちの中で家族への比重が大きくなっていったのかなと思います。タカ(岸井ゆきの)に対しては、年頃になっていくにつれて父親としてすごく心配が大きくなっていったのでしょう。自分の手から離れていくのが寂しい、という思いが強かったのだと思います。
また、目の負傷の影響ももちろんあるのでしょう。赤と緑の色の区別がつかなくなって、この先、絵が描けるかどうかという問題を抱えましたが、その壁を乗り越えてそれを自分の絵に生かしていこうとまた絵筆をとった。この心境については想像を絶するほどの挫折と苦悩があったと思います。まさにお先真っ暗という状態を打開していく原動力となったのは、家族の存在がすごく大きかったのだと思います。
忠彦は美人画を描き出しますが、「創作」という意味では、鳥を描くのも、美人を描くのも、本人の気持ちとしてはあまり変わりないんですよ。でも、周りが心配してくるので、それに対してのリアクションに、少しあわてているという印象です。当初から画家として大成していくことは聞いていたので、キャラクターとしてのイメージのずれはありませんでしたが、目を負傷した後、最初に魚を書き始めることや、それを青色だけで表現することには驚きがありました。
最近はなかなか本格的な絵の練習ができていませんが、時間があるときにスケッチ程度を続けるようにしています。例えば、筆の走らせ方は曲線と直線とでは違うので、絵画指導の先生のおっしゃったように練習しています。実は忠彦がアトリエで描いている絵は、あらかじめ先生が描いてくださっていて、撮影中、僕は最後を仕上げるだけなので、なんだか自分が上手になった気がして楽しいですね(笑)。
― これまで演じられてきたシーンで、特に印象に残っているものがあれば理由と共に教えてください。
やはり苦悩するところ……家族にきつく冷たく当たるシーンというのは演じていてもつらかったですし、忠彦がどうなっていくのだろうという不安も抱えながら演じました。タカに対して「画家の娘やろ、我慢せい」というようなことを言いますよね。冷静に考えると「それは違うんじゃないの?」と考えることができますが、その時はそこまで追い詰められていたのだと思います。僕がどんなに考えても、そのあたりの境地ってどんな気持ちなのかは、やはりわからないと思います。現代なら、例えば一つの職を失っても代わりがありますし、「ほかのことをしよう」とか「経験を生かして新しいことを始めよう」とか思える。でも、この時代はおそらくそんなに選択肢がなかったでしょうし、画業=人生の忠彦にとって「画家をやめたら自分はどうなるのだろう」という苦悩が続いていた時だったのだと思います。戦争を経験して地獄を見てきて、自分のクリエイティブな部分や人生について、あらためて考えさせられたことは、忠彦にとって大きなターニングポイントだったと思います。
芸術家すべてではないのかもしれませんが、忠彦は、特に不器用なキャラクターだと思います。そこにかわいげを感じるのだと思いますし、周囲から見て「ちょっと助けてあげたいな」と思えるところなのでしょうね。器用にいろいろな人と、付き合うタイプではないと思いますし、仕事もバリバリやっていくタイプでもないので、自分のペースとクリエイティブを大事にするというところが愛らしくも魅力的なところではないでしょうか。
忠彦は少し鈍感な部分もあるので、美人画のモデルについても「なにを心配してんの?」という感じだと思います。忠彦にとってはクリエイティブへの興味の方が勝っているんです。さらに50歳を超えているにも関わらず、克子(松下奈緒)から嫉妬されます。克子のそういうところはすごくかわいいなと思いますし、理想的ないい夫婦だなと思います。
今後は「どのような絵を描いていくか」ということも忠彦のテーマの一つとしてあります。世間に忠彦の絵が認められていくのか、萬平さん(長谷川博己)と福ちゃん(安藤サクラ)夫婦に対して忠彦なりにどうサポートして寄り添っていけるのか。僕自身も、ものすごく楽しみです。
― 毎日の放送を楽しみにしている、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
萬平さんと福ちゃんが、世の中をよくするためにと、成功や挫折を繰り返しながら即席ラーメンの研究開発をしていきます。これから佳境になればなるほど、すごく元気になるような、エネルギーがみなぎる回が増えてくると思いますし、視聴者の皆さんもグッと力が入るほど面白いんじゃないでしょうか。忠彦たち香田家もサポートしながら、いっしょにその目標に向かって突き進んでいきますし、より一層、家族愛が描かれているので心が温まると思います。また、忠彦の絵は、だんだん前衛的なアートになっていきます。美人画から、そこに向かっていくところが見どころだと思いますので楽しみにしていてください。
(modelpress編集部)
要が演じているのは 克子の夫・ 香田忠彦。画家で穏やかな性格だが、「画商から依頼されるような商売用の絵は描かない」という芸術への強いこだわりを持つ。鳥を描くのが好きで、それが高じて自宅に大きな鳥小屋を作り、そこで何羽も飼っている。
普段からあまり感情を表に出さないタイプだが、心の中では妻の克子や四人の子どもたち、そして福子たち家族への深い愛情を秘めている。
以下、要のインタビュー。
要潤、画家役で絵の練習も
― 物語が進んでいくにつれ、役柄に対する印象や演じるうえでの心境の変化がありましたら、教えてください。かなり変わりました。やはり忠彦自身の成長を感じますね。リアルな父親像を含め、戦争を体験したということも大きいと思います。
それまでは寡黙で画家らしいというか、家族のことよりも芸術のことを考えるタイプでしたが、戦争を経験して命の尊さを感じ、生還できたたくましさも加わって、気持ちの中で家族への比重が大きくなっていったのかなと思います。タカ(岸井ゆきの)に対しては、年頃になっていくにつれて父親としてすごく心配が大きくなっていったのでしょう。自分の手から離れていくのが寂しい、という思いが強かったのだと思います。
また、目の負傷の影響ももちろんあるのでしょう。赤と緑の色の区別がつかなくなって、この先、絵が描けるかどうかという問題を抱えましたが、その壁を乗り越えてそれを自分の絵に生かしていこうとまた絵筆をとった。この心境については想像を絶するほどの挫折と苦悩があったと思います。まさにお先真っ暗という状態を打開していく原動力となったのは、家族の存在がすごく大きかったのだと思います。
忠彦は美人画を描き出しますが、「創作」という意味では、鳥を描くのも、美人を描くのも、本人の気持ちとしてはあまり変わりないんですよ。でも、周りが心配してくるので、それに対してのリアクションに、少しあわてているという印象です。当初から画家として大成していくことは聞いていたので、キャラクターとしてのイメージのずれはありませんでしたが、目を負傷した後、最初に魚を書き始めることや、それを青色だけで表現することには驚きがありました。
最近はなかなか本格的な絵の練習ができていませんが、時間があるときにスケッチ程度を続けるようにしています。例えば、筆の走らせ方は曲線と直線とでは違うので、絵画指導の先生のおっしゃったように練習しています。実は忠彦がアトリエで描いている絵は、あらかじめ先生が描いてくださっていて、撮影中、僕は最後を仕上げるだけなので、なんだか自分が上手になった気がして楽しいですね(笑)。
― これまで演じられてきたシーンで、特に印象に残っているものがあれば理由と共に教えてください。
やはり苦悩するところ……家族にきつく冷たく当たるシーンというのは演じていてもつらかったですし、忠彦がどうなっていくのだろうという不安も抱えながら演じました。タカに対して「画家の娘やろ、我慢せい」というようなことを言いますよね。冷静に考えると「それは違うんじゃないの?」と考えることができますが、その時はそこまで追い詰められていたのだと思います。僕がどんなに考えても、そのあたりの境地ってどんな気持ちなのかは、やはりわからないと思います。現代なら、例えば一つの職を失っても代わりがありますし、「ほかのことをしよう」とか「経験を生かして新しいことを始めよう」とか思える。でも、この時代はおそらくそんなに選択肢がなかったでしょうし、画業=人生の忠彦にとって「画家をやめたら自分はどうなるのだろう」という苦悩が続いていた時だったのだと思います。戦争を経験して地獄を見てきて、自分のクリエイティブな部分や人生について、あらためて考えさせられたことは、忠彦にとって大きなターニングポイントだったと思います。
要潤が語るこれからの見どころ
― 番組の後半から終盤にかけての、演じられる役柄のみどころや注目ポイントを教えて下さい。芸術家すべてではないのかもしれませんが、忠彦は、特に不器用なキャラクターだと思います。そこにかわいげを感じるのだと思いますし、周囲から見て「ちょっと助けてあげたいな」と思えるところなのでしょうね。器用にいろいろな人と、付き合うタイプではないと思いますし、仕事もバリバリやっていくタイプでもないので、自分のペースとクリエイティブを大事にするというところが愛らしくも魅力的なところではないでしょうか。
忠彦は少し鈍感な部分もあるので、美人画のモデルについても「なにを心配してんの?」という感じだと思います。忠彦にとってはクリエイティブへの興味の方が勝っているんです。さらに50歳を超えているにも関わらず、克子(松下奈緒)から嫉妬されます。克子のそういうところはすごくかわいいなと思いますし、理想的ないい夫婦だなと思います。
今後は「どのような絵を描いていくか」ということも忠彦のテーマの一つとしてあります。世間に忠彦の絵が認められていくのか、萬平さん(長谷川博己)と福ちゃん(安藤サクラ)夫婦に対して忠彦なりにどうサポートして寄り添っていけるのか。僕自身も、ものすごく楽しみです。
― 毎日の放送を楽しみにしている、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
萬平さんと福ちゃんが、世の中をよくするためにと、成功や挫折を繰り返しながら即席ラーメンの研究開発をしていきます。これから佳境になればなるほど、すごく元気になるような、エネルギーがみなぎる回が増えてくると思いますし、視聴者の皆さんもグッと力が入るほど面白いんじゃないでしょうか。忠彦たち香田家もサポートしながら、いっしょにその目標に向かって突き進んでいきますし、より一層、家族愛が描かれているので心が温まると思います。また、忠彦の絵は、だんだん前衛的なアートになっていきます。美人画から、そこに向かっていくところが見どころだと思いますので楽しみにしていてください。
(modelpress編集部)
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