<木村拓哉インタビュー>“初めての挑戦”を選択する理由 初の刑事役に“ジレンマ”も
2019.01.14 18:00
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東野圭吾の人気ミステリー小説を映画化した「マスカレード・ホテル」(1月18日公開)で主演を務める俳優の木村拓哉(46)がインタビューに応じた。本作で木村が演じるのは、連続殺人事件を解決するためにホテルに潜入するエリート刑事・新田浩介。これまで様々な役柄を魅力的に演じてきた木村にとって、意外にも刑事役は今回が初。東野作品への参加も初となる。木村にとって“初めての挑戦に向き合う”ことへの思いとは――。
新田と共に事件の真相に迫る優秀なホテルマン・山岸尚美を演じるのは、今回が木村と初共演となる長澤まさみ。そのほか小日向文世、濱田岳、前田敦子、菜々緒、生瀬勝久、松たか子、渡部篤郎をはじめ豪華キャストが集結。
次々と現れる素性の知れない宿泊客を、刑事として疑う新田と、ホテルマンとしてお客様を信じる山岸―立場も性格も正反対、まさに“水と油”の異色のバディが屈指の難事件に挑む。
木村:刑事になれるという部分では非常にドキドキしましたし、嬉しさはありました。だけど実際は、捜査はしているんですけど潜入捜査ということで「刑事ってこういうのだったっけ?」という感じはありましたね。80%はホテルマンなので(笑)。そこに対するジレンマというか違和感のようなものがあったのですが、それは新田自身が持ちあわせる違和感にも繋がるものだと思いました。なので、自分の中で作品に参加するスイッチが入ってからは、僕も色々な形で都内のホテルにお世話になることが多いので、ホテルマンの所作や表情、対応、コミュニケーションにも意識がいくようになりましたね。ホテルの内装よりもホテルマンばかり見ていました。
― 実際のホテルマンの所作を参考にされていたんですね。
木村:はい。びっくりしたのが、長澤さんはじめホテルスタッフを演じたみなさんが、クランクイン前に研修を受けていたそうで、現場に行ったらすでに出来上がっていたんです。僕は一切聞いていなかったので、何でこんなに出来るんだろうと(笑)。現場では新田と山岸と全く同じように、長澤さんから「手はこの場所で組んでください」とかリアルにうかがっていました。
― 東野さんの作品に参加されるのも初めてとなります。
木村:原作は文句の付けどころがないほど面白いので、これをどう具現化するんだろうと。でも脚本が出来上がってきた時にそのバランス感覚がすごく取れていたなという感じがすごくありました。最終的な脚本になるまで、東野さんから「ここを変えさせてください」といったキャッチボールが何度かあったということを聞いていたので、原作を映画化するにあたってそこまでちゃんと付き添ってくださる方なんだなと。
東野さんの作品は面白いし、重さもしっかりとあるし、どの作品もワクワク出来る。お会いするまで、もしかしたら堅い人なのかと思っていたんですが、実際は自分が勝手に作り上げていた東野圭吾像とは全く違う方で、ものすごく温度の高い方。出来上がった作品を観るときに、東野さんも同じタイミングで観てくださっていたので、ご本人のリアクションがすごく気になったんですけど(笑)、「スクリーンの中に本当に新田がいました」ということをおっしゃっていただいて、作品の親からその言葉をいただけたのはすごく嬉しかったです。
木村:長澤さんは非常に存在感のある表現者で、女性としての魅力も抜群ですし、バックヤードではもちろん長澤さん本人なんですけど、セットに入った瞬間に尚美になるんです。彼女のその変化、変身に自分も反射した形で現場にいられた感じがします。だからそのシーンを撮るときには自然と新田と尚美の関係性になれていた。長澤さんがいてくれたので、自分も何かしなくては、というような前提が必要なかったように思います。
― 共演して、役へのアプローチの仕方などで感じた点はありますか?
木村:長澤さんはイメージ通りの美しさと本気度を持っている方でした。作品に対する向き合い方が理想的な方。初共演でしたが、彼女に対して自分が何か心配したりというようなことは一切なかったです。果たすべき責任を現場で120%で返す方なんだなというのは一緒に作業させていただいて思いました。
― では意外だと感じた部分はありましたか?
木村:本の読み方は、人それぞれ違うことがあっていいと思うんですけど、長澤さんは実際にお芝居をしてみたときに「あ、同じ読み方をしてくれてる」というのがすごく伝わってきましたね。
― 演じる役に対する捉え方が同じだったということですか?
木村:そうですね。それは松さんも同じなんです、昔から。なので、松さんと長澤さんのお二人はどんな感じになるのかなと思いながら僕は見ていたんですけど、長澤さんから松さんに対するリスペクトをすごく感じました。こういう関係性ってすごくいいなというお二人でしたね。
― 「HERO」でバディを組んだ松さんとの再共演はいかがでしたか?
木村:松さんも素晴らしいです。本当に参加してくれてありがとうね、という言葉を交わしたりしましたけど、学生だったような彼女から母親になった彼女まで全て知っているので不思議な感じもします。彼女も責任を持って作品に向き合ってくださる方ですし、同じ時間を過ごした分だけ他の方とは違う安心感がありました。
― 松さん含め、小日向文世さんや鈴木監督など「HERO」チームのみなさんと時を経てまた違った作品で集まることに対して感慨深いものがあるのでは?
木村:もちろんです。「HERO」に限らず、過去に共演したみなさんともう一度共同作業が出来る喜びはその都度ありますね。今回は色んな再会もありましたし、はじめましての方もいらっしゃいましたし、共演者ではあるんですけど、あまりにも顔ぶれがお祭りのようで。きっと客席でみなさんが感じるのと同じように、現場でも「お、今日はあいつが来た」「今度はあいつが来た」みたいな(笑)お祭りのような現場でした。
木村:今回いろんな「初」を経験したんですけど、この作品はずっとホテルの中の話なんです。普通、刑事というと事件解決に向けてどれだけ足で稼ぐかっていうのがあると思うんですけどすごくクローズな世界で。そういったシチュエーションも今回初めてでしたし、いろんな初が詰まった作品になったと思います。作品選びにおいても、初めてのことに挑戦する面白みというのは絶対的にありますね。それを自分がどう表現出来るか、自分がどういう形で全力を出せるかというのが初めてのものに挑む醍醐味だと思います。(modelpress編集部)
配給:東宝
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
原作:東野圭吾「マスカレード・ホテル」(集英社文庫刊)
出演:木村拓哉 長澤まさみ 小日向文世 菜々緒 生瀬勝久 松たか子 石橋 凌 渡部篤郎
<ストーリー>
都内で起こった3件の殺人事件。すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査が開始された。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)はその数字が次の犯行場所を示していることを解読し、ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突きとめる。しかし犯人への手掛かりは一切不明。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。
そして、彼の教育係に任命されたのは、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美(長澤まさみ)。次々と現れる素性の知れない宿泊客たちを前に、刑事として「犯人逮捕を第一優先」に掲げ、利用客の“仮面”を剥がそうとする新田と、ホテルマンとして「お客様の安全が第一優先」のポリシーから、利用客の“仮面”を守ろうとする尚美はまさに水と油。
お互いの立場の違いから幾度となく衝突する新田と尚美だったが、潜入捜査を進める中で、共にプロとしての価値観を理解しあうようになっていき、二人の間には次第に不思議な信頼関係が芽生えていく。そんな中、事件は急展開を迎える。追い込まれていく警察とホテル。果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは…。
次々と現れる素性の知れない宿泊客を、刑事として疑う新田と、ホテルマンとしてお客様を信じる山岸―立場も性格も正反対、まさに“水と油”の異色のバディが屈指の難事件に挑む。
木村拓哉、初の刑事役で“ジレンマ”
― 今回初めての刑事役となりました。ご自身では刑事役を演じることについて思うことはありましたか?木村:刑事になれるという部分では非常にドキドキしましたし、嬉しさはありました。だけど実際は、捜査はしているんですけど潜入捜査ということで「刑事ってこういうのだったっけ?」という感じはありましたね。80%はホテルマンなので(笑)。そこに対するジレンマというか違和感のようなものがあったのですが、それは新田自身が持ちあわせる違和感にも繋がるものだと思いました。なので、自分の中で作品に参加するスイッチが入ってからは、僕も色々な形で都内のホテルにお世話になることが多いので、ホテルマンの所作や表情、対応、コミュニケーションにも意識がいくようになりましたね。ホテルの内装よりもホテルマンばかり見ていました。
― 実際のホテルマンの所作を参考にされていたんですね。
木村:はい。びっくりしたのが、長澤さんはじめホテルスタッフを演じたみなさんが、クランクイン前に研修を受けていたそうで、現場に行ったらすでに出来上がっていたんです。僕は一切聞いていなかったので、何でこんなに出来るんだろうと(笑)。現場では新田と山岸と全く同じように、長澤さんから「手はこの場所で組んでください」とかリアルにうかがっていました。
― 東野さんの作品に参加されるのも初めてとなります。
木村:原作は文句の付けどころがないほど面白いので、これをどう具現化するんだろうと。でも脚本が出来上がってきた時にそのバランス感覚がすごく取れていたなという感じがすごくありました。最終的な脚本になるまで、東野さんから「ここを変えさせてください」といったキャッチボールが何度かあったということを聞いていたので、原作を映画化するにあたってそこまでちゃんと付き添ってくださる方なんだなと。
東野さんの作品は面白いし、重さもしっかりとあるし、どの作品もワクワク出来る。お会いするまで、もしかしたら堅い人なのかと思っていたんですが、実際は自分が勝手に作り上げていた東野圭吾像とは全く違う方で、ものすごく温度の高い方。出来上がった作品を観るときに、東野さんも同じタイミングで観てくださっていたので、ご本人のリアクションがすごく気になったんですけど(笑)、「スクリーンの中に本当に新田がいました」ということをおっしゃっていただいて、作品の親からその言葉をいただけたのはすごく嬉しかったです。
木村拓哉、長澤まさみ・松たか子との“共通点”とは
― バディを組む長澤さんとは初共演となりましたね。ご一緒した印象はいかがですか?木村:長澤さんは非常に存在感のある表現者で、女性としての魅力も抜群ですし、バックヤードではもちろん長澤さん本人なんですけど、セットに入った瞬間に尚美になるんです。彼女のその変化、変身に自分も反射した形で現場にいられた感じがします。だからそのシーンを撮るときには自然と新田と尚美の関係性になれていた。長澤さんがいてくれたので、自分も何かしなくては、というような前提が必要なかったように思います。
― 共演して、役へのアプローチの仕方などで感じた点はありますか?
木村:長澤さんはイメージ通りの美しさと本気度を持っている方でした。作品に対する向き合い方が理想的な方。初共演でしたが、彼女に対して自分が何か心配したりというようなことは一切なかったです。果たすべき責任を現場で120%で返す方なんだなというのは一緒に作業させていただいて思いました。
― では意外だと感じた部分はありましたか?
木村:本の読み方は、人それぞれ違うことがあっていいと思うんですけど、長澤さんは実際にお芝居をしてみたときに「あ、同じ読み方をしてくれてる」というのがすごく伝わってきましたね。
― 演じる役に対する捉え方が同じだったということですか?
木村:そうですね。それは松さんも同じなんです、昔から。なので、松さんと長澤さんのお二人はどんな感じになるのかなと思いながら僕は見ていたんですけど、長澤さんから松さんに対するリスペクトをすごく感じました。こういう関係性ってすごくいいなというお二人でしたね。
― 「HERO」でバディを組んだ松さんとの再共演はいかがでしたか?
木村:松さんも素晴らしいです。本当に参加してくれてありがとうね、という言葉を交わしたりしましたけど、学生だったような彼女から母親になった彼女まで全て知っているので不思議な感じもします。彼女も責任を持って作品に向き合ってくださる方ですし、同じ時間を過ごした分だけ他の方とは違う安心感がありました。
― 松さん含め、小日向文世さんや鈴木監督など「HERO」チームのみなさんと時を経てまた違った作品で集まることに対して感慨深いものがあるのでは?
木村:もちろんです。「HERO」に限らず、過去に共演したみなさんともう一度共同作業が出来る喜びはその都度ありますね。今回は色んな再会もありましたし、はじめましての方もいらっしゃいましたし、共演者ではあるんですけど、あまりにも顔ぶれがお祭りのようで。きっと客席でみなさんが感じるのと同じように、現場でも「お、今日はあいつが来た」「今度はあいつが来た」みたいな(笑)お祭りのような現場でした。
木村拓哉“初めての挑戦”への向き合い方
― 初共演の方もいらっしゃれば、先ほどもあったように初の刑事役、初の東野作品と、木村さんにとって初尽くしの作品になったと思います。初めてのことに挑むというのは木村さんの作品選びに何か関わってくることもあるんでしょうか?「初」というものに対してどう向き合っているのか教えてください。木村:今回いろんな「初」を経験したんですけど、この作品はずっとホテルの中の話なんです。普通、刑事というと事件解決に向けてどれだけ足で稼ぐかっていうのがあると思うんですけどすごくクローズな世界で。そういったシチュエーションも今回初めてでしたし、いろんな初が詰まった作品になったと思います。作品選びにおいても、初めてのことに挑戦する面白みというのは絶対的にありますね。それを自分がどう表現出来るか、自分がどういう形で全力を出せるかというのが初めてのものに挑む醍醐味だと思います。(modelpress編集部)
木村拓哉(きむら・たくや)プロフィール
1972年11月13日生まれ。東京都出身。1987年、ジャニーズ事務所に入所。近年の出演作はドラマ「アイムホーム」(2015年系、テレビ朝日)、「A LIFE~愛しき人~」(2017年、TBS系)、「BG~身辺警護人~」(2018年 、テレビ朝日系)、映画『無限の住人』(2017年)、映画『検察側の罪人』(2018年)のほか、『マスカレード・ホテル』(2019年1月18日公開)が控える。映画「マスカレード・ホテル」
公開:2019年1月18日配給:東宝
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
原作:東野圭吾「マスカレード・ホテル」(集英社文庫刊)
出演:木村拓哉 長澤まさみ 小日向文世 菜々緒 生瀬勝久 松たか子 石橋 凌 渡部篤郎
<ストーリー>
都内で起こった3件の殺人事件。すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査が開始された。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)はその数字が次の犯行場所を示していることを解読し、ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突きとめる。しかし犯人への手掛かりは一切不明。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。
そして、彼の教育係に任命されたのは、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美(長澤まさみ)。次々と現れる素性の知れない宿泊客たちを前に、刑事として「犯人逮捕を第一優先」に掲げ、利用客の“仮面”を剥がそうとする新田と、ホテルマンとして「お客様の安全が第一優先」のポリシーから、利用客の“仮面”を守ろうとする尚美はまさに水と油。
お互いの立場の違いから幾度となく衝突する新田と尚美だったが、潜入捜査を進める中で、共にプロとしての価値観を理解しあうようになっていき、二人の間には次第に不思議な信頼関係が芽生えていく。そんな中、事件は急展開を迎える。追い込まれていく警察とホテル。果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは…。
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