<柏木由紀「西郷どん」インタビュー>アイドルオーラを消して挑んだ初大河で得た成長…「毎日辛かった」撮影で支えになった存在
2018.10.14 20:45
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2018年大河ドラマ『西郷(せご)どん』(NHK総合 毎週日曜よる8時~)に出演するAKB48/NGT48の柏木由紀(かしわぎ・ゆき/27)がインタビューに応じた。今作は、『本の旅人』で連載された林真理子氏 の『西郷どん!』が原作。男にも女にも“日本史上最もモテた男”で、明治維新のヒーロー・西郷隆盛を描く。主人公の西郷隆盛を俳優の鈴木亮平が演じ、脚本は連続テレビ小説『花子とアン』などを手掛けた中園ミホ氏が担当。言わずと知れた鹿児島県出身の偉人・西郷隆盛の人生を描いた作品に同郷出身という縁から、大河ドラマ初出演を果たした柏木。吉之助(隆盛)の弟・吉二郎(渡部豪太)の妻・西郷園を好演中の彼女が、女優として確実に大きなターニングポイントとなったであろう大河出演で得たこととは?
柏木由紀「人生で一番緊張」「一生あんな思いはしたくない」と振り返る撮影初日
柏木は8月5日放送の第29回『三度目の結婚』より、主に西郷家のシーンに登場。第1回から自身も放送を観ていたという柏木は、最初の撮影の直前にオファーが来たといい、そのときの心境を「やっぱり放送が始まる前から地元の鹿児島の盛り上がりが凄かったので、まさか自分の地元が舞台になっているお話、しかも大河ドラマに出させて頂けるということにすごくびっくりして、嬉しかったです」と振り返り、「もちろん両親や身内、地元の友達、鹿児島の方は皆観ているので『頑張ってね』という鹿児島の言葉でドラマにも出てくる『チェスト』と言われたりしましたね」と周りの反応を明かした。
「かなり急に決まって急に撮影が始まった感じ」というだけに最初の撮影は「人生で一番緊張しました。オーディションよりも」と相当の緊張だったよう。アイドルとして紅白歌合戦など、様々な舞台を経験している柏木だが、大河ドラマ撮影現場となると別。
「前日は1時間も寝られなかったですね。夜も全然寝られなくてずっと頭の中で台本を繰り返していました。クランクインのときって絶対『西郷園役の柏木由紀さんです!』とスタッフさんが紹介するじゃないですか?あれがめちゃくちゃ緊張するんですよ(笑)。クランクイン前の撮影リハーサルにも参加できなくて現場の本番が本当に初めてだったので、それも重なって、緊張でほぼ記憶がないです(笑)。普段はメンバーと比べても全然緊張しない方なんですけど、さすがに初めての現場で初めての経験で、頼れる人もいないので、一生あんな思いしたくないというくらい(笑)」
柏木由紀が「最初から弱音を唯一吐けた」相手
緊張は数日間続いたといい、「今も結構近いぐらい緊張する」と笑う柏木だが、そんな日々に支えになった相手が、夫役の渡部。「吉二郎さんだけには言えたんですよ。『緊張してる?』と声をかけて下さって、『実は全然寝てなくて』『寝ないとダメだよ』みたいな(笑)。渡部さんがかなり(緊張を)和らげて下さったし、最初から弱音を唯一吐けて、かなり助けて頂きました」そして、渡部だけでなく西郷家のキャスト全体が温かく迎え入れてくれたことも大きかった。「皆さん1年ぐらい撮影されていて、私は後から入ったのですごく緊張していたんですけど、入りやすい空気感を作って下さったので、自然と後から入った感がほとんどないくらい、楽しく撮影に参加させて頂きました」と、語る顔は柔らかく、周りのキャストとの関係性が窺い知れた。
柏木由紀、“薩摩おごじょ”役は「自分の性格と合っている」
『いるだけで貧しい西郷家がパッと明るくなるような、非常にほっこりとした雰囲気の方で、鹿児島の女性にぴったりだと思いました。園は吉二郎を1歩、2歩下がって支える妻なので、ほっこりした感じがいいなと。そして薩摩おごじょ(鹿児島の女性)の要素も持っているということで決めさせていただきました』これは、出演発表の会見で制作統括の櫻井賢氏が柏木の起用理由について語ったことだが、”薩摩おごじょ”とは、優しく家を護る鹿児島の女性を指す言葉で、柏木自身も「薩摩の女の人は後ろに下がって男性を立てるような女性のイメージ。母や周りの鹿児島の女性を見ていても昔からそう感じることが多かったので、園さんも自分が理想としているような薩摩の女性だという印象を受けました」と周りの女性とその姿を重ねた。
自分と比べても「結構自分が『これやろう』とかはあまり言えないタイプなので、そういう意味では周りがやっていることを応援するとか皆がやっていることを手伝うとか、すごく自分の性格と合っているなと思います。やっていて無理はないですね」と共感できる部分も多いといい、「滅多に表に出ることはないですけど、どうやったら皆のためになるかをすごく考えている人だなと思うので、やっていきながら西郷家のためとか人のためになることが嬉しいという感情が生まれます」と自然と考えが同化していったようだ。
夫・吉二郎(渡部豪太)と辛い別れ「すごく泣いてしまいました」
そして、10月7日に放送された第38回では、戊辰戦争で夫・吉二郎が命を落としてしまい、園にとっての大きなターニングポイントを迎えた。普段はとにかく笑いが絶えないという西郷家の現場も「かなり暗かったです(笑)。皆どんよりしていて鈴木さんも『しんどいね』って常におっしゃっているくらい」と同回の撮影中は空気が重かった。
一番苦労したシーンにも同回を真っ先にあげた柏木は、「本が1ヶ月くらい前に届いたんですけどかなり読み込んで、夜寝る前にずっと読んでいたので、睡眠と起床がいつも暗くて毎日辛かったです(笑)。読まなきゃ良いんですけど、読まないと不安で。毎日読みながら寝ていたら、寝るときも『はぁ』って思いながら寝て起きても『はぁ』って。1ヶ月位それを繰り返していたのでかなり大変でした」と苦笑い。
「歴史としてはもう知っていたことだったので、そのシーンが来るまでもどこかで頭の中にありながら撮影していたんですけど、実際本を客観的に読んだときはすごく泣いてしまいました。園として読んでも泣いちゃうくらい辛く悲しい回ではあるんですけど、『戦に出たい』という旦那さんの背中を押すということはなかなかできないことだと思うし、それができるのが薩摩の女性らしいと思いました。薩摩隼人(強気で頑固な鹿児島の男性)らしく、戦働きがしたいという吉二郎さんもすごくかっこいいなと思いましたし、この人と一緒になれて園さんは幸せだったんだろうなと。本を読んでいる段階では、あんまり気持ちが追いつかなかったというか『本当にこんな背中を押せるのかな』と思っていたんですけど、撮影のときの吉二郎さんの表情を見たら『この人が勇気を出して初めて言ったことを応援できるのは自分しかいない』と現場で実感しましたし、亡くなったことを聞いたときも『私が送り出してしまったから』という後悔よりかは『よく頑張りましたね、お疲れ様でした』という気持ちが結構素直に出てきました」という撮影の裏には、やはり渡部の支えがあった。
「そのシーンについてというよりかは最初の撮影のときから空き時間に他愛ないことを話していることが撮影の距離感に活かされたり、撮影中もセリフがないところでアドリブで話すところが結構あるんですけど、そういうときにも積極的に声を掛けて下さったり、夫婦の関係を出せるようにすごくリードして下さったので、すごく渡部さんに助けていただきました」
主演・鈴木亮平からの言葉に「尊敬の意しかありません」
主演の鈴木の存在も大きかった。「クランクインしてすぐに鈴木さんが『何か分からないことや気になること、言いたいことがあったら、後から入ってきたということで遠慮せずに、何でも自分でも良いから言って下さい』というようなことをおっしゃって下さって、それがすごく心強かったし、今も支えになっています」といい、実際に戊辰戦争のシーンでは相談。「こういう気持ちを持つともっと自然にこのシーンに入り込める」と園の目線に立ったアドバイスも受けたといい、「鈴木さんは常に周りの共演者の方に目を配っていらっしゃっているので、その人柄に尊敬の意しかありません」と力強く続けた。
アイドルオーラを消して挑む「気づかなかった」の声に「嬉しい」
時代背景に合わせ、ほぼすっぴんの肌を黒く塗り、質素な着物姿で家を守る園の姿は、ステージでトップアイドルとして輝く柏木の普段の姿とはかなりかけ離れており、「気づかなかった」「違和感ない」「とても自然」と反響が寄せられている。記者から「褒め言葉として聞いて頂きたいんですけど、アイドルオーラが全部消えていて、会見のときも資料を見るまで柏木さんだと気づかなかった」と声をかけられると、「本当ですか?嬉しい(笑)」と目を丸くして喜んだ柏木。「アイドルとかAKB48のイメージで見られるのは仕方ないけど、ドラマを観ている中では西郷家の1人の“西郷園”として観られなければいけないと思うし、自然と馴染めれば良いなと思っています」と覚悟を口にし、「最初の頃は本当に肌を黒く塗るだけでメイクを何もしていなかったので、『これ大丈夫かな?』っていう不安はあったんですけど(笑)、そうやっておっしゃって頂けたので良かったのかな」と表情に安堵感が見えた。
ファンやメンバーの反応を聞くと、「『赤ちゃんの抱っこの仕方が下手くそ』とはすごく言われました(笑)。兄弟がいないので近くで赤ちゃんと接する機会がほとんどなくて確かに自分で放送を観ても赤ちゃんに慣れていない感が若干出ていて、猛反省しました」と答え、「常に演技の仕事をしているわけじゃないので、現場に対して引け目に思うことはあるんですけど、とにかく迷惑をかけないようにしようと一生懸命です」と告白。
アイドル活動と並行しながらの撮影は苦労を感じざるを得ないが、「切り替えは確かに大変ではあるんですけど、大河だとあまりにかけ離れているので、かつらをつけて衣装を着るとすんなり入っていって振り切れるというか、それは普通の現代ドラマと違って入りやすい」という一面もある。
「演技への苦手意識が強い」柏木由紀が得た変化
AKB48といえばコンセプトの1つに「夢への通過点」をあげており、元々女優志望のメンバーも多いが、“一生アイドル”宣言をしている柏木は女優志望という訳ではない。しかしながらその自然体な演技への評価は高く、2013年にはテレビ東京ドラマ『ミエリーノ柏木』で主演をつとめあげた。今回、大河ドラマ出演という大きな経験を経て、女優業への思いに変化はなかったのだろうか。「元々演技への苦手意識が強いのもそうですし、やっぱり『女優』という肩書きではないので、こんな私が大河に出させて頂いていいのかっていう不安は今も常にある」という。
「こんな素敵なキャストの方とご一緒させて頂けるだけでもすごく自分の糧になるなと思いますし、最初はすごく緊張していたところから、今は皆に会ったり合間時間に話したりするのが楽しみになるくらい、“緊張”が“楽しい”と思えるようになったことがすごく自分の中で大きな変化だと思います」あくまで控えめに、でも、確実に彼女の心に大切なものを残した。
「かなり頼もしくたくましくなって」園の成長
「吉二郎さんと一緒にいるときの園はかなり控えめだったと思うんですけど、吉二郎さんが亡くなって以降は、子どもも大きくなって他の人の子どもの面倒も見るようになって、かなり頼もしくたくましくなって安心して観ることができる園になっているかな。西郷家を引っ張るまではいかないけど、支える役割をしていくと思います」という園と同じく、現場にも新たな仲間が加わっていき、「そういう意味では(あとから加わる側の)気持ちが分かるので、自分がして頂いたことを自分もその人に対して自然とできたらいいなとすごく思います」と先輩として現場を率いる1人となる。「『成長していかなきゃ』というよりは気がつくと『あ、そう言えば変わったな」という感じですね」と冷静に分析する表情は、すでに頼もしく、園とともに“女優・柏木由紀“の成長した姿を最後まで見届けたいと思った。(modelpress編集部)
柏木由紀(かしわぎ・ゆき)プロフィール
1991年7月15日生まれ、鹿児島県出身。愛称はゆきりん。2006年第3期、AKB48オーディションに合格。現在チームBに所属。2013年に『ショートケーキ』でソロデビュー。2014年4月より2015年5月までNMB48チームNと兼任。2015年よりNGT48チームNⅢと兼任中。選抜総選挙最高順位は2位(2015年、第7回)。2009年よりTBS系情報番組『ひるおび!』で務めているお天気お姉さんとして活躍するほか、抜群のプロポーションでグラビアに引っ張りだこで、2018年にはランジェリーブランド「Ravijour」の初代アンバサダーに就任。その卓越したパフォーマンス力は、後輩メンバーのお手本となっており、ソロアーティストとしては2016年には全5都市を回る全国ツアー、2018年1月、8月には上海公演、そして、さらに10月には重慶、台湾、香港でも公演を行い、AKB48グループ在籍中のメンバーとして単独で初の海外ツアーを行う。女優として主な出演歴は、フジテレビ系ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』(2011)、同局系『タガーリン』(2013/主演)、テレビ朝日系『黒服物語』(2014)、テレビ東京『ミエリーノ柏木』(2013)、日本テレビ系『キャバすか学園』(2016)など。
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