渡辺大 (C)モデルプレス

“映画界注目”の渡辺大、海外映画祭での受賞が“大きな転機”に<モデルプレスインタビュー>

2018.10.15 10:00

主演映画「ウスケボーイズ」が10月20日に公開される俳優の渡辺大。同作で7月には「マドリード国際映画祭2018」にて外国語映画部門最優秀主演男優賞を受賞し、外国語映画部門最優秀作品賞とのW受賞。さらに、8月には、「アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018」で最優秀主演男優賞を連続受賞し、メガホンを執った柿崎ゆうじ監督も最優秀監督賞に輝いた。

同作は、日本の地でワイン用のぶどうを栽培するところから始まり、世界レベルの味にして日本ワインの常識を覆した革命児たちの実話をもとにしたストーリー。第16回小学館ノンフィクション大賞を受賞した河合香織著「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」を原作に映画化された。

俳優の渡辺謙を父に持ち、実妹は女優の杏。今、映画界で注目を集める渡辺に、海外映画祭での連続受賞や、授賞式に参加したことで心の中に起きた変化、父・渡辺謙が「ラストサムライ」にて助演男優賞にノミネートされたこともある米アカデミー賞への思いなど、インタビューを行った。

渡辺大(C)河合香織・小学館(C)2018 Kart Entertainment Co., Ltd.
渡辺大(C)河合香織・小学館(C)2018 Kart Entertainment Co., Ltd.

渡辺大、受賞に驚き「まさか主演男優賞を連続でいただけるとは」

― まずは、直近の話題として、8月の「アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018」のお話から聞かせてください。現地にはスケジュールの関係で行けなかったそうですが、受賞は柿崎監督からの連絡で知ったのですか?

授賞式に出席していた監督から、受賞した日に、LINEで連絡をいただきました。監督から「おめでとうございます」と言っていただき、監督も監督賞を取られていたので、「おめでとうございます」と伝えました。

― 最優秀主演男優賞と最優秀監督賞のW受賞を知ったときの心境は?

監督が監督賞を取られたことが嬉しかったです。僕自身は、まさか主演男優賞を連続でいただけるとは思っていなかったので、びっくりしました。

― 監督たちが日本に帰国したらどんな話をしたいですか?

オランダに行ったことがないので、どんなところか聞いてみたいです。コンペティションにかける品数もマドリードよりもアムステルダムの方が多かったと聞きましたので、授賞式の会場の雰囲気も知りたいです。あとは、受賞した喜びをみんなで共有したいなと思います。

渡辺大 (C)モデルプレス
渡辺大 (C)モデルプレス

マドリードで絶賛された「ウスケボーイズ」

― 7月の「マドリード国際映画祭2018」では現地に行かれていましたね。

マドリードには、20ヶ国くらいの方がいらっしゃったのかな。アジアの方もそうですし、ヨーロッパ、南米の方もいらっしゃって。日本にはなかなか来ないような作品もあり、「こういう映画を作る人がいるのだな」と非常に勉強になりました。

― “日本ワインの革命児たち”を描いた「ウスケボーイズ」には、マドリードではどんな声があがっていましたか?

「非常に楽しませていただいた」という声が多かったです。会話をしている流れを聞いていると、ヨーロッパの人と同じワインをどんな土地で作ろうと思っているのかなというところと、日本の風土や日本人が持っている考え方に興味を持っているようでした。また、この映画の終わりが現代にリンクするところもあるのですが、その先、どうなったのかをみんな知らないので、「現在の日本のワインはどうなっているのだ」ということを聞かれました。

― 映画祭で印象に残っているエピソードを教えてください。

監督がこの作品に登場する日本産ワイン「桔梗ヶ原メルロー」を何本か持ってきていて、受賞したお祝いにみんなにふるまっていました。「映画に登場していたワインはどんな味がするのだ」と興味がある方が飲みに来ていました。

渡辺大(C)河合香織・小学館(C)2018 Kart Entertainment Co., Ltd.
渡辺大(C)河合香織・小学館(C)2018 Kart Entertainment Co., Ltd.

渡辺大、授賞式での胸中

― マドリードでは、外国語映画部門最優秀作品賞を受賞されていました。作品賞で「ウスケボーイズ」のタイトルが告げられたときの心境から教えてください。

作品賞をもらうということは作品自体が興味を持っていただけたということなので、みんな喜びました。海外の人に認められたということは非常に有難いことですし、日本のモノづくりみたいなものも認めていただけたのかなと思うと、作品賞の方が嬉しかったですね。

― 外国語映画部門最優秀主演男優賞の方は?

いつも“気張ると、いい結果が出ない”といいますか、気負わずに平常心でいようと思いました。授賞式が5時間弱と長かったこともあり、ゆっくりと楽しみながら観ていました。ただ、長編の大きな賞が発表される最後の方は、“いよいよ”というところもあったのですが、それでも、気負わずに見て行こうかなと思っていました。そうしたら、名前を呼んでいただけました。非常に嬉しかったのですが、主演男優賞のあとに作品賞の発表が控えていました。この作品の場合は作品賞がメインだと思っていましたので、作品賞も取れるといいなと思っていました。主演男優賞をいただいたときは、喜び半分、作品賞への期待半分でした。

父・渡辺謙、妹・杏の反応は?

― マドリードでの授賞式の後、渡辺謙さんのロンドンでの舞台公演を観に行かれましたね。謙さんには会えましたか?

舞台が夜遅かったので、楽屋で10分から15分くらい、挨拶をして報告をしました。「おめでとうございました。がんばりましたね」など言ってくれました。僕も、あまりこういう節目で会うことがなかったので、そういうことを言ってもらえるのだなと嬉しかったです。

― アムステルダムでの受賞は謙さんには伝えましたか?

LINEで報告しました。「おめでとうございます」と言ってくれました。

― 海外の2つの映画祭での連続受賞は、杏さんには伝えましたか?

いや、妹とは、相変わらずといいますか(笑)普段と変わらず「次にいつ会うか」とか、そんな話ばかりをしています。お互いのことはお互いに見ていますので、言わなくてもいいかなと。

渡辺大 (C)モデルプレス
渡辺大 (C)モデルプレス

渡辺大のこだわり 芝居とドキュメンタリーの中間を目指した

― 「ウスケボーイズ」の撮影は、いつごろ、どこで行われたのですか?

撮影は去年の7月頭から20日間くらい、オール甲信越地方ロケです。僕のパートの撮影は、僕の役である岡本(英史)さん(劇中での渡辺の役名は「岡村」)の畑を借りて撮りました。カメラのフレームから外れたところで岡本さんが作業をしていました。

― 岡本さんに会われて感じられたことはありますか?

岡本さんは、それほど感情の起伏を見せる人ではありません。ただ、岡本さんがやっていることはものすごいエネルギーがいることです。僕は今回、本当にドキュメンタリーの延長だと思っていました。芝居といっていいのか分からないけど、地道に粘り強くやっていく岡本さんの情熱というものを、ちょうど芝居とドキュメンタリーの中間にあるところくらいで演じたいと思っていました。絵的には地味かもしれませんが、でも、それがのちのち美味しいワインに繋がっていきますので。

― 撮影中は岡本さんたちと飲み明かしたりしたのですか?

岡本さんたちとは、ほぼ毎日、監督主導で飲みに行きました。僕たちも撮影しながらワインの知識を入れている感じだったので、ワインのことを教わりながら、その日のことなどを語り合っていました。

― 岡本さんは完成した作品に対して、どうおっしゃっていましたか?

初号試写(=一番最初に行われる試写会、関係者らが招待される)のときに来てくださったのですが、そのときは軽くご挨拶をすることしかできませんでした。ただ、後日、別の人から、岡本さんが「すごい映画ができたよ」と嬉しそうに話していたと聞きました。実在する方々がたくさん出ているので、その方々が観てよかったと思える作品になればいいなと思って撮影していたので、本当に嬉しかったです。

渡辺大の「ウスケボーイズ」における挑戦とは?

― この作品における挑戦があったとしたら、それは何ですか?

この作品は、映画が公開されて終わるのではなく、日本にはワインに情熱をかける醸造家の方がいっぱいいらっしゃるということをみなさんに分かっていただきたいです。ワインが食卓に並ぶような文化を日本でもっと普及させ、日本ワインの認知がもっと上がることが最終目的地だと思っているところがあります。撮影についてはやり切ったので、今、映画の枠を超えて、国産ワインを浸透させることにチャレンジ中です。

― ご自身も、ワイン作りをしてみたいと思いますか?

やってみたいとは思いますが、年数がすごくかかりますから。あれをやりきる精神力はすごいと思います。

― 将来、お子さんから「畑を耕すところからワインづくりをやりたい!」と言われたら応援しますか?

いいんじゃないですかね。僕にはできないことなので、素直に羨ましいなと思います。今は、お米づくりなどだと家族で参加できるイベントが多いじゃないですか。日本の家族の方が農業などに携わることは悪くはないのではと思います。

― お子さんと一緒に畑に出ますか?

手伝います(笑)

海外での映画祭参加が転機に…米アカデミー賞への思い

― 今後のことについて教えてください。挑戦してみたいことは?

マドリード国際映画祭に参加させていただいて、世界には色々な作品があると感じました。日本は島国だから、海を渡ることに非常にボーダーを感じると思うのですが、今回、マドリードに行ってみて、そのボーダーが取れたといいますか、みんな同じ人間なのだなと感じました。そこに上や下があるわけではありませんし、いい作品を作ればリスペクトし合えるのだなと。そういうことを感じられてよかったです。

― マドリード国際映画祭への参加は、キャリアの中で、大きな転機になりそうですね。

そうですね。色々なことを吸収できた授賞式でした。

― 海外の作品にも、積極的に出演したいですか?

いい作品があったら、当たり前のように監督に会ってみたりとか、やってみたいなと思います。外国映画にも、チャンスがあったら、どんどんチャレンジしたいです。

― 米アカデミー賞に、興味は?

今回の件も興味があって参加できたわけではないのですが、いい仕事をして、いい縁があれば、そういう姿もどこかで見られるのではないかなと思います。とりあえず、今は、いい仕事をできるように頑張りたいです。それあっての賞だと思いますので。

海外の映画祭にて高く評価され、さらに「ボーダーが取れた」と語った渡辺大。日本映画界を牽引する俳優として、ますますの活躍に期待したい。(modelpress編集部)

渡辺大(わたなべ・だい)プロフィール

生年月日:1984年8月1日
血液型:A型
出身地:東京都
身長:185cm
特技:乗馬、殺陣
趣味:野球、ゴルフ

2002年にTXスペシャルドラマ「壬生義士伝~新撰組でいちばん強かった男~」で父である渡辺謙演じる吉村貫一郎の青年期役で俳優デビュー。主な出演作に映画「彼岸島」「サブイボマスク」ドラマではテレビ朝日「就活家族」などがある。今年は6月15日「空飛ぶタイヤ」、9月28日「散り椿」、そして10月20日には主演をつとめ、「ウスケボーイズ」が公開となる。さらに2020年公開の「峠 最後のサムライ」出演も決定している。

「ウスケボーイズ」では、「マドリード国際映画祭2018」にて外国語映画部門最優秀主演男優賞と外国語映画部門最優秀作品賞、「アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018」にて外国語映画部門最優秀主演男優賞と外国語映画部門最優秀監督賞を受賞した。
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