モデルプレスのインタビューに応じた登坂広臣(C)モデルプレス

<三代目JSB登坂広臣インタビュー>シンボルマークが「月」の理由は?不器用な自分だからこそ…「良い迷子」を経て“今”

2018.08.08 17:00

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの登坂広臣が、モデルプレスのインタビューに応じた。8月8日に、ソロとしてコンプリート・アルバム『FULL MOON』(ヨミ:フルムーン)をリリースした登坂。同アルバムを引っさげ、18日からは自身初のソロツアー「HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”」を開催する。同じく、三代目 J Soul Brothersのボーカル・今市隆二も、1日にコンプリート・アルバム『LIGHT>DARKNESS』(ヨミ:ライトダークネス)をリリース、11日からは自身初のソロツアー「RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2018 “LIGHT>DARKNESS”」をスタート。デビューしてから約8年、同じグループから同時期に2人のボーカリストがアリーナツアーを実施――グループとしてはもちろんだが、個々の活躍も勢いを増す中、このタイミングでのソロ活動にはどんな意味があるのか?“ボーカリスト・登坂広臣”の胸の内を探る。

登坂広臣にとって「月」とは?ヒントはメンバーから

― 2017年7月に、「HIROOMI TOSAKA」名義でソロプロジェクトを始動させた登坂さん。これまで配信シングルをリリースされてきましたが、今回アルバムという形でリリースとなります。

登坂:三代目の『FUTURE』(6月6日リリース)というアルバムにもソロディスクとして収録させていただいたんですけど、こうやって1枚のアルバムとしてリリースできるというのは、やっとという気持ちもありますし、単純に嬉しいなと思います。

― 「やっと」というのは、ソロ活動を始動させた頃から振り返って実感することでしょうか?

登坂:もっと前からだと思います。ソロプロジェクトとして始動したのは2017年ですけど、ソロの楽曲はもっと前から作っていましたし、グループのボーカルから外れて、ほかのアーティストとコラボレーションしたり、フューチャリングしたりすることは多かったので、自分の中ではその当時から意識していました。今回のアルバムは、自分自身も楽しみにしていました。

登坂広臣、コンプリート・アルバム『FULL MOON』(8月8日リリース)ジャケット写真(提供写真)
登坂広臣、コンプリート・アルバム『FULL MOON』(8月8日リリース)ジャケット写真(提供写真)
― 形に残るということに対し、特別な意識がある?

登坂:そうかもしれないです。ソロプロジェクトが始まったときから、月というテーマを持って、楽曲を制作してきましたが、『FUTURE』に入っていたディスクは三日月くらいのイメージで、コンプリート・アルバムで『FULL MOON』になるなというのはずっと決めていたんです。ソロプロジェクトはセルフプロデュースでやらせていただいているので、2年前から『FULL MOON』に向けて、少しずつやってきました。自分の中では、その頃からストーリーが出来上がっていて、それを思うと、今まで色々な形に変わってきた月が、いよいよ満月になるんだなって。今回のコンプリート・アルバムは、ソロアーティストとしての第一歩でもあり、一つの終着点でもある。それを形として皆さんに提示できるというのが嬉しいです。

― プロジェクト始動の際にシンボルマークとストーリーも同時に発表され、ソロで表現していくものというのは、当初からはっきりと提示されていましたね。

登坂:皆さんに分かりやすく象徴するものを提示したいと思っていました。月っていうのもそうですし、僕は臣と呼ばれることが多いので、「OMI」の「O」を月と連動させてロゴも一新しました。月の形も楽曲に合わせて変化させてきたので、それが今回のアルバムで満月になって、一つ完結したという感覚はあります。

登坂広臣(提供写真)
登坂広臣(提供写真)
― 最新のソロのアーティスト写真も青を基調としていて月を連想させます。

登坂:メンバーやファンの方に、「太陽と月なら月」「赤と青なら青」と表現されることが多かったんです。普段意識せずにメンバーに接している中で出ている雰囲気から言われているものだし、自分の性格を表しているというか、それがしっくりきて。月というテーマは色で表すと何色かな?と考えたら青。青い月になって、満月になるというのを、一つのゴールとして表現しました。

― 「太陽と月なら月」「赤と青なら青」というのは、いつ頃から言われていたことですか?

登坂:もう何年も前から(笑)。4年くらいですかね?最初、NAOTOさんが「赤い炎と青い炎があるとしたら、隆二が赤い炎で臣が青い炎だよね」と言っていて、確かにと思った記憶があります。

― 直接、そういったお話を?

登坂:2度目のアリーナツアーのとき、ツアードキュメントで一人ひとりがメンバーのことを話す機会があって、それを観ました。普段、メンバーとずっと一緒にいますけど、お互いのことを「こうだよね」と話すことってあまりないじゃないですか。だから、ドキュメントでほかのメンバーが話しているのを観るのは、自分ってこうなんだって改めて知ることができるので、楽しみでもあるんです。

あと、「太陽と月なら月」というのは隆二が昔2人でインタビューを受けたとき、例え話として出していたんです。それも確かにってすごく思ったし、ソロプロジェクトをやるときのヒントになりました。周りから見た自分を象徴するものを何か考えたときに、じゃあそれでやっていこうと。

― 自身でもフィットしたからこそ、記憶にあったんですね。

登坂:4、5年前のことなのに、ずっと頭に残っていたんですよね。多分、しっくりこなかったら聞き流していたと思います(笑)。

三代目JSBにとって2018年は「お互いがお互いのことを改めて認識し合える時期」

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス
― 月というテーマはツアーの演出でも表現していますか?

登坂:キーになっています。簡単に言うと、満月の夜に起こる出来事をエンターテインメント性をもって表現しました。

― ソロプロジェクトということで、ツアーの演出もすべてセルフプロデュースで。

登坂:はい、ベースを色々考えて、力になってくれるスタッフの方に協力していただきました。7人でツアーをするときは、1から10にするみたいな作業なんですけど、今回は本当に0から。0から1にすることが一番大変で、以前から引き出しとして溜め込んでいた自分のクリエイティブな部分を、スタッフさんと具現化していきました。1から10にする作業は数多くやってきましたけど、ライブの内容を0から1にするのは初めての経験でした。普段は、プロデューサーとしてHIROさんがサポートしてくださることもあるんですが、今回は敢えて引いた立場から見守っていただいています。打ち合わせをしたときも、何か意見をくださるというよりは、「楽しみにしている」と言っていただきました。

― 大きな経験になりそうですね。

登坂:自分もHIROさんがどういうリアクションをしてくれるのか楽しみです。セルフプロデュースだからこそ、表現者として成長できる場でもあるし、自分のエンターテインメント性やプロデュース力を鍛える絶好の場になっているなと思っています。特に今年の1年は、そういう力になる年だなというのを実感しながらやっています。

― 2018年はソロ活動を活発化させることで、各々が力を蓄える1年にするということでしょうか?

登坂:アルバムはリリースさせていただいたんですけど、今年は各々ソロプロジェクトを進めるというのは前々からスケジュールにあって、その時期は個々として輝いたり強くなっていこうと決まっていたんです。同じグループから僕と隆二が同じタイミングでアリーナツアーを回って、ELLYもヒップホップアーティストとしてツアーを回って、EXILEと兼任している3人(NAOTO、小林直己、岩田剛典)はEXILEのドームツアーがあって、山下健二郎は舞台をやったり、朝の情報番組のパーソナリティをやったり、各フィールドで活動して、それを皆が応援し合えている。今までにない1年ですし、楽しい1年でもあるんですけど、振り返ると大変だったなと思うのかなとも感じています。

― 今年蓄えたパワーを、来年以降グループに返していくと。

登坂:多分、皆がそういう気持ちでやっていると思います。2018年、それぞれが満足いく形で結果を収められれば、7人で集まったときに三代目としてすごいパワーを発揮できるんじゃないかなと。7人揃ったときにパワーアップして、また新たなことができると思いますし、その先にある三代目のツアーのこととかを考えると、これから始まる自分のソロツアーもすごく楽しみで。きっとまた一回り成長して、7人でステージに立てると思うので、ファンの方も楽しみにしてくださっていると思います。

― 今市さんのコンセプト・アルバムについては、聴いてみていかがでしたか?

登坂:自分とは良い意味で音楽性が違うというか。打ち合わせもしてないですし、一切情報交換もしてないんですけど、ソロとしては自然と違うというのが聴いていて面白かったです。隆二のソロ曲を聴いても、僕が入ってツインボーカルで歌うイメージが全く浮かばなかったのは良いことだと思うんです。アルバムの曲は一人で歌う方が声的にも音楽性的にも合っているし、それは隆二が僕のアルバムを聴いても同じことを思うんじゃないかな。お互い持っているルーツ、やりたい表現を素直に出来ているので、そのパワーを三代目に持ってこられると考えると面白いです。ソロの隆二の色が出ていて、良いアルバムだなと思いました。

― 今市さんも登坂さんのコンプリート・アルバムについて「面白い」という表現をされていました。

登坂:同じツアー、同じステージに立っているから、お互いのライブを観る機会ってないじゃないですか?だから、初めての経験だったんですよね。ELLYのツアーも面白かったし、ヒップホップアーティストとしてのELLYをスタートから知っている身からすれば1人で全国を回っている姿は感慨深かったんですけど、隆二のステージを観ても、多分そう思うと思います。普段横並びでやっているからこそ、皆のステージを俯瞰で観れる機会ってないですけど、2018年はそれが出来る年。EXILEのツアーを観に行って、3人(NAOTO、小林、岩田)が踊っている姿を観るときも、不思議なんです。お互いがお互いのことを改めて認識し合える時期だし、それぞれが持っているポテンシャルやキャラクターを7人が7人で感じ取れる期間だと思います。

不器用な自分だからこそ…「良い迷子」を経て“今”

― 登坂さんといえば、俳優業でもご活躍されていますが、そこからインプットしたものがアーティストとして活きている部分はありますか?

登坂:全く別物だなって思っていますし、別のチャンネルでやっている気がしていて。それは最初にやらせていただいた作品のときにも感じましたし、当時はお芝居の経験がなかった身ですけど、与えてもらった部分を一生懸命やろうと思って向き合っていました。でも、そのあとすぐツアーがあって、そのときには、メンバーや身近にいるスタッフさんに「すごく変わった」「すごく表現の幅が大きくなっている」というのを自分では思っていなくても、言ってもらえたんです。自分では別のチャンネルだと思っているけど、歌手とか俳優ではなく“表現者”という括りとしては一緒なのかもしれないし、自分がそういう経験をすることによって、自分でも気づかないけど、歌手としての表現の幅が広がっているのかもしれない。周りがそれを感じ取ってくれたというのは、そのとき嬉しかったので、別物だと思ってやっていますけど、何か持って帰れるものがあるんだろうなと思います。

― 自然と影響を受けていた、と。

登坂:周りの方は言ってくださっていたんですけど、自分の中だと逆に歌が歌えなくなった時期の方がありました。歌ってどうやって歌ってたっけ?と。台詞で喋ることと歌を歌うこと、発声法というか、どうやって歌のとき声を出してたっけ?みたいな(笑)。迷走した時期でした。

― それはいつ頃のお話ですか?

登坂:『ホットロード』(2014年公開の映画)のときです。勝手にブランクだなと思っていました。

― 俳優デビュー作ですね。

登坂:迷子になりましたけど、「表現の幅が広がった」と周りから言っていただけたということは、今思うと多分良い迷子だったんだなって。引き出しが増えたということだと思うんです。

― そういった時期を乗り越え、今はチャンネルを自分で切り替えている感覚ですか?

登坂:アーティストとしてお芝居の世界にはいない方がいいと思うし、逆にアーティスト活動のときにはお芝居の要素は0の方がいいと思うし、どっちにも持っていきたくないなと思って切り替えています。引きずりたくないというか。アーティストとして役者をやっていますというのも嫌だし、アーティストをやっているけど役者もやっていますというのは自分には違和感があるんです。だから、変な話、別人間としてやるしかないなって。

― 例えば、アーティスト活動の中でストーリー性のあるMusic Videoを撮影することもあるかと思いますが、そういった場でチャンネルが切り替わることはありますか?

登坂:言われてみると全く意識していなかったです。芝居というよりは、その曲を表現する一つの手段なので、芝居という感覚がないかもしれない。MVは、演じようと思ってやっていないんだと思います。

― 現場に入ると、それぞれの自分がいるんですね。

登坂:「これはこれ」ってやらないとできないんです。自分で変えている感じです。

― それは現場に入るときですか?今日なら「アーティストの現場」とか。

登坂:期間ですね。映画は2、3ヶ月かけて撮っていますし。今回(2019年公開の映画『雪の華』)はアルバム制作の時期と重なっていたので、レコーディングしたり歌詞を書いたり、大変でしたけど、撮影の期間に入ると否が応でもスイッチが入る。二足のわらじが履けないんです。両方やっていますという器用さが自分にはない気がする。歌は歌、芝居は芝居。「役者も歌もやっていますけど、二足のわらじは履きません」って感じです(笑)。

登坂広臣(C)モデルプレス
登坂広臣(C)モデルプレス
― 最後になりますが、モデルプレス読者に向けて、コンプリート・アルバム『FULL MOON』の聴きどころをお願いします。

登坂:曲を作る上でもアルバム全体を通してもバランスをすごく考えたので、盛り上がりたいときに聴いていただけるような曲もありますし、少しリラックスしたいときに聴いてもらえるような曲もあります。テーマである『FULL MOON』に基づいて、その心情、テンション、環境に合わせて楽しんでいただけるアルバムになっていると思うので、それぞれの受け取り方で楽しんでいただきたいです。ライブに来ていただける方は、それもイメージしてワクワクして待っていてくれたらなと思います。

― ありがとうございました。

登坂広臣、初のコンプリート・アルバム『FULL MOON』

登坂にとって初のコンプリート・アルバムとなる『FULL MOON』は、【三代目 J Soul Brothers】【今市隆二】【登坂広臣】の3つの異なる世界観が1つになった三代目 J Soul Brothersのオリジナル・アルバム『FUTURE』に収録された楽曲に加えて、新曲(8曲収録)&映像コンテンツも追加したフルボリュームな内容。

ソロプロジェクト始動の際に公開されたシンボルマークも、ジャケット写真では光が繋がり満月に。それは、2年間かけて蓄えてきた光が満ちた証。満ち足りた月の光が照らす先の未来で、登坂はどんな進化を見せるのか。自身初のソロツアー「HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”」に答えがあるのだろう。(modelpress編集部)

登坂広臣(とさか・ひろおみ)プロフィール

登坂広臣(提供写真)
登坂広臣(提供写真)
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのヴォーカル。2014年には映画初出演となった「ホットロード」で、第38回日本アカデミー賞、第69回毎日映画コンクール、第39回報知映画賞、第24回日本映画批評家大賞などの各新人俳優賞を受賞し、華々しい俳優デビューを飾った。2019年公開予定の映画「雪の華」では、中条あやみと共に主演を務める。

また、2017年7月からはHIROOMI TOSAKAとしてソロプロジェクトも始動。これまでに「WASTED LOVE」「DIAMOND SUNSET」「LUXE」の3曲を配信限定シングルとしてリリース。自身初のコンプリート・アルバム『FULL MOON』(ヨミ:フルムーン)(8月8日リリース)を引っさげ、初のソロアリーナツアー「HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”」が8月18日長野M-WAVEよりスタートする。

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