山本千尋(C)モデルプレス

2018年注目の“新世代アクション女優”山本千尋とは 実写「キングダム」のために6キロ減…「決意を貫き通したい」夢を語る モデルプレスインタビュー

2018.01.05 08:00

女優の山本千尋(やまもとちひろ/21)がモデルプレスのインタビューに応じた。2017年、特撮ドラマ「ウルトラマンジード」(テレビ東京系)でヒロインの鳥羽ライハ役を演じ、迫力あるアクションが話題に。それもそのはず。彼女は3歳から中国武術を習い、世界ジュニア武術選手権大会「槍術」部門で2度金メダルを獲得するほどの腕前。2016年、『週刊ヤングジャンプ』で連載中の人気漫画「キングダム」連載10周年を記念して制作された実写特別動画では、美女剣士・羌瘣(きょうかい)に抜擢されている。今回は“新世代アクション女優”として注目を集める彼女に、女優を目指したきっかけや今後の夢を聞いた。

山本千尋、女優を目指したきっかけは?

ギャップがすごい…(C)モデルプレス
ギャップがすごい…(C)モデルプレス
1996年8月29日生まれ、兵庫県出身。幼い頃から中国武術を習い、2008年・2012年に世界ジュニア武術選手権大会「槍術」部門で金メダルを獲得。2010年から2012年までJOCオリンピックカップ「長拳」「剣術」「槍術」部門で3年連続で優勝するなど、数々の輝かしい記録を収めている。

2014年頃から女優として活動を開始。映画デビュー作『太秦ライムライト』ではヒロインを演じ、2015年ジャパンアクションアワードでベストアクション女優優秀賞を受賞している。

― 女優を志したきっかけから教えてください。

山本千尋:3歳からずっと中国武術が大好きで続けているんですが、中学3年生になり高校受験を考えた時、行きたい高校がなかったんです。野球やサッカーのようにメジャーなスポーツをしている子達は行きたい強豪校があるとか推薦をもらえたと話していて、でも私がやっている武術太極拳はマイナースポーツなのでそういう学校もなくて…。「私はなんで武術というスポーツを選んだんだろう」と思った瞬間もあったんですけど、でも大好きなことには変わりがなかった。そうやって続けていくうちに、世界大会で優勝することができて、幸いなことにメディアの方に取り上げていただいたことで「武術ってすごくかっこいいスポーツだね」って興味を持ってもらえるようになったんです。それがすっごく嬉しくて、武術が好きだからこそ広める立場になりたいと考えるようになりました。いろんな人から「女優さんになってアクションとかするのもすごくいいんじゃない?」と勧められていたこともありますが、私自身小さい時からジャッキー・チェンやジェット・リーに憧れていたんです。華やかな世界だろうとしか想像はついてなかったんですけど、自分もこんなふうにできたら嬉しいなと思い始めたのが女優を目指したきっかけですね。

― たしかに中国武術はなかなか触れることのないスポーツですよね。

山本:そうですよね。スポーツと思われていないことも多いんです。今、一生懸命武術を頑張っている小さい子もいるので、その子達が大人になった時、中国武術がオリンピック種目になっていて、日本代表選手になりたいとかそういう夢を持てるように、今は私のアクションで少しでも中国武術を知ってもらって、もう少しメジャーなスポーツになればいいなと思っています。

― 素敵です。人と違うことを続けていくというのは、つらいことも多かったと思います。どうして続けられたんですか?

山本:ただただ好きだから、というのが一番大きかったですね。嫌いと思ったことは一度もなかったです。私自身、皆と違うスポーツをしているというのはわかっていましたし、それが何の役に立つか、どこを目指しているのか、途中でわからなくなったこともありました。でも大会もありましたし、応援してくれる家族や周りの人たちのためにも頑張りたいなと。逆に今それが女優というお仕事に繋がっているので、めちゃくちゃ良かったなと思ってます(笑)。武術に出会えたことは私の宝物ですね。

山本千尋、実写「キングダム」のために6キロ減

― 本当ですよね。今となっては唯一無二の武器に。「キングダム」のアクションも圧倒されてしまいました。

山本:ありがとうございます。

― ひとつひとつの動作がすごく美しいですよね。準備も大変だったのでは?

山本:元々すごく原作のファンだったので、裏切りたくないっていう思いが強かったんです。演舞自体も自分でつけて下さいということだったので、羌瘣(きょうかい)の癖を真似して一生懸命作りました。身体を絞ってほしいということだったので、ダイエットもですね。3日間の撮影のために2ヶ月前から体づくりをしたのは初めてでした。

― どれくらい痩せられたんですか?

山本:6キロぐらい絞りました。ちょうどLAに留学していて、年末に帰国したタイミングでオファーをいただいて実際の撮影が2月。身体を絞ってほしいという依頼を受けたのも初めてだったので、「なにがなんでも痩せよう!」と変な武術家スイッチが入ってしまって…。実質1ヶ月弱しかなかったので、食べないで運動するという本当に良くないダイエットをしてしまったんです。

山本千尋(C)モデルプレス
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― それは痩せますけど、身体には良くないですね。

山本:本当ですよね。撮影の時は大丈夫だったんですけど、終わってからがひどくて。自分のスイッチが切れたのと、ずっと食べてなかった分逆にもう食欲がわかなかったんです。肌もぼろぼろになっちゃったし、フレッシュな感じがなくなっちゃったんですよ。自分の写真を見ても、この子元気なさそうだなと思うくらい。痩せているからといって魅力的になるわけじゃないなと痛感しました。でも「キングダム」自体は、あの時それだけの覚悟で挑んでよかったという達成感がありますけど。

― その山本さんの気迫が映像の迫力に繋がっていると思います。ダイエットも今後の勉強になったということで。

山本:今は自分にあったダイエットを研究して毎日ハッピーで健康です(笑)。ダメージを回復させたいなじゃないですけど、パックとかお肌のお手入れも頑張っています(笑)。

― 大事ですね(笑)。

山本:武術をしていた時は全くそういう女子っぽいコスメとかにも触れなかったんですけど、最近やっと女子力の“じょ”ぐらい(笑)。

山本千尋(C)モデルプレス
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― “じょ”を始めました(笑)?

山本:はい(笑)。全然人に語れるほどじゃなくてすみません(笑)。

― いえいえ。じゃあ最近はそういった女子的なことも楽しんでいるんですね。

山本:そうですね。今はしてないんですけど、ネイルは元からすごく好きなんです。世界大会の時も日本の国旗を入れて、願掛けをしたりしていました。爪がキレイだとすごくパワーをもらえるイメージがあって、「ウルトラマンジード」で演じた鳥羽ライハ役もずっとネイルをしている女の子だったのでテンションが上がりました(笑)。

山本千尋(C)モデルプレス
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― そうなんですね。今も変わらずトレーニングもされているんですか?

山本:週4~5回ジムには通っています。武術をしていて特に思ったんですけど、どのスポーツも基礎を身につけないとどうしても本番でミスをするんですよ。なので今もアクションシーンのために体力づくりをして、怪我をしないように柔軟やストレッチはしっかりしています。

― アクションシーンでの動き方は現役時代の体の使い方とは違うものなんでしょうか?

山本:違いますね。現役時代は週6日練習していたので、やっぱりその頃に比べたらキレは落ちたのかなと思ってしまうこともあります。でも、映像のお仕事をさせていただくようになって、武術癖が抜けたのもいいかなと開き直って前向きに(笑)。映像だとこう蹴ったほうが見栄えがいいとか、ちょっとゆっくりにしたほうがきれいに映るとか、ただただ武術の魅力を見せるだけじゃなく映りを考えるというのもすごく勉強になりましたし、今も勉強中です(笑)。

山本千尋「ウルトラマンジード」ヒロイン像に不安も

山本千尋(C)モデルプレス
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― 2017年は「ウルトラマンジード」にヒロイン・鳥羽ライハ役で出演され、反響も大きかったと思います。振り返ってみていかがですか?

山本:テレビシリーズに半年間レギュラーで出られるというのはとても大きい経験でした。しかもヒロインでアクションもあったので、自分の中ですごく充実した7ヶ月間でした。私の演じた鳥羽ライハという子は今までの守ってもらうようなヒロインではなかったので、どう受け入れてもらえるのか不安もあったんですけど、小さいお子さんとかが役名で呼んで手を振ってくれたり、特撮ファンの方にも「今までこういうジャンルのヒロインはいなかったから見ていてすごく楽しいです」と言っていただいて。本当に素晴らしい経験をさせていただいたな、という一言ですね。

― 小さい頃から特撮に馴染みがありましたか?

山本:そうですね。あまり女の子っぽくない子どもだったので、女の子向けのよりも仮面ライダーや戦隊ものの方がよく見ていましたね。

山本千尋(C)モデルプレス
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― 世代的には女の子なら「おジャ魔女どれみ」じゃないですか?

山本:そうなんですよ。当時「おジャ魔女」のスティックをお母さんが買ってくれたんですけど、全く本来の遊び方をしたことがなかったらしいです。棒の代わりにして振り回したり、中に入っていたビーズだけを抜いて飛ばして遊んだりしていたみたいで、やっぱり当時からちょっと男の子っぽいというかやんちゃだったんでしょうね(笑)。

― (笑)。でもそんな女の子が大きくなって「ウルトラマン」に出演するなんてすごく夢がありますよね。

山本:はい。そこで繋がるとは思ってもいなかったんですけど、でもいい意味で負けず嫌いが出てよかったなと今は思っています。

― 3月10日には『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』の公開も控えていますね。

山本:沖縄で撮らせていただいたんですけど、ロケーションがすごく綺麗でした。テレビシリーズの1話から4話あたりを見返してもらうと、最初は皆まだ迷っているのがすごくわかると思うんですよ。でも撮影の後半に撮影した劇場版は、皆もちろん団結していますし、仲間意識も強くて。1人ひとりの芯がしっかりして、強くなったんだよというところを見ていただきたいです。なにより主人公の子が本当にヒーローの顔をしているんです。そのヒーローの男の子についていく周りの人の姿や絆にも注目して見ていただけるといいなと思います。

山本千尋「決意を貫き通したい」2018年の抱負と今後の夢

山本千尋(C)モデルプレス
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― では、2018年の抱負を教えてください。

山本:2017年はいろんなことに挑戦した年ではあったんですけど、同時にいろんな不安も抱えながらスタートを切っていました。なので、2018年は思いっきり弾けたいじゃないですけど、たくさんがむしゃらに頑張ってあっという間の1年を過ごしたいなと思っています。2017年の時点から2018年を迎えるのがすごくワクワクしていて、こういうふうに感じたのが初めてなんです。2016年の時は「2016年楽しかったな、終わっちゃうな」ぐらいだったんですけど、2017年は楽しかったことだけじゃなく、すごく先を見てる自分がいますね。

― それはどういった心境の変化なんでしょうか?

山本:やっぱり「ウルトラマンジード」もそうですが、2016年よりお芝居をさせてもらう機会も多かったので、より一層お芝居やアクションの楽しさを知ったからでしょうか。2016年は武術家の女の子なのか、それとも女優なのか、まだ自分でもどっちのジャンルなんだろう?とふわふわしていたんですよ。でも、今はもう間違いなく女優の仕事をしたいし、自分のアクションでいろんな人を驚かせたいと思っているので、その決意を貫き通したい。演技に対する不安や緊張より楽しい気持ちが勝ってきているので、2018年はそれを思いっきり爆発させたいなと思っています。

山本千尋(C)モデルプレス
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― 楽しみにしています。では、山本さんの経験を通して、モデルプレス読者に向けて「夢をかなえる秘訣」を教えてください。

山本:私もまだ叶えている途中なのでおこがましいんですけど…。私は普段夢じゃなくて全部目標って言葉にしようと思っているんです。目標って達成したら絶対に次が生まれるじゃないですか。自分のゴールを絶対決めたくないので、今身近な目標はこれで、大きな目標はこれ、というふうに決めているんですけど、やっぱり武術をしてきて思ったのは練習は裏切らないし努力は裏切らないし、失敗したとしてもその失敗が絶対次に繋がるということです。嫌なことが続くことも絶対あると思うんですけど、それは嫌なことが大きないいことになって返ってくるからだと私は信じています。そうやって全部ポジティブに考えるんです。私もまさかこうして女優活動させてもらえるなんて思っていなかったですから。でも夢があるとやっぱり毎日がすごく楽しいし、家族や周りに誰かしらその頑張りを見てくれている人が絶対います。

― 説得力があります。では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

山本:ただの武術家の女の子の頃からとか、逆に女優になってから私を知ってくださった方も多いと思うんですけど、本当に温かい言葉やアドバイスをいただいていて。なかなか身内でもないのにそこまで見てくれることってないじゃないですか。ファンの皆さんと実際お会いしてお話したわけでもないのに、一生懸命応援してくださっている。それに対して私はどう返せるのかを考えると、やっぱりいいお芝居をするとかいいアクションをすることが一番の恩返しだと思うんです。普段SNSとか文字ではなかなか感謝の気持ちって表すことができないですし、映像やお芝居からどこまで皆さんにこの感謝が伝わるかわからないんですが、必ず成長した姿を見せていきたいなと思っているので、引き続きファンを辞めずに応援していただけると嬉しいです(笑)。

― ありがとうございます。しっかり伝えさせていただきます!

撮影中、笑顔をリクエストすると「いつもかっこいい感じばっかりなので恥ずかしい」とはにかんだ彼女は21歳の女の子だったが、いざ武術のポーズで構えてもらうと、まっすぐ射るような強い眼差しと美しい佇まいに圧倒された。身長155cmとは思えない凛としたオーラ、武術で鍛えた強い精神力を感じさせる言葉の端々に“次世代を担うアクション女優”として今後のさらなる飛躍を期待せずにはいられない。2018年、山本千尋の活躍に注目だ。(modelpress編集部)

山本千尋(やまもと・ちひろ)プロフィール

山本千尋(C)モデルプレス
山本千尋(C)モデルプレス
生年月日:1996年8月29日
出身地:兵庫県
身長:155cm
趣味:映画鑑賞、サイクリング、スポーツ
特技:中国武術、アクション、殺陣、英会話

2017年7月より放送されたテレビ東京系「ウルトラマンジード」でヒロインの鳥羽ライハ役で出演し話題に。2018年3月10日には映画『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』が公開予定。

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