前田敦子が「夢はない」と言い切れる理由 達観した言葉に宿るブレない信念<モデルプレスインタビュー>
2017.10.19 07:00
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女優の前田敦子(26)がモデルプレスのインタビューに応じた。篠原涼子が主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(23日スタート ※初回15分拡大)で、元グラビアアイドルの市議・小出未亜を演じる前田に撮影現場の雰囲気や、今の女優業への思いを聞いた。
目次
「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」
同作は篠原演じる新米ママさん市議会議員・佐藤智子を主人公に、声なき市民と向き合いながら市政にはびこる悪や社会で起きている問題を素人目線・女性目線でぶった斬っていく、痛快で爽快な市政エンタテインメント。前田のほか、智子のライバル市議会議員を高橋一生、夫の公平を田中圭、新聞社に勤める元政治部記者で智子のママ友の平田和美を石田ゆり子、市議会のドン・犬崎和久を古田新太、同期議員の岡本遼を千葉雄大、同じく同期議員の園田龍太郎を斎藤司(トレンディエンジェル)が演じる。
月9メンバーとの仲は?
劇中では篠原、高橋、千葉、斎藤と同期議員同士のシーンも多く、放送開始前から公式SNSでは撮影現場の温かい雰囲気が伝わってきた。9月14日には主題歌を担当する男女6人組パフォーマンスグループ・AAA(トリプル・エー)のライブに篠原、前田、千葉、斎藤の4人でサプライズ出演するなど、すでにチームが一丸となっている印象だ。そのことを前田に伝えると、「仲良いですね」と頷き、「特に斎藤さんがすごく面白い役割を担ってくださっていて、皆がいじるんですよ。篠原さんも容赦ないですし(笑)。それをきっかけに自然と皆が喋るようになりました」と笑顔を見せる。
撮影中は健康や食べ物の話で盛り上がっているといい、「ご飯を行こうという話にもなっていて、今は『どこが美味しいか』って盛り上がっていますね」と教えてくれた。
篠原涼子・高橋一生ら共演者の印象は
主演の篠原とは“元アイドル”という共通点も(篠原は『東京パフォーマンスドール』出身)。そうそうたる顔ぶれの役者陣が揃っている今作だが、刺激を受けるか?と聞いてみると、「これだけの役者さんが揃っていて、それを引っ張っている篠原さんがやっぱり本当にカッコいい。皆に分け隔てなく明るいですし、スタッフさんの名前も皆覚えていますし、すごいなと思います」と篠原の名前を真っ先に挙げた。また、高橋については「現場での“居方”がすごく好きです。喋らないときもあればすごく笑顔で話されているときもあって、自然体なんです。誰にも気を遣わせていなくて、素敵な俳優さんだなと思います」と印象を明かす。
2歳年上(学年は3つ上)の千葉とは、映画『モヒカン故郷に帰る』(2016年)以来、2回目の共演。「2年前が1ヶ月間広島でロケだったので、年上と思って喋ってないかもしれないですね、私の方が年下なんですけどね(笑)」といたずらっぽく笑った。
元グラドル市議役は「すごく自分を確立している子」
前田演じる未亜は、犬崎の勧めで市議会議員選挙に立候補、元グラドルというだけあってSNSを得意としている。そのルックスを武器に、上手に世を渡るイマドキの女子というキャラクターは、映画『イニシエーション・ラブ』(2015)のマユ、TBS系ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(2016)のゆり子、テレビ朝日系ドラマ『就活家族~きっと、うまくいく~』(2017)の栞、といったこれまで演じてきた役柄と重なる部分もあるように感じるが、前田はまっすぐに役を捉える。「未亜は性格が悪いわけでもないけど、大人たちの中でのポジション作りが上手だと思います。周りを冷静に客観的に見ていて、すごく自分を確立している子だなと思って、面白いなと感じます。人に合わせるけど流されない自分のブランディングが上手い子だなと思います」。
“市政”がテーマの月9、難しくない?
市政というテーマ自体がドラマでは珍しく、連続ドラマで女性メーンの政界を描くのは同局で初。「やっぱり会話が全体的に難しいときもあるので、皆で政治や事件の話をしているときは、何を言っているのか分からなくなって、『これは難しいね』と話し合うことはありますね」と苦労を語るが、意外にも役作りはがっつりと準備したわけではないという。「そこまで難しい政治の話ではないんです。篠原さん演じる智子さんが一般の家庭の普通の主婦というところから始まるので、詳しくなくても一緒に分かっていける話。私たちも撮影しながら一緒に理解していくという感じです」と作品をアピール。
特に新人議員同士のシーンを見どころにあげ、「真剣な話をしつつも、砕ける瞬間が沢山あったりして、皆での面白い掛け合いが多いので、観ている方にとって息抜きになったら良いなと思います」と呼びかけた。
演技に満足しない気持ちは「一生変わらないんじゃないですか?」
2012年8月にAKB48を卒業し、肩書きが“女優”になって以降、コンスタントに作品に出続けてきた前田。今年だけでも、映画『武曲 MUKOKU』『散歩する侵略者』、日本テレビ系ドラマ『銭形警部』、テレビ東京ドラマ『テミスの剣』…など出演作は多数でオファーが絶えず。『探偵はBARにいる3』(12月1日公開)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年3月公開)などの公開待機作も控え、そのラインナップは全くジャンルが偏っていない。2015年のモデルプレスのインタビューでは自身の演技に「満足したことは一度もない」と冷静に分析していたが、その気持ちは今も変わらないのか?―――「一生変わらないんじゃないですか?」とあっけらかんと即答し、「(先輩の)皆さんも『緊張しないなんてないよ』とおっしゃいますし、それは変わらずいたいですね」と続ける。
では、“女優・前田敦子”が今目指している夢は何か?という質問には、「夢はないです、こうなりたいとかはないですね」と一瞬驚く回答が返ってきた。しかし、その回答の裏には前田なりの達観した考えがある。
「“目指す”ってなっちゃうとちょっと違う気がするんです。女優さんのお仕事って特にそうだと思うんですけど、誰になりたいとかではないと思うので。憧れの方は沢山いますけど、その人はその人の生き方があって、その女優さんになっているわけじゃないですか?だったら自分はどうやって自分らしく生きていくか、だと思っています」。
自分の“夢”よりも「この役をやらせたい」って思わせたい
さらに、挑戦してみたい役柄や作品も「特にない」と答える。「やっぱり監督さんに望んでもらえることが一番嬉しいです。『この役をやらせたい』って思わせたいですね。望んでくれるのであれば、『なんで私にこういう役だったんだろう?』っていう疑問は持たないでとりあえず飛び込みたいし、そういう人でありたいなと思うんです」とその姿勢は女優として一貫していて、ブレることがない。「どんな仕事していてもそうだと思うんですけど、仕事には貪欲でいたいし、『やめたい』とも思わないです」と言い切る姿は、かっこよかった。
刺激を受けた同世代の役者は?
そんな前田が、刺激を受ける同世代の役者は、一体どんな人だろう?熟考した前田が「ちょっと過激になっちゃうんですけど…」とあげたのが、韓国映画『お嬢さん』(2016年)で、女性同士の激しいラブシーンを演じた新人女優のキム・テリ。前田より1つ年上の27歳だ。「すっごい素敵、すっごい可愛いと思いました。久しぶりに余韻に浸りました」と映画好きの前田らしくテンション高く語ってくれた。
考えるのは“来年の仕事までにどうするか”
「夢はない」と言い切った前田だが、夢を持つ読者へのメッセージとして、日々目標を達成するためにしていることを聞いてみると、こんな答えが返ってきた。「ある程度はなんとなくこういう風になりたいなというビジョンは持つようにしています。『夢』にしちゃうと、夢だけで終わっちゃう気がするので。過程の中の1つとして思い描くとか、やりたいと思ったことを口に出すのが良いと思います」。
具体的には、“来年の仕事までにどうするか”を考える。
「来年決まっているお仕事に向かってどう向かっていくか、という風に考えるのが今の自分に一番近いかもしれないですね。例えば仕事が終わった後に、自分が何をするか。ちょっとした時間が出来たら何をするかっていうのはすごく考えています」。
役が決まると、その役のためにも何が出来るかを「テイストで考える」といい、「ざっくり言えば、政治もの、恋愛もの、ヒューマンだったらそのジャンルの中で“自分らしいものって?自分が持っているものって?”なんて考えたりしますね。だからといって恋愛ものだからガツガツ恋愛するとかとかそういうわけではないんですけど(笑)」と前田流の信念がそこには根付いていた。
ブレない言葉から感じたもの
かつてAKB48の秋元康プロデューサーはセンターに向いていないと思った14歳の前田を、AKB48のセンターに抜擢し、国民的グループを誕生させた。演じたい役柄が「特にない」というのも、前田らしい。主演を張りたい、目立ちたい、賞を獲りたい…分かりやすい目標を口に出す人の方が多いと思うが、“「何で私にこの役?」という疑問を持たないでとりあえず飛び込みたい”と前田は何のためらいもなく言い切る。“女優・前田敦子”にはゴールがなく、そして限界もない。彼女がアイドル時代から放ち続けている“絶対的オーラ”の源に少し触れた気がした。(modelpress編集部)
前田敦子(まえだ・あつこ)
生年月日:1991年7月10日
出身地:千葉県
血液型:A型
身長:161cm
2005年にAKB48の1期生として芸能界デビュー。2012年8月にグループを卒業する。グループ在籍中の2007年、映画『あしたの私のつくり方』で女優デビュー後、数々の作品に出演。代表作に日本テレビ系ドラマ『Q10』(2011)、フジテレビ系『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(2011)、『幽かな彼女』(2013)、日本テレビ系『ど根性ガエル』(2015)、TBS系『毒島ゆり子のせきらら日記』(2016)、映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(2011)、『苦役列車』(2012)、『クロユリ団地』(2013)、『もらとりあむタマ子』(2013)、『さよなら歌舞伎町』(2015)、『イニシエーション・ラブ』(2015)、『モヒカン故郷に帰る』(2016)、『武曲 MUKOKU』(2017)、『散歩する侵略者』(2017)、舞台『太陽2068』(2014)、『青い瞳』(2015)など。
『苦役列車』ではTAMA映画賞・最優秀新進女優賞を、さらに同作と『もらとりあむタマ子』で日本映画プロフェッショナル大賞・主演女優賞を、2年連続受賞している。
「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」第1話あらすじ
佐藤智子(篠原涼子)と公平(田中圭)夫婦は、息子の駿平(鳥越壮真)と3人で手狭な団地住まいとはいえ、温かくごく平凡で幸せな家庭を営んでいた。しかし、智子はもっと幸せになりたいと思っている。駿平に本物のステーキを食べさせてあげたい。駿平の保育園送迎に電動自転車を…という、ささやかなぜいたく。だが、佐藤夫婦はどうにも仕事が長続きしない。理不尽な業務などについ逆らってしまい、すぐに解雇されてしまうのだ。そしてある時、夫婦同時に仕事を失うことに…。パソコンのサイトで新しい職場を探す智子だが、なかなか見つからない。そんな時、智子はふと“市議会議員”と検索。ニュースで政治活動費を不正流用した市議会議員を見たからだ。すると、智子が暮らすあおば市の議員当選率は8割以上と知る。智子の職探しより高確率で議員年俸は智子には夢のような額。すぐさま智子は公平に立候補宣言する。
出馬に必要な供託金として貯金を引き出した智子夫婦は選挙管理委員会で立候補の手続き。だが、すでに選挙戦は始まっていた。素人候補の智子と公平は現市議会議員・磯部真蔵(笹野高史)の選挙演説を見学。すると、磯部の発言はウソばかりだと憤る女性がいた。駿平の保育園のママ友・平田和美(石田ゆり子)だ。智子が自らの立候補を伝えると、和美はあきれて立ち去る…。
選挙には磯部のほかにも、政治家一家の藤堂誠(高橋一生)ら、一癖も二癖もありそうな候補者が名を連ねる…。
【Not Sponsored 記事】
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