バリスタが選ぶ「ドリップコーヒー」に合うチョコとは？【コンビニ3社を比較】

教えてくれる人

バロンデッセ ギャラリー＆カフェ バリスタ / 藤宮 晋（ふじみや すすむ）さん
2001年頃からバリスタとして活躍。2012年「BALLOND'ESSAI（バロンデッセ）ラテ＆アート」の立ち上げに携わる。長年下北沢を拠点とし、ラテアート教室の開催やバリスタ講師としても活動。コーヒーに欠かせない “抽出” を極め、飲み比べ・食べ比べなどが楽しめるメニューの提供、ラーメン職人とコラボレーションするなど下北沢とバリスタ業界を盛り上げている。

BALLOND'ESSAI ラテ＆アート｜Instagram

FLIGHT LOUNGE shimokitazawa｜Instagram

コンビニで買える「ドリップコーヒー」の種類

まずはコンビニ大手3社で販売されている「ドリップコーヒー」のラインアップをチェック。各メーカーのオリジナル商品は以下の通りです。

【セブン-イレブン】
・セブンプレミアム ドリップコーヒー オリジナルブレンド
・セブンプレミアム ドリップコーヒー 香りのモカブレンド

【ファミリーマート】
・ファミリーマートコレクション ドリップコーヒー オリジナルブレンド
・ファミリーマートコレクション ドリップコーヒー モカブレンド

【ローソン】
・ローソンオリジナル 深いコクのドリップコーヒー

こちら5種類をコーヒーのプロである藤宮さんがテイスティング。商品それぞれに合うチョコレートの組み合わせを選んでいただきました。

コンビニ「ドリップコーヒー」ってどんな味？おいしく味わうには？

手軽に購入できるコンビニのドリップコーヒーは、バリスタからみてどんな印象なんでしょうか。まずはテイスティングの感想を伺いました。

藤宮さん：
「コンビニで購入できるとあって、手軽にサッと飲める印象です。濃度は全体的に薄め。味は……若干違いはあるんですけど、風味や酸味は感じにくいですね。コーヒーは産地によって特徴があるので、風味を際立たせるにはチョコレートでフレーバーをプラスするのがおすすめです」

コーヒー豆の産地の特徴

藤宮さんに、日本人にも馴染みがあるポピュラーな産地をピックアップしていただきました。選んでいただいたのは、エチオピア・コロンビア・ケニア・ブラジル・コロンビアの5種類。飲んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。

・エチオピア産……ベリーのような完熟した風味
・コロンビア産……ボディがありフルーティーでフローラルな風味
・ケニア産……カシスや柑橘類のような風味
・ブラジル産……ナッツチョコレートのような風味
・インドネシア産……強いボディとコクがあり、シナモンやハーブのような風味

上の図や特徴を参考に、自分の好みに近い産地を選んでみましょう。

淹れ方のポイント

藤宮さん：
「コンビニのドリップコーヒーとチョコレートを組み合わせる場合、パッケージに記載されているお湯の容量より100cc増やしましょう。コーヒーだけで飲むと薄く感じるかもしれませんが、お湯を増やすことで飲みやすくなりチョコレートとのペアリングがしやすくなります。ほかは記載の手順に従って淹れてください」

飲み方・食べ方のポイント

藤宮さん：
「最初にチョコレートをひと口食べて、味がなくならないうちにコーヒーを飲みます。口の中でチョコレートとコーヒーの風味が混ざり合うイメージですね。そこから鼻に抜ける香りを楽しんでください。コーヒーだけを飲んだときとは違う香りに驚くはずです！」

では、各社のドリップコーヒーに合わせて藤宮さんが選んでくださったチョコレートをご紹介します。

1. 「エチオピア産」が好みの方におすすめ

セブン-イレブン オリジナルブレンド×ラミー

藤宮さん：
「セブンのオリジナルブレンドは、苦味より酸味のほうがちょっと強いです。なので、酸味をより際立たせる組み合わせがおすすめ。合わせるのは、ロッテの『Rummy（ラミー）』というラムレーズンが入った洋酒チョコレートです。一緒にいただくと、風味がマッチしベリーの香りが鼻から抜けます。

洋酒のコクもプラスされて深い味わいに変化しますよ。華やかな酸味のエチオピア産に似た香りが楽しめます」

風味の強さに驚き……！

コーヒーだけ飲んだときよりも、チョコレートと合わせたほうがコーヒーの香りを感じられました！コーヒーとチョコレートどちらも主張しすぎず、ベリーの爽やかな風味にまとまります。

「ラミー」はロッテから毎年冬季限定で販売されるチョコレート。1965年の発売から愛され続けてきたロングセラー商品です。アルコール分が3.7％入っているため、お子様やお酒が弱い方、運転時などは食べるのを避けてくださいね。

2. 「コロンビア産」が好みの方におすすめ

セブン-イレブン 香りのモカブレンド×レーズンバターサンド風チョコ

藤宮さん：
「香りのモカブレンドは、味は濃いけど風味が弱め。風味を強調できるチョコレートが合うと思います。レーズン、バター、クッキー、チョコレートが入っている『レーズンバターサンド風チョコ』はどうでしょう。

レーズンでフルーティーな風味に変化、バター・クッキーがコクをプラス。コロンビア産のような風味とコクに生まれ変わります」

印象がガラッと変わる

一緒にいただいてみると、一瞬で華やかな香りが広がりました！足りない風味をレーズンで補いつつ、コクをプラスすることで、濃い味を活かした本格的な味わいに変化。このコーヒーだけでも十分おいしいのですが、チョコレートを組み合わせると別物のように感じます。

「レーズンバターサンド風チョコ」は、セブン-イレブンのオリジナル商品です。風味と味のバランスがよく、ほかの種類のコーヒーとも合わせやすいそうですよ。

3. 「ケニア産」が好みの方におすすめ

ファミリーマート オリジナルブレンド×ストロベリールビーチョコレート

藤宮さん：
「この5種類のなかだと、一番味が濃く酸味の強いコーヒーです。だからといってパンチがめちゃくちゃあるわけではないので、酸味をプラスするのがいいと思います！『ストロベリールビーチョコレート』を使って、ストロベリーの酸味と合わせましょう。ケニア産のような甘酸っぱい風味が楽しめますよ。

酸味が強いコーヒーというと、あまりおいしくないイメージもありますが “すっぱいコーヒー” とは別物です。すっぱいコーヒーは豆が古くなって酸化したもの。酸味はスッキリとした後味やクリアさを表しています」

酸味のフレッシュさが際立つおいしさ

たしかにこのふたつを組み合わせると雑味がなく、スッキリと飲めます。そのままで飲むよりも酸味が強調されて分かりやすい風味に変化しました。爽やかさがあるので、アイスコーヒーとも相性良さそうですね。

使用した「ストロベリーチョコ」はファミリーマートのオリジナル商品です。フリーズドライのいちごが入っていて食べ応えもありますよ。

4. 「ブラジル産」が好みの方におすすめ

ファミリーマート モカブレンド×ブラック3チョコ

藤宮さん：
「このモカブレンドは、モカのナッツっぽい風味がほんのり感じられます。ナッツが入ったチョコレートと合わせて風味を引き出すと、ブラジル産のナッツチョコレートっぽい香りに近くなりますよ。

使うのは『ブラック3チョコ』。ビスケットとピーナッツが入っているので、芳ばしい風味がしっかり感じられます。味に奥行きが出るはず！」

風味の表現が分かりやすい組み合わせ

チョコレートを食べてコーヒーを口に運んだ瞬間、香ばしさと甘さがダイレクトに感じられます。コーヒーの風味を表現するっていう意味では、5種類のなかで一番ブラジル産が分かりやすかったです。

こちらの「ブラック3チョコ」もファミリーマートのオリジナル商品。ザクザクとした食感とピーナッツの濃い味がクセになりますよ。

5. 「インドネシア産」が好みの方におすすめ

ローソン 深いコクのドリップコーヒー×明治ザ・チョコレート

藤宮さん：
「ローソンのドリップコーヒーは、ガツンとくる風味と苦味があります。なので、同じくらい風味や味の強いものを合わせるのがおすすめです。

スパイシーな風味が楽しめる『明治ザ・チョコレート スパイシーな香りのカカオ』と合わせて、シナモンやハーブっぽいインドネシア産の風味に。チョコレート自体の味が濃いのでうまくマッチングしますよ」

まるで専門店のような味わいに

味が強い同士だとどっちも主張が強そう……と思いましたが、味も風味もひとつにまとまっています。味は同等の濃さでマッチ。コーヒーにスパイスの風味がプラスされて、香り高い味わいに変わりました。スパイシーな香りが特別感を演出してくれます。

「明治ザ・チョコレート スパイシーな香りのカカオ」は、チョコレート自体のクオリティが高く、カカオの香りもしっかり感じられますよ。コンビニだけでなく、スーパーでも購入できます。

組み合わせ次第で本格コーヒーに変わる

普段風味の違いがあまりわからない筆者ですが、実際に比べてみるとその違いに驚きました。「味覚で味、嗅覚で香りを探ることこそ、組み合わせを楽しむ醍醐味なんです」と教えてくれた藤宮さん。香りやコクの違いで、まったく別物に変わるコーヒーの世界は奥深い……！

気軽に本格的なコーヒーが飲みたい方や、風味の違いについて興味がある方はぜひ試してみてくださいね。文／内山 栞（macaroni編集部）※掲載商品の情報は公開時点のものです。店舗によっては取り扱いがない、または販売終了している場合もありますので、あらかじめご了承ください。
※本記事は個人の感想に基づいたもので、感じ方には個人差があります。