六本木に「小さなフレンチ食堂」が誕生! 日々の暮らしにそっと寄り添う、やさしい一軒『ターブルモトオ』

六本木に「小さなフレンチ食堂」が誕生! 日々の暮らしにそっと寄り添う、やさしい一軒『ターブルモトオ』

2020.06.10 18:00

六本木に誕生した、小さなフレンチレストラン

東京の中でも国際色の豊かな街、六本木。この華やかな街の一角にある小さなフレンチレストラン『TABLE MOTOH(ターブルモトオ)』。

“街に根付いた食堂を作りたい”という想いが込められた同店は、気さくな雰囲気の中、おいしい料理とワインで訪れる人をホッと癒してくれる。

「国立新美術館」や「六本木ミッドタウン」にほど近い路地裏。バーなどが入ったビルの地下に『ターブルモトオ』はある。

木目が温かな階段を一歩ずつ降りていくと、街の喧噪が徐々に遠のき、まるで大人のための隠れ家のような空間が現れる。

店内は、席数が12席とこじんまり。

シックなグレーの布張りのチェアと黒色のテーブル、壁に飾られたノスタルジックな絵画など、まるでプライベートなリビングのよう。ゆっくりと席に身を沈めて、どんな料理が現れるのかと待つ時間もワクワクする。

数々の名店で腕を振るってきたシェフが作るのは、自由なアイデアにあふれる料理

フレンチを食べ慣れた人にも好評な料理を作るのは、オーナーシェフの菊地基央(もとお)さん(写真上)。

西麻布のフレンチ鉄板焼き『アヒル』や、同じく西麻布の名レストラン『サイタブリア』、『ミシュランガイド東京2008~2020』で12年連続一つ星の『ランベリー』を経て、白金『ジョンティアッシュ』や表参道『ドゥーアール』などの名店で活躍。

その後、都内に数店舗展開している『タブローズ』で、全店舗を統括するエグゼクティブシェフを勤めた。

ストイックにフランス料理に没頭した時期もあったが、懐かしく思い返すのは、今は無き、まるでニューヨークにあるようなフュージョンレストラン『サイタブリア』だという。

「お客様は外国の方が多く、料理も多国籍。基本はフレンチでしたが、ジャンルにとらわれないユニークな料理がたくさんありましたね」(菊地シェフ)

伝統的なフランス料理の技術を大切にしながらも、自由なアイデアあふれる菊地シェフの料理の数々を紹介しよう。

ピリッとスパイシーな南米風ソースでいただく、爽快なおいしさの初鰹

「鰹をおいしく食べるための料理です」と供されたのは、「初鰹 トマトと茗荷のコンディモン パクチーペースト」(写真上)。一見和食のようにも見えるが、添えられているソースとトッピングが個性的。

ソースは、南米の香味ソース「チミチュリソース」をアレンジ。パクチーやレモン、ナッツ、アヒ・アマリージョ(南米産の黄色唐辛子)などを合わせている。爽やかな酸味の中にピリッとした辛みがきき、ほのかに香るパクチーが程良いアクセントになっている。

メニュー名にある「コンディモン」とは、フランス語で薬味のこと。みじん切りしたトマトとオレンジ、松の実に、和の素材ミョウガを合わせ、ビネガーとナンプラーで軽く味付けしている。

「鰹のたたきは、日本ではポン酢と薬味で食べると思いますが、和ではないおいしさもあるんだという提案をしてみたいと思いました」と菊地シェフ。

ピリッとスパイシーなソースと、オレンジの甘酸っぱさが、淡泊でさっぱりとした初鰹によく合う。個性的な食材を一つにまとめるシェフの手腕が鮮やかだ。

これぞフランス料理! 確かな技術から生まれるおいしいひと口

「自分の店を作ったら、必ず出したいと思っていたメニューなんです」と菊地シェフが語るのは、「ホロホロ鳥と鴨とフォアグラのパテアンクルート」(写真上)。

肉のパテをパイ生地で包んで焼く、クラシックなフランス料理だ。手間と時間、高い技術が必要とされ、フランス料理店ならどこでもお目にかかれるとは限らない。菊地シェフも、試行錯誤しながら完成させたという自慢の逸品だ。

パテの具材は、ホロホロ鳥と鴨、フォアグラ、鶏の白レバー、豚肉など。食感のアクセントにピスタチオを入れ、ポルト酒が入ったコンソメジュレが詰められている。

パイ生地はサクサクで、ホロホロ鳥を多めにしたという肉のパテはクセがなく、優しいうまみに溢れている。ほんのり甘いコンソメジュレがパテにぴったり合う。

添えられている自家製の赤ワインとポルト酒で作ったイチジクのジャムも秀逸。自然な甘みがパテの味わいを深めてくれる。

サクサク軽やかなウロコの食感に感動! 柚子香るバターソースとも好相性

「小甘鯛の鱗焼き 柚子ブールブラン 時季の野菜」(写真上)。

ウロコまでしっかり焼いた小甘鯛に、フレンチの古典的なソース、バターを使った「ブールブランソース」を合わせている。

ナイフを入れるたびにサクッという音が聞こえるほど、パリパリに焼かれたウロコがたまらない。甘鯛の方が身のうまみが強いのだが、より軽やかなサクサク感を楽しんでもらおうと、ウロコが薄い小甘鯛を選んだという。

柚子がきいたブールブランソースは、バターのコクがありながらもフルーティな酸味が爽やか。少し苦味のある春野菜との相性も抜群だ。

香ばしい皮目の鴨肉に、甘じょっぱいソースの組み合わせ

フレンチ好きにはたまらない「ビュルゴーシャラン鴨のロティ シェリービネガーのラカージュ」(写真上)。

シャラン鴨はフランス産の有名ブランド鴨で、中でもビュルゴー家のものは最高級と言われている。

鴨は皮目の火入れがポイントになるとか。フライパンでジュッと強く焼き付けて表面を香ばしく焼いた後、オーブンで少しずつ火入れをしていく。カリッと焼けた皮目に、シェリービネガーとハチミツ、ナンプラーを煮詰めたものを塗っていくと、なんともおいしそうな照りが生まれる。

さらに、鴨の骨から取ったジュ(だし)を赤ワインと煮詰めたシンプルなソースを添える。

しっとりと、ロゼ色に火入れされた鴨肉は、ナイフがスッと入るほどのやわらかさ。カリカリの皮に塗られたソースは甘じょっぱく、日本の照り焼きを思わせる味わい。品の良い鴨のうまみを最大限に引き出した、絶品の一皿だ。

付け合わせは、スティックセニョール(茎ブロッコリー)とペコロス。その下には和の食材であるゴボウが隠れている。エシャロットと鶏のだしでやわらかく煮たゴボウは、ホクホクした食感と深いうまみに驚かされる。食べ慣れたゴボウとはまったくの別物だ。

ワインは大切なパートナー。料理と相性抜群のラインナップ

ワインも大切な料理のパートナー。自身が作る料理との組み合わせを考えながら揃えているという。

フランスを中心にスペインやイタリア、ニューワールド系と、手頃な価格ながら質の良いものをラインナップ。グラスワインは、赤白3種類,ロゼ1種類,泡1種類を用意。シェフやスタッフと相談しながら、料理とのマリアージュを楽しみたい。

おひとり様でも大歓迎! 日々の暮らしに寄り添う「フレンチ食堂」

「何を食べているかわかる料理」を大切にしたいと語る菊地シェフ。旬の素材に真摯に向き合い、フレンチの技術でその個性を生かすにはどうしたらいいかを丁寧に考えている姿勢の現れだろう。

料理にはシェフのお母様が作った陶器が使われていたり、焼き菓子店を営む奥様がデザートを担当することがあったりと、なんとも温かみのある一軒。

特別な日のためではなく、都会の雑踏から少し離れてホッと一息つきたいとき。そんな時間にやさしく寄り添ってくれるレストランだ。

テイクアウトメニューも豊富に用意!

『TABLE MOTOH』では、期間限定でテイクアウトも実施中。一番の人気メニューは「仔羊のクスクス モロッコスパイス」(写真上)。作り立てのお渡しを心がけているため、時間を見計らってお店へ向かいたい。

また、ワインのお供にしたい「おまかせ前菜盛り合わせBOX」は、しっとり焼き上げた子羊と豚肉とフォアグラのパテ、なめらかな白レバーペーストなど、贅沢な9種を盛り合わせ。ご近所なら、お皿を持参して盛り付けてもらうのもいいだろう。

【テイクアウトメニュー例】
仔羊のクスクス モロッコスパイス 1,200円
おまかせ前菜盛り合わせBOX 4,000円
※他メニューあり。詳細はFacebookにてご確認ください
※購入方法:電話またはSNSのダイレクトメッセージにて注文受付
※テイクアウト受け渡し時間:火曜〜土曜11:30〜14:00、月曜〜土曜18:00〜21:00

【店内メニュー例】
初鰹 トマトと茗荷のコンディモン パクチーペースト 1,200円
ホロホロ鳥と鴨とフォアグラのパテアンクルート 1,500円
小甘鯛の鱗焼き 柚子ブールブラン 時季の野菜 2,000円
ビュルゴーシャラン鴨のロティ シェリービネガーのラカージュ 2,800円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
※本記事の取材・撮影は2020年3月に実施いたしました

TABLE MOTOH(ターブルモトオ)

東京都港区六本木7-3-15 鈴や第2ビル B1F
03-6384-5885
ランチ火曜~土曜・祝日11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー月曜~土曜18:00~22:00(L.O.21:00)
日曜日・不定休
https://www.instagram.com/table_motoh/
https://r.gnavi.co.jp/5ufdx6rv0000/

この記事の筆者:小田中雅子(ライター)

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