神楽坂の隠れ家フレンチ『シャテーニュ』は『ジョエルロブション』出身シェフがもてなすフレンチレストラン

『ジョエルロブション』出身シェフが、気さくな創作フレンチ店をオープン!神楽坂の隠れ家『シャテーニュ』

2019.11.05 18:00

コースのみの理由は、「その日入った一番おいしい食材を一番おいしい料理で楽しんでほしいから」

「おいしいものを食べることは、人生を豊かにしてくれますよね」。

笑顔でそう語るのは、2019年6月に東京・神楽坂にオープンした創作フレンチ『La Chataigne –シャテーニュ- 』オーナーシェフの栗原正登さん(写真上)。お客一人ひとりに食を楽しんでほしいとの想いから、同店を全席カウンターの造りにしただけでなく、その構造を利用して、2020年春には店内で料理教室も開校予定だという。

▲広々としたカウンター席からは、目の前で料理が出来上がるライブ感も楽しめる

メニューはランチ・ディナーともにコースのみ。理由は、「その日入った一番おいしい食材を一番おいしい料理に仕立てて楽しんでほしいから」。おいしく食べてもらうため、フレンチの枠にとらわれず、時には和やエスニックの調味料も使うことがあるという。

一体どんな料理を楽しめるのか、早速紹介していこう。

まるでデザート! 五味を楽しめる「フォアグラのプリンアラモード」

はじめに紹介するのは、とりどりのフルーツがあしらわれた、まるでデザートのような前菜「フォアグラのプリンアラモード」(写真上)

牛乳+ブイヨンとフォアグラを同量ずつたっぷり使い、卵、塩、砂糖を加えたものを、キャラメルを敷いた型に流してこしらえたプリンだ。フォアグラ特有のくさみを感じさせず、上質なうまみとコクのみを抽出したかのような味わいは濃厚そのもの。トッピングとしてあしらわれた、カキやりんご、キウイ、ピンクグレープフルーツといった季節のフルーツのフレッシュな酸味や甘みとのバランスも抜群だ。

プレートの周りを彩るのは、プリン型にも流し込んでいる香ばしいキャラメルソース。心地よい塩気をまとったフォアグラプリンと一緒に口に運ぶと、ほろ苦さがちょうどいいアクセントになる。

季節の恵みを嗅覚でも堪能! ラビオリを忍ばせた「ポルチーニ茸のコンソメスープ」

続いては、「ポルチーニ茸のコンソメスープ」(写真上)。

マツタケ、トリュフと並び、世界三大きのこの一つに数えられる香り高いポルチーニ茸が主役のこのスープは、嗅覚を存分に楽しませてくれる一品だ。スプーンですくって口元に近づけると、ふんわりと広がる芳醇な香りが秋を感じさせる。

中に入っているラビオリには、ポルチーニ茸とフォアグラがぎゅっと詰め込まれており、口にふくむとジューシーなうまみが溢れ出る。

スペシャリテは、淡路島産の魚介を堪能できる「ブイヤベース」

そして魚料理は、同店のスペシャリテとして人気の「ブイヤベース」(写真上)。

淡路島産の魚介数種をポワレしたソテーを並べた後、魚の骨と裏ごし野菜を煮詰めて作ったスープをお客の目の前でプレートに注ぎ込んで完成となる一品だ。

この日の魚介は、ヒイカ(ジンドウイカ)、コショウダイ、イサキ、太刀魚の4種類。いずれも食べやすいよう骨が抜かれており、表面がほどよく焼かれて香ばしく、単体でも十二分においしい。そこにしっかりと煮詰めたスープが注ぎ込まれ、野菜と魚介のうまみが掛け合わさった一杯はコクの宝庫。濃厚でありながら、後味はすっきりとした味わいなのでいつまでも食べ続けていたくなる。

王道フレンチのジビエ料理もこの先ずっと作り続けたい

続く肉料理は、「フランス産山鳩のロースト」(写真上)だ。

本場フランスの星付きレストランでも腕を振るってきた栗原さんにとって、ジビエ料理のような王道フレンチは、“これからもずっと作り続けたい料理”。エスニックや和のテイストを取り入れた親しみやすい料理を出す一方で、しっかりとした基本のフレンチのよさも、お客さんに伝えていきたいという。

ほどよく熟成させた山鳩は、付け合わせと一緒に口に運んだときに最高のマリアージュになるよう、シンプルにローストするのがポイント。山鳩の脇を彩る食材は、サツマイモ、銀杏、リンゴのローストと秋の味覚ぞろいで、さらにそこにフォラグラも加わったゴージャスなラインナップ。滋味豊富な食材に彩られたプレートには、さばいた後の骨を煮出した「ジュ」(フランス語でだし汁を表す)が回しかけられている。

秋鮭とイクラたっぷり! タマネギとニンニクが効いた旬の炊き込みご飯

本場の味を堪能したところで登場するのは、旬素材をたっぷりと堪能できる「秋ジャケと自家製いくらの炊き込みご飯」(写真上)だ。

ポイントは、ソテーしたタマネギとニンニクを使っているところ。ふたつの具材をソテーした後、米、舞茸を加えて炒め、油が浸透して来たら、さらに鶏ガラでとった自家製ブイヨンを投入。その後、上に秋鮭をのせて炊き上げたご飯は、鶏と魚のうまみが絶妙なバランスでコラボした贅沢な一品に仕上がっている。全体を混ぜ合わせてお茶碗によそった後、自家製のイクラをたっぷりとトッピングしてくれる演出も実に心憎い。

タマネギとニンニクが効いた唯一無二の香ばしい味わいは、普段食べ慣れている炊き込みご飯とは一線を画すものだ。

一杯目を堪能した後のおかわりは、鶏だしのブイヨンをかけて“だし茶漬け”として楽しむことができるが、満腹の場合はおにぎりにして持ち帰りにも対応。翌日の朝食まで楽しませてくれる心遣いが嬉しい。

ドリンクは、ワインからクラフトビールまで幅広く揃う。昔から馴染みのある業者から取り寄せるほか、最近ワインの卸をはじめた後輩に勧めてもらったもの(写真上)も多く用意。

お客さんとの会話も大切にしたいから、調理に専念してくれる相棒が必要だった

オープンから約5カ月が経った現在、リピーターも増えつつあるというが、同じ季節に再来店したお客に対しては全品異なる料理を提供するなど、キメ細やかな心遣いが光っている。加えて、栗原さんがカウンター越しに楽しい話題をたくさん提供してくれるところもこの店の魅力だ。

「接客まで含めて楽しんでほしいから、調理に専念してくれる仲間に手伝ってもらうことにしたんです」。

その仲間とは、恵比寿のガストロノミー『ジョエル・ロブション』でともに腕を振るってきた桑原シェフ(写真下・右)。
栗原さんが、日本橋の洋食店『たいめいけん』、五反田のフレンチ『フリコトー』、船橋のビストロ『ビストロマロン』(ご自身がオーナーシェフ)などいくつかの店を渡り歩いてきたのに対し、7年半にわたって『ジョエル・ロブション』で研鑽を積み続けた桑原さんだが、「こんな店をやりたい」という理想は同じだったため、出逢って間もなく意気投合したんだとか。

「2人でいるとその分アイデアも沸きやすく、次々に新作メニューが浮かぶんです」と栗原さん。理想のパートナーに巡り合えたことで、接客面でもお客さんに満足してもらえるようになったとなんともうれしそうな表情だ。

その満面の笑みで迎え入れられたお客たちが、楽しい気持ちで食事の時間を過ごすことができるのは言うまでもない。料理教室開校も控える中、この店から、さらにたくさんの笑顔の花が咲いていくことだろう。

撮影:岡崎慶嗣

【メニュー】
コースのみ
・ディナーコース:10,000円(11品)
・ランチコース:5,000円(9品)または10,000円(11品)
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

シャテーニュ

東京都新宿区神楽坂6-22 B1
050-3468-0608(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
火~日
ランチ 12:00~15:00
(L.O.13:00)
ディナー 18:30~23:00
(L.O.20:00)
月曜日
https://r.gnavi.co.jp/p8kjbcdu0000/

この記事の筆者:松本玲子(ライター/音楽家/ナレーター)

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