「明日のデート楽しみだね」に「普通」と返した俺が、その夜1時間も服を選んでいたなんて言えない
つい「普通」と返した夜
金曜の夜、ベッドに寝転がってスマホをいじっていると、彼女からメッセージが届きました。「明日のデート楽しみだね」俺も同じ気持ちでした。明日は久しぶりに2人で過ごせる丸一日。場所も時間も、何度も確認してスマホのメモに残してあります。
なのに、いざ返信しようとすると、素直な言葉が出てきません。「俺も楽しみ」のひとことが、なぜか書けない。何度か打ち直して、結局こう送ってしまいました。「普通」。送信ボタンを押した瞬間、素直に返せばよかったと思いました。でも、いまさら訂正するのも気恥ずかしくて、そのままスマホを伏せました。
クローゼットの前で1時間
スマホを置いて、なんとなく立ち上がりました。気付けば、俺はクローゼットの前で服を物色していました。白いシャツに袖を通してみる。鏡の前でジャケットを羽織ってみる。地味すぎるかもしれないと脱いで、別のシャツに着替える。普段なら2分で決まる服選びに、1時間以上かかっていました。
「普通」って返した手前、当日「気合い入ってる」って思われるのは絶対に嫌でした。でも、せっかくの休日なんだから、ちゃんとしておきたい。その葛藤の末、結局その日のうちに新しいシャツとジャケットを買いに出かけてしまいました。
「前からあるよ」の嘘
土曜の昼、待ち合わせの駅前に立っていると、彼女が二度見したのがわかりました。やっぱりやりすぎたかもしれない。「行こうか」とだけ言って、隣に並んで歩き出しました。
歩き出してすぐ、スマホに通知がきました。隣にいる彼女からのメッセージです。「それ新しい服?」
直接聞かずにメッセージで来るあたり、彼女の優しさを感じました。けれど俺は、また見栄を張ってしまうのです。「前からあるよ」。送ってからすぐに後悔しました。買ったばかりのシャツの匂いも、靴の硬さも、自分ではよくわかっていたからです。カフェに入って席に着いたあと、「ちょっとトイレ」と席を立ち、洗面所で深呼吸しました。鏡を見ながら、もうこんな嘘はやめよう、と思った矢先のことでした。
そして...
席に戻ってスマホを開くと、彼女から1枚の写真が届いていました。俺のジャケットの襟元、白いタグが堂々と写っています。正直に話す覚悟を決めて、俺は短く返信しました。
「…楽しみすぎて買った」向かいの席で、彼女がぷっと吹き出しました。「言うなよ」と俺は小さく抗議します。でも、その笑顔を見て、最初から素直に「楽しみだよ」と返しておけばよかったと、改めて思いました。次のデートからは、せめて「うん」くらいは返したい。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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