「私の写真撮らないよね」と責めたら、彼が「撮ってるよ」と見せた数枚に思わず笑った
アルバムに増えない私の写真
彼と過ごす休日は、いつも穏やかで楽しいものでした。カフェに行けば彼はラテアートを撮り、旅行先では景色や食事をたくさん残してくれます。でも、なぜか私自身を撮ってくれることはほとんどありませんでした。
友人たちのSNSを開くたびに、嬉しそうなツーショットや恋人に撮ってもらった写真が目に入ります。「私だけ、彼に撮ってもらった写真がないな」と、ぼんやり思うようになっていたのです。
責めるほどのことではないと感じて、しばらくは黙っていました。けれどある夜、自分のアルバムをスクロールしながら、自分の写真の少なさに改めて気づき、少しだけ寂しさがにじんでしまったのです。
「私の写真撮らないよね」
その夜、思い切って彼にメッセージを送りました。「私の写真撮らないよね」。送ってからすぐに後悔して、責めているように聞こえないか何度も画面を見返しました。彼からの返信は、いつもよりほんの少し遅れて届きました。
「撮ってるよ」。
たった一言。続けて画像が数枚、まとめて送られてきました。画面を開いて、私はそのまま見入ってしまいました。送られてきたのは、私が「撮るよ」と言われた覚えのない瞬間ばかり。喫茶店で本を読んでいる横顔、ラーメンを冷ましながら笑った瞬間、空を見上げてぼんやりしている表情。私には見覚えのない、けれど確かに私の写真でした。
送られてきた数枚に思わず笑った
「いつの間に撮ったの」と返すと、「お前が気づかない時に」と短い返信が届きました。そのあとに、頬を赤くした絵文字がひとつ。普段、絵文字をほとんど使わない彼にしては珍しい反応でした。「一言言ってくれれば構えないのに」と送ると、しばらく間があってから「自然なほうが好き」と返ってきました。画面を見つめながら、思わず笑ってしまいました。さっきまでの寂しさはどこかに消えていて、ただ照れくさい気持ちだけが残っていたのです。
そして...
あの夜から、彼のスマホにある「気づかれていない私」の枚数を、なんとなく想像するようになりました。私が知らないだけで、私が笑っていた瞬間、ぼんやりしていた瞬間が、彼の中にちゃんと積み重なっていたのだと思います。寂しいと感じていたアルバムの空白は、私が見ていなかった場所に、別の形で残っていただけでした。撮られていない自分を心配する必要なんて、最初からなかったのです。今では、私からも「今日はちゃんと撮ってね」とお願いするようになりました。彼は照れながらも応じてくれます。構えた写真も、構えていない写真も、どちらも大切な記録になっています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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