「何もいらない」と言うから言葉通りに受け取った彼の誕生日→当日不機嫌になった彼に困惑した話
たった2文字の返事
彼の誕生日が2週間後に迫った夜、私はメッセージを送りました。「誕生日、何が欲しい?」と。返ってきたのは「何もいらないよ」の一言。あまりにあっさりした返事に、私は念のため「本当に?」と返しました。すると「うん」と短く返ってくるだけでした。
彼は普段から物欲が薄く、プレゼントの話になっても「気持ちだけで十分」と言う人でした。今回もそういうことかと、私はそのまま画面を閉じました。誕生日当日は彼の家でゆっくり過ごす予定です。プレゼントは用意せず、彼の好きなチーズケーキだけ買って向かおうと決めました。
「ケーキだけ?」と言った彼
当日の夜、彼の家のドアを開けた瞬間、いつもより少しだけ表情が固いように感じました。けれど仕事で疲れているのかな、くらいに思い、私はケーキの箱を差し出しました。「これ、好きなやつ買ってきたよ。お誕生日おめでとう」。
「ありがとう……」と受け取った彼の声は、明らかにトーンが沈んでいました。「ケーキだけ?」と小さく付け加えられたとき、私は一瞬戸惑いました。何もいらないと言ったのは彼のはずです。それでも食卓に着いたあとも、彼の言葉数は少しずつ減っていきました。会話のあいだに不自然な沈黙が挟まり、私のフォークだけがやけに音を立てていました。
漏れた本音
食事が終わるころ、私は思いきって聞きました。「何かあった?気に障ること、しちゃったかな」と。彼はしばらく黙ってから、ぽつりと答えました。「いや……正直、ちょっとは期待してた」。
その一言に、私はすぐには返事ができませんでした。「でも、何もいらないって自分で言ったよね?」と聞き返すと、彼は目線を落としたまま「うん、わかってる。俺の口癖なんだよな。気持ちだけでいいって言うのが」とつぶやきました。理不尽だと感じました。けれど同時に、彼が初めて「欲しい」に近い言葉を口に出してくれたことに、少し驚いてもいたのです。
そして...
私は一度部屋を出て、自分のバッグから新品のボールペンを取り出しました。仕事用にと買ったばかりのもので、見た目もシンプルで彼の好みに合いそうでした。「これ、よかったら使って。誕生日プレゼント、ちゃんと用意できなくてごめんね」と差し出すと、彼は少しだけ笑って「ありがとう」と受け取ってくれました。
来年は、「何もいらない」を真に受けずに、私から何か用意しようと思います。彼が本当は何を欲しがっているのか、聞き出すのは難しいけれど、それでも私が選びたいと思いました。たった一度のすれ違いが、二人の距離をほんの少しだけ縮めた夜でした。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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