「失礼な親ね」と決めつけていた私が、嫁の実家から届いた漆器の中に見たもの
嫁の実家への小さな不満
結婚の挨拶でいただいた紋付き羽織は、見慣れない地味な品で、正直「私の好みじゃない」と感じたのを覚えています。その後も嫁の実家から季節の品が届くのですが、お米や日本酒など、華やかさを感じない品ばかりで、私の趣味ではありませんでした。
あんな地味な品を平気で送ってくる感覚も、電話一本もよこさない態度も、私には理解できませんでした。
私は嫁の母親が「失礼な親」だと決めつけていたのです。
届いた大きな桐箱
ある日の午後、自宅のチャイムが鳴り、大きな桐箱が届きました。差出人を見て驚きました。嫁の母親からです。
リビングのテーブルで箱を開けると、中には老舗の漆器が丁寧に納められていました。新潟の名門ブランドの箱書きで、私でも名前を聞いたことがある工房でした。
同梱の便箋を開くと、嫁の母親の自筆の手紙が数枚にわたって綴られていました。
「お電話を何度かおかけしたのですが、お留守のようで」続いて、「いつも季節のお品を受け取っていただきありがとうございます」「私どもの不調法でご無沙汰しております」と、控えめな言葉が並んでいたのです。
留守番電話を聞かない私
私は留守番電話を聞かない人間です。「あとで聞こう」と思いながら、結局そのまま消してしまうのが習慣でした。夫が「嫁さんのお母さんからお電話があったよ」と伝えてくれたことが何度かありましたが、「忙しいから後で」と聞き流していました。
あの紋付き羽織も、後で調べたら新潟の老舗の品でした。お米も日本酒も、地元で最も評価の高いものばかりだったのです。嫁の母親は、私が思っていた「失礼な親」ではなく、誰よりも礼を尽くしてくださっていた方でした。それを「失礼」と決めつけて嫁に嫌味を言い続けていた自分が、急に恥ずかしくなりました。
そして...
すぐに嫁を呼びました。手紙を見せ、「ごめんなさい」と頭を下げました。嫁は驚いた顔をしていましたが、それでも穏やかに「母も気にしていたんです」と言ってくれました。
翌日、私は嫁に電話をかけました。「今度、ご両親に直接お礼を申し上げに行きたいわ」うまく言葉を選びながら、ようやく伝えました。嫁の母親が長年積み重ねてくださっていた小さな礼を、私はずっと見落としていました。
これから時間をかけて、ちゃんとお返ししていきたい。手紙を読み返しながら、そう思ったのです。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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