1年前の飲み会で口にした「ジムに通っても続かないでしょ」が、同窓会で私に返ってきた話
つい笑ってしまった、あの夜の一言
1年前のある飲み会の夜、話題が運動の話になり、いつものメンバーの一人が「最近ジムに通い始めたんだ」と話しました。彼女は何かを続けるのが得意なタイプではありません。だから私は、つい「ジムに通っても続かないでしょ」と笑ってしまったのです。
正直に言えば、理由はわかっています。私はその半年前、ジムを始めて3カ月で挫折していました。誰にも言わずに退会したばかりで、続いている人を素直に応援する余裕がなかったのです。
「そうかな」と彼女は曖昧に笑い、グラスに視線を落としました。反論されなかったことに少しほっとしている自分がいて、その気持ちにすぐ蓋をしました。帰り道、自分が言った言葉のことなど、もう忘れたつもりで歩いていたのです。
1年の間、あの一言を思い出すことはなかった
その後の1年、私は彼女の話題が出るたびに普通に接していました。自分が放った一言のことを思い出すこともありませんでした。仕事は順調で、私生活も穏やかで、自分を見つめ直す機会はないままに時間が過ぎていきました。
ジムに行かなくなったかわりに、週末に出かけたり、友人と食事を楽しんだりして気を紛らわせていたのだと思います。続かなかったことに向き合うより、続けようとしなくなった自分を肯定するほうが、ずっと楽でした。
同窓会の連絡が来たときも、軽い気持ちで「行く」と返事をしました。彼女に1年前の自分の発言があったことなど、頭の片隅にもなかったのです。
同窓会の席で、見せられた現実
同窓会の当日、会場に着いて席につき、しばらくして気づきました。彼女の肩のラインが、明らかに変わっていたのです。腕も、姿勢も、表情まで、1年前の彼女とは別人のようでした。
ほかの友人が「もしかして、ジムまだ続けてるの?」と声をかけ、「うん、続いてるよ」と彼女が答えました。テーブルがぱっと明るくなり、みんなが口々に「すごい!全然変わったじゃん」「言われてみれば」「肩のラインがきれい」と褒めました。
私は何も言えませんでした。1年前の自分の声が、耳の奥でよみがえったのです。「ジムに通っても続かないでしょ」。続かなかったのは、私のほうでした。グラスを見つめたまま、「えらいね、本当に」とだけ、いつもの軽口とは違う声で口にしました。
そして...
家に帰って一人になってから、ようやく気づきました。あの夜、私は彼女を笑ったのではない。続けられない自分を、彼女に重ねて笑っていたのだと。
予防線を張れば、自分の挫折が普通のことのように思えました。あの一言で彼女の挑戦を否定すれば、続けられなかった私も同じ場所にいられる気がしていました。けれど、彼女は同じ場所にいてはくれませんでした。
クローゼットの奥に押し込んだウェアを、明日引っ張り出そうと思います。続けられるかはわかりません。それでも、誰かを引きずり下ろす言葉を、もう口にしたくはないのです。
(20代女性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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