幼稚園で毎朝『おはようございます』と声をかけていた私が、突然呼び止められて言われた言葉
明るい朝の習慣
入園してから、私は毎朝の送りが楽しみでした。娘の手を引いて坂を上り、門の前で他のクラスのお母さんやおばあちゃん、自転車を押すお父さんとすれ違うたびに、「おはようございます」と声をかける。返してくれる人もいれば、軽く会釈だけの人もいる。それで十分でした。
近所にお茶を飲む友達ができたわけでもありません。それでも、毎朝交わすひとことだけで、見知らぬ街で子育てをしている孤独感がやわらいでいくような気がしていたのです。娘も真似をするようになり、小さな声で「おはよ」と言うのが、私のひそかな自慢でした。
呼び止められた朝
その日も、いつも通りに門の前まで来たとき、年中クラスのママさんに後ろから声をかけられました。何度かすれ違ったことのある方ですが、立ち話をしたことはありません。「ちょっといいですか」とためらいがちに切り出され、私は娘を先に園庭の方へ送り出しました。
「みんなにそうやって挨拶するの、やめた方がいいですよ。不快に思う人もいるので」。聞き間違いかと思いました。不快。その言葉の意味を処理しきれず、私はただ「えっ」と返すのが精一杯でした。彼女は「すみません、余計なお世話だったかもしれませんが」と早口で言うと、ベビーカーを押してさっと立ち去ってしまったのです。
ぐるぐると回る考え
帰り道、自転車を押しながら、頭の中ではあの言葉が何度も再生されていました。挨拶する私が、誰かを不快にしている。本当にそうなのだろうか。具体的に思い当たる相手は、ひとりもいません。
夜、夫にこの話をすると、夫は「気にしないほうがいい」と言いました。けれど、私は気にせずにはいられませんでした。明日からも同じように挨拶していいのか。それとも控えるべきなのか。SNSで似たような体験談を検索して、同じような出来事に悩む人が思った以上にいることを知り、また落ち込みました。
そして...
翌朝、私はいつもの坂道で迷っていました。すれ違うママさんに口を開きかけて、また閉じる。声が出ない自分に、自分で驚きました。すると向こうから、別のクラスのママさんが「おはようございます」と先に声をかけてくれたのです。私は反射的に「おはようございます」と返していました。
それでわかったのです。挨拶は、誰かに迷惑をかけるためのものではない。受け取りたくない人もいるのは事実かもしれません。でも、受け取ってくれる人もちゃんといる。私は、私のために挨拶を続けようと決めました。あの日言われた言葉の意味は、まだ完全にはわからないままです。それでも、自分の朝の習慣だけは、もう手放さないでいようと思っています。
(30代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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