「子供にスマホ見せるとか信じられない」と詰るママ友→その子が涙を流していたわけ
いつもの土曜のランチ会
ママ友の家のリビングは、子供たちのおもちゃが整然と並んでいて、いつもきちんと片付いています。彼女の4歳の息子はブロックで遊ぶのが好きで、その日もうちの娘と並んで黙々と組み立てていました。私たち母親は手作りのキッシュを取り分けながら、園の発表会の話で盛り上がっていたのです。
「うちの子、最近すぐ飽きちゃうのよね」と私がぼやくと、彼女は笑って「うちの息子もそう。男の子は集中力が続かなくて」と相槌を打ってくれました。お互いの子育てを認め合える関係だと、その時は信じて疑いませんでした。
「子供にスマホ見せるとか信じられない」
ランチが進むうちに、娘が「もう絵本もブロックも飽きた」と言ってぐずり始めました。家では泣き出す前に動画を見せて落ち着かせるのが、私のやり方です。バッグからスマホを取り出して娘の好きなアニメを再生し、膝の上に置きました。娘はぴたりと泣き止んで画面に見入っています。
その瞬間、彼女の表情が変わりました。眉をひそめて、コップを置く手を止めて、こう言ったのです。
「子供にスマホ見せるとか信じられない」
私は咄嗟に返す言葉が見つからず、コーヒーカップの取っ手を握ったまま、彼女の顔を見つめてしまいました。
「ママだけずるい。僕も見たい」
そのときです。床でブロックを組み立てていた彼女の息子が、急にぱたりと手を止めました。そして組み立てかけのブロックを離して、その場で泣き出したのです。
「ママだけずるい。僕も見たい」
涙でくしゃくしゃの顔で、息子は彼女を見上げていました。ママ友の表情がさっと変わりました。何かを言いかけて、けれど続きませんでした。私は急いでスマホをバッグにしまい、娘を抱っこして「お絵かきしようか」と話を逸らしました。
リビングには、息子の小さなしゃくり上げる声だけが残っていました。
そして...
玄関で見送ってくれたママ友が、私の方を見ずにつぶやきました。「ごめんね、さっきの言い方」私は「ううん、気にしないで」とだけ返して、その日は早めに帰りました。
後日、共通の知り合いから断片的に教えてもらったのです。彼女は彼女なりの理由があって、息子のスマホを普段ほとんど触らせていないこと。家族のことで、思うところがあるらしいということ。詳しいことは聞きませんでした。
正しい子育てが何かなんて、たぶん誰にもわかりません。あの日泣いた息子の声と、ママ友の謝罪の声を、私は時々思い出します。お互いに見えないものを抱えて、それでも隣で笑い合っていられる関係を、これから少しずつ大事にしていきたいと思っています。
(30代女性・パート)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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