「犬を飼う資格がない」と散歩中に説教された話→半年後、公園で見た「あの人の姿」
「ちゃんとしつけしてあげないと、犬がかわいそうですよ」
半年前の夕方、仕事帰りの散歩中の出来事です。住宅街の細い道で、向こうからゴールデンレトリバーを連れた40代くらいの女性が歩いてきました。すれ違う直前、うちのトイプードルが吠え、リードを強く引っ張ってしまったのです。女性は犬を「おすわり」させて立ち止まると、こちらを見て言いました。「ちゃんとしつけしてあげないと、犬がかわいそうですよ」。その口調は穏やかでしたが、目は私をじっと捉えていて、逃げ場がない感じがしました。
続いた言葉と、避けるようになった道
私が「すみません」と頭を下げると、女性はさらに続けました。「『犬を飼う資格がない』なんて言葉、ご存知?飼う前にちゃんと勉強した方がよかったかもしれませんね」。何も言い返せず、私はトイプードルを抱き上げて急ぎ足でその場を離れました。
家に帰ってからソファに座り、犬を抱きしめながら涙がこぼれました。資格がない、という言葉が頭から離れなくて。それから散歩のたびに、あの道だけは避けるようになっていったのです。
半年後の朝、公園で
半年が経った先週の朝、いつもの公園で散歩中のことでした。ベンチで休んでいると、奥の方から「ちょっと!止まって!」という叫び声と犬の鳴き声が響いてきたのです。立ち上がって見ると、大きなゴールデンレトリバーが他の小型犬に飛びかかろうとしていて、飼い主の女性が必死で追いかけていました。リードは握っているのに、力負けしている様子です。なんとか犬の首輪を掴んだその女性の顔を見ると、あの女性だったのです。
そして...
彼女は周囲の飼い主たちに何度も頭を下げ、「うちの子、人懐っこいだけなんです、ごめんなさい!」と弁明していました。その横にいた年配の男性が、淡々とこう返したのです。「ちゃんとしつけしてあげないと、犬がかわいそうですよ」。
あの言葉が、別の人の口から、彼女に向けて発せられていました。彼女がふと顔を上げ、私と目が合った瞬間、その表情が固まるのが分かりました。私は黙って軽く会釈をして、その場を離れました。
歩きながらトイプードルを抱き寄せ、不思議と冷静な自分に気づきました。スカッとはしませんでした。誰だって完璧じゃない。私もまだ試行錯誤の途中で、きっと彼女もこの半年で何かに悩んだのでしょう。空を見上げると、半年前から続いていた重さが、少しだけ軽くなった気がしました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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