「お母さんの手伝いなんていらない」反抗期の息子→引っ越しの日に見つけた段ボールの中身
話さなくなった息子
息子が口数を減らしたのは、高校2年の頃からでした。「ただいま」という声が聞こえなくなり、夕食もリビングに来ず、自分の部屋で済ませるようになりました。廊下ですれ違っても目を合わせない。話しかけても「別に」の一言だけ。そういう日々が2年近く続きました。
思春期なのだと自分に言い聞かせながら、お弁当と朝食だけは続けていました。作った分量がほとんど減っていなくても、何も言わず、翌朝もまた台所に立つ。それしかできることがなかったのです。
引っ越しの朝
大学合格の報告も、「受かったから」の一言だけ。一人暮らしの準備も、息子が一人で進めていました。当日の朝、業者の作業が始まる前に「何か手伝おうか」と声をかけると、背中越しに返事が返ってきました。
「お母さんの手伝いなんていらない」
それでも新居の鍵の受け渡しには母親の立ち会いが必要で、結局一緒に電車に乗ることに。向かい合って座った1時間、息子はずっとスマホの画面を見ていました。
開けないで、と言われた箱
新居に着いて業者の作業が一段落した頃、段ボールを並べるくらいは手伝えるかと思い、部屋の奥の一つに手を伸ばしました。その瞬間、息子が駆け寄ってきて「それは開けないで」と強い声で言ったのです。
拍子にふたが少しずれ、中身がのぞきました。幼稚園の連絡帳、色褪せた誕生日カード、運動会のお弁当に入れていた手書きの応援メモ。年代順に重ねられて、すべてがその中に収まっていました。息子は顔を赤くしたまま、段ボールを抱えて何も言えなくなっていました。
そして...
「じゃあ帰るね」。それ以上何も聞かず、私は新居を出ました。駅までの道で、目頭が何度も熱くなりました。
冷たくされていたと思っていたこの2年間、息子は私が渡してきたものを一つも捨てずに持っていたのです。うまく甘えられない年頃の、不器用な答えだったのかもしれません。帰りの電車の中、窓の外を流れる景色をぼんやり見ながら思いました。あの子は今日、私からもらったものに囲まれて眠るのだと。それだけで、私には十分でした。
(50代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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