「冷たい」と返した夜、俺が本当に打ちたかったのは「話を聞いてほしい」だった
限界だった一日
あの日、職場で後輩がやらかしたミスの責任を被りました。俺が指示したわけでもないのに、上司には「お前がちゃんと見ていなかったからだ」と詰められ、取引先には何度も頭を下げた一日。夜10時を過ぎた帰りの電車の中で、気づけばスマホを開いていました。彼女にメッセージを送りました。「今日ほんとに疲れた」。たった一行。でも俺にとっては精一杯の合図でした。本当は「今日つらかった」と書きたかった。「話を聞いてほしい」と打ちたかった。でもその言葉が喉元まで来ているのに、どうしても指が選ばないのです。だから「疲れた」の一言に、全部を込めたつもりでした。
欲しかった返事
数分後、彼女から返事が届きました。「お疲れさま」。そのあとに続いたのは、「返信は明日でいいよ」。スマホを握る指に力が入りました。俺が求めていたのは、それじゃなかった。「何があったの?」「聞くよ」のひとことが欲しかった。「明日でいいよ」と言われた瞬間、俺の話に今日付き合う価値はないと告げられた気がしたのです。理不尽だとわかっていました。彼女は俺を休ませようとしてくれている。頭ではわかっているのに、胸の奥がざらざらと荒れていくのを止められませんでした。
本音の正反対
気づけば「冷たい」と打って送信していました。俺が本当に打ちたかったのは「話を聞いてほしい」だった。でもどうしても指が動かなかったのです。
「え?気遣ったつもりだったんだけど」。
彼女は何も悪くない。そんなことは、とっくにわかっていました。けれど「ごめん、本当は今夜話したかったんだ」とは打てない。代わりに出てきたのは「いいよ、もう寝る」。会話を閉じたのは俺のほうでした。以前、疲れた夜に彼女を突き放してしまったことがあった。あれを覚えてくれていたからこそ「明日でいいよ」だったのだと、今ならわかるのです。
そして...
翌朝、昨夜のやりとりを読み返しました。彼女の「返信は明日でいいよ」は、俺を思ってくれた言葉でした。それを「冷たい」のひとことで突き返した自分が、どうしようもなく情けなかった。「話を聞いてほしい」。たった8文字。それが打てないだけで、一番近くにいる人を傷つけている。わかっているのに、今朝も「おはよう」が送れないまま、メッセージの画面を開いては閉じています。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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