あの日「まだバイトしてるの?」と笑った私が、彼女の店のカウンターで気づいたこと
優越感だった
成人式の夜、久しぶりに集まった同級生たちの中で、彼女は「今は飲食店でバイトしてる」と答えました。
そのとき私の口をついて出たのが、「あんた、まだバイトしてるの?」心配だったのかと聞かれたら、違います。
大手の会社の総合職に内定が決まっていた私は、「早く正社員になりなよ」と続けました。周りが黙ったのにも気づいていました。それでも、自分のほうが正しい道を歩んでいるという確信がありました。今思えば、あれは確信ではなく、ただの優越感でした。
肩書きがなくなった朝
入社3年で異動、5年で昇格。順調に見えていた道の裏側で、毎朝会社のエレベーター前で足が止まるようになりました。成果を出しても評価されず、後輩に追い抜かれる焦り。9年目の春、体調を崩して休職届を出しました。
「あなたの代わりはいくらでもいるから」
上司のその言葉が決め手になり、退職を選びました。会社を辞めた翌月、名刺も肩書きもない自分に、初めて向き合うことになったのです。
あの子の店のドアを開けた日
あてもなく街を歩いていたとき、路地裏の小さなカフェが目に入りました。カウンターだけの落ち着いた店。ドアを開けると、店内に「いらっしゃいませ」というゆったりとした声が聞こえました。
メニューを受け取りかけて顔を上げた瞬間、思わず目を見開きました。
「え、もしかして」
彼女は少しだけ微笑んで、「久しぶりだね」とだけ返しました。その声に嫌味も皮肉もなく、私は何も言えないまま、カウンターに座りました。
そして...
コーヒーを飲みながら、店の中をそっと見渡しました。カウンターの木目、手書きのメニュー、棚に丁寧に並んだカップ。全部、彼女がひとつずつ選んで作り上げた場所なのだと思いました。
帰り際、「ここ、あなたのお店なの?」と聞くのが精一杯でした。「うん」と答えた彼女の顔は、あの成人式の夜とは別人のように落ち着いていました。「ごちそうさま」としか言えなかった自分が情けなくて、店を出たあと路地で足が止まりました。
10年前、バイトを続けていた彼女のほうが、ずっと先を見ていたのだと、今なら分かります。
(30代女性・求職中)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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