「今さら関わってこないでよ」疎遠だった父が突然連絡してきた→会いに行った先で知った"父の本当の事情"
突然届いた「会えないか」
父と最後に会ったのは、私が中学を卒業する直前のことだった。両親が別れてから、初めは月に一度ほど会っていたが、やがて年に一度になり、高校に入る頃には自然と連絡が途絶えた。それから10年以上が経っていた。
突然届いた「会えないか」の一文を前に、私はすぐ返事ができなかった。翌日、「今さら何の用」と送りかけて、やめた。結局「どこに行けばいい?」とだけ打った。会わずに後悔するより、とにかく行ってみようという気持ちが、怒りより少しだけ上回った。
「今さら関わってこないでよ」
待ち合わせた駅の改札を出ると、すぐに父の姿が見えた。記憶の中の父より、ずっと小さくなっていた。白髪も増え、少しだけ背中が丸まっていた。
近くの喫茶店に入り、向かい合って座ると、父は緊張した様子でコーヒーカップを両手で包んでいた。「なんで急に連絡してきたの」と聞くと、しばらく間があって「ただ、会いたかっただけだよ」と返ってきた。その答えに、ずっとこらえていたものが溢れた。「今さら関わってこないでよ」。気づいたら声に出していた。
帰り際に目に入ったもの
父は声を荒げることもなく、ただうつむいていた。しばらくして「元気そうで良かった」とだけ言った。積もる話もほとんどできないまま、2時間ほどで席を立った。
駅まで送ると言う父と並んで歩き、父のアパートの玄関先で別れようとしたとき、開きかけたドアの隙間から室内が少し見えた。テーブルの上に、病院の名前が入った封筒が、何枚も重なっていた。
そして…
帰りの電車の中で、あの封筒のことが頭から離れなかった。「ただ、会いたかっただけだよ」という言葉が、さっきとは少し違う重さで繰り返された。聞けばよかった。でも聞けなかった。次の連絡を待つべきか、自分から送るべきか。スマホを握ったまま、電車は最寄り駅を通り過ぎていた。
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本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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