「何か問題があるんじゃないの」と言われ続けた正月、彼を連れて行った日のこと
毎年恒例の「まだなの?」
正月、お盆、法事。親戚が顔を合わせる場で、必ず誰かが口を開きます。「まだ結婚しないの?」。叔母、従姉、祖母。順番は違っても、内容はいつも同じでした。
30歳を過ぎた頃から、質問のトーンが変わりました。心配というより、品定め。「何か問題があるんじゃないの」と叔母が言ったとき、母が気まずそうに笑ったのを覚えています。私もつられて笑いました。笑うしかなかったのです。
「いい人いたら紹介するわよ」という従姉の言葉に「ありがとう」と返しながら、箸を持つ手にぎゅっと力がこもりました。
彼の提案
交際3年になる彼に、親戚の集まりの話をしたことがあります。愚痴のつもりでした。彼はしばらく黙ったあと、「次の正月、一緒に行こうか」と言いました。
私は首を横に振りました。彼を連れて行けば「やっと見つけたのね」と言われる。それは彼に対して失礼だし、親戚の価値観を認めることになる気がしたのです。
でも正月が近づくにつれ、彼がもう一度言いました。「今日は紹介したい人がいるんだ」って言えばいいよ、と。
その穏やかな声に、胸の奥がじんと熱くなりました。
親戚の前で彼が言った一言
正月の集まりに、彼と一緒に顔を出しました。リビングに入った瞬間、親戚たちの視線が彼に集中しました。
「なんで隠してたの」と叔母が言いました。
彼は丁寧に挨拶を済ませたあと、こう言いました。「彼女が毎回つらい思いをしていたので、一緒に来ました」
部屋の空気が変わりました。叔母が湯のみに目を落とし、従姉が口をつぐみました。「隠してたんじゃないよ。聞かれなかっただけ」。私がそう言ったとき、誰も何も返しませんでした。
そして...
帰りの車の中で、彼が「言いすぎたかな」と少し心配そうにしていました。私は「ちょうどよかったよ」と返しました。窓の外を流れる街灯を見ながら、目頭が熱くなるのを感じていました。
何年も笑って飲み込んできた言葉を、彼が代わりに届けてくれた。それがうれしかった反面、自分で言えなかった弱さにも気づいていました。来年の正月は、自分の口で伝えよう。そう思えたことが、あの日いちばんの収穫でした。
(30代女性・介護職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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