息子の嫁に”料理の写真”を要求していた私→ある日からレシピ本の写真が送られてくるようになり...
写真が楽しみだった
息子が結婚して家を出てから、夕食の時間が急に寂しくなりました。長いあいだ誰かのためにごはんを作ってきたのに、いざ一人分だけになると、台所に立つ気力がなかなか湧いてこないのです。
そんなとき、息子の嫁が送ってくれる料理の写真が、私の小さな楽しみになりました。品数も多く、彩りもきれいで、見ているだけでこちらまで温かい気持ちになれたのです。
それで、いつしか毎日のように聞くようになりました。 「今日は何を作ったの?」と。悪気があったわけではありません。ただ、寂しさを紛らわせたかっただけでした。
レシピ本の写真
ある夜、いつものように写真が届きました。開いてみると、料理ではなくレシピ本のページでした。「今日はこれを参考にしました」少し戸惑いながらも、「本格的なものに挑戦しているのね」と返しました。
翌日もレシピ本。その翌日もレシピ本。三日目の夜、画面を見つめながら、ようやく気づきました。料理の写真を送ること自体が、もう負担になっていたのだと。
毎日の「写真送って」という言葉が、知らないうちに重くなっていたのかもしれません。直接「やめてほしい」とは言わず、こんな形で伝えようとしていたのだと、そのとき初めて理解したのです。
気づいたこと
レシピ本の写真を見返しながら、自分のLINEの履歴をさかのぼりました。毎日、欠かさず送っていた「写真送って」の一言。
トーク画面は、ほとんど私からのメッセージで埋まっていました。嫁の返信はいつも律儀で丁寧で、嫌な様子を見せたことは一度もありませんでした。だからこそ、気づけなかったのです。
息子に確かめる勇気はありませんでした。「お母さん、毎日写真って言われて困ってたみたいだよ」と言われるのが怖かったのです。
振り返れば、私がしていたのは「コミュニケーション」ではなく、ただの「監視」だったのかもしれません。嫁の毎日の食卓を、私が気にかける権利など、本当はなかったのです。
そして…
一週間何も送らずに過ごしたあと、私は「もう写真送らなくていいから」とだけメッセージを送りました。嫁から返ってきたのは、「ありがとうございます。また気が向いたら送りますね」という一文でした。
その「気が向いたら」という言葉に、これまでとは違う距離を感じました。けれどそれは、冷たさではなく、きちんと引かれた線のようにも思えました。
数日後、嫁から一枚の写真が届きました。息子と二人で囲んだらしい鍋の写真でした。「おいしくできました」と、短い言葉が添えられていました。
毎日ではなく、送りたいと思ったときに届く一枚。それで十分なのだと、ようやくわかったのです。
(60代女性・専業主婦)
本記事は、読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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