「値段が違うだろ!」店側の間違いだと一点張りの客→落ち着いて事実確認したら、対応が一転した話
「間違っているのはそちらでしょう!」突然の強い言葉
その日は平日の午後で、店内は比較的落ち着いた雰囲気でした。私がレジ周りの整理をしていると、一人の女性が早足で近づいてきたのです。手には当店の袋を持ち、表情はどこか険しいものでした。
「昨日買った商品、値段が違うんですけど」
女性はレシートを差し出しながら、やや強い口調でそう言いました。確認すると、ベビー用の肌着セットを購入されており、レシートには正規価格が記載されています。しかし女性は「売り場には30%オフの札があった」と主張されていました。
「申し訳ございませんが、該当商品はセール対象外となっておりまして…」
私がそう説明しても、女性の表情は変わりません。「いいえ、確かに見ました。店側の間違いです」と、一歩も引かない姿勢。周囲のお客様の視線も少し気になり始めていました。
感情的にならず、一緒に売り場へ向かう
こうした場面では、つい「お客様の勘違いです」と言いたくなることもあります。けれど私は、まず事実を一緒に確認することが大切だと考えました。言葉だけで否定しても、お互いにとって良い結果にはならないからです。
「よろしければ、一緒に売り場を確認させていただけますか」
私がそう提案すると、女性は少し驚いた様子を見せながらも、うなずいてくださいました。二人で該当の棚へ向かうと、確かにセール札が目に入ります。ただ、よく見ると札が示していたのは隣に陳列された別の商品でした。
陳列が少しずれていたため、女性が購入された肌着セットにセール札がかかっているように見えていたのです。私は棚の配置を整えながら、「わかりにくい陳列になっており、申し訳ございませんでした」とお伝えしました。
誤解が解けた瞬間、空気がふっと和らいで
事実を目の当たりにした女性は、しばらく黙って棚を見つめていました。その沈黙の中に、私は責める気持ちなど一切持っていませんでした。むしろ、紛らわしい陳列をしていた店側にも改善の余地があると感じていたからです。
やがて女性は、小さく息をつきながら口を開きました。
「…すみません。私の勘違いだったんですね」
その声は、先ほどまでの強い調子とは打って変わって、どこか申し訳なさそうなものでした。私は「いえ、こちらこそ見えにくい配置で混乱させてしまいました」と返し、自然と会話の空気がやわらいでいくのを感じたのです。
そして...
その後、女性は「実は最近寝不足で、少しイライラしていたかもしれません」と、ぽつりとこぼされました。お子さんが夜泣きの時期に入り、心身ともに余裕がなかったのだそうです。
「お気持ち、よくわかります。どうかご無理なさらないでくださいね」
私がそう声をかけると、女性は少しだけ目を潤ませながら「ありがとうございます」と微笑んでくださいました。
人は疲れているとき、思わぬ形で感情が出てしまうことがあります。大切なのは、そこで感情をぶつけ合うのではなく、一度立ち止まって事実を確認すること。そうすれば、誤解は静かに解けていくものだと、この日改めて学びました。
女性が帰り際に見せてくれた穏やかな表情は、私にとっても温かな記憶として残っています。
(20代女性・販売員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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