(左)小川紗良(提供写真)

女優・小川紗良、監督として初の長編映画完成 橋本絵莉子の主題歌で「思わず泣いてしまった」<海辺の金魚>

2021.04.27 12:44

女優の小川紗良が、監督を務める映画『海辺の金魚』が、2021年6月25日に公開する。


小川紗良、初の長編映画監督作品「海辺の金魚」

映画「海辺の金魚」ビジュアル(C)2021 東映ビデオ
映画「海辺の金魚」ビジュアル(C)2021 東映ビデオ
女優・文筆家としても活動する小川紗良の長編初監督作品、映画『海辺の金魚』の主題歌を橋本絵莉子(元チャットモンチー)が、ソロになってから初の楽曲を書き下ろしていることが明らかになった。

同作は、身寄りのない子供たちが暮らす家を舞台に、そこで育つ少女たちの世界と心の成長を描く人間ドラマ。主役の花役は長編初主演となる小川未祐が演じ、晴海役を現地オーディションで選ばれた花田琉愛がつとめ、芹澤興人、福崎那由他、山田キヌヲが脇を固める。

また、主題歌については小川紗良が小学生のころからファンだった橋本のオフィサシャルサイトへ直接メールでオファーしたことがきっかけで実現。橋本は主題歌を書き下ろした経緯について「ソロになってサイトを開設したばかりの時に、小川監督から直接の依頼だったのでびっくりしましたが、ラッシュ映像をみて一瞬で引きこまれました。普段、自分が目にしない知らない世界をテーマに扱っていて、そこに自分の息子と同じくらいの子供たちが沢山いる―。どうしようもない強い衝撃を受けました。そして、私でできるかな?私でできることはあるかな?という二つの気持ちから主題歌を引き受けました。どうしたらこの作品の世界観の一員になれるか、自然に寄り添うことができるかなと意識しながら制作しました。ソロになって初めてのバンド編成での制作となった曲ですが、小川監督に気に入って頂けて良かったです」とコメントした。

そして、文筆家としても活動する小川紗良の書き下ろした小説『海辺の金魚』(ポプラ社)が、6月10日に発売することも決定。映画と同じ施設を舞台に、そこで生きる子供たちの姿を綴ったオムニバス形式の短編集で、映画『海辺の金魚』のエピソードも一遍に収められている。

小川紗良、初の長編映画監督に挑戦

花田琉愛、小川未祐(提供写真)
花田琉愛、小川未祐(提供写真)
同作は、小さい頃から施設で育った18歳の女子高校生・花が、施設で過ごす最後の夏に人生最大の選択を迫られる物語。これまで『あさつゆ』(2016)、『BEATOPIA』(2017)、『最期の星』(2018)と、3作品の監督を務めてきた小川紗良が、初の長編映画に挑戦する。

同作は、2019年8月下旬に鹿児島県阿久根市でクランクイン。阿久根市は小川紗良にとってゆかりの地であり、この企画をスタートした頃より彼女が撮影をしたいと熱望した場所。阿久根市の多くの市民や阿久根市フィルムコミッションの全面協力もあり、撮影は無事に終了した。

小川紗良は、「最後のサビ部分に新たな歌詞を書いてくださっていて、それがあまりにも作品を深く理解し寄り添ってくださるようなものだったので、私は思わず泣いてしまった」と主題歌のレコーディング時の出来事を明かし、最後には「これから出会ってくださる観客の皆様へ、どうぞよろしく」とメッセージを送っている。(modelpress編集部)

小川紗良 手記

(左から)小川紗良、橋本絵莉子(提供写真)
(左から)小川紗良、橋本絵莉子(提供写真)
映画というのは幻でも魔法でもなくて、人の縁の賜物なのだとつくづく思う。

二年前、春めいてきたころに久しぶりに会った未祐ちゃんと話すうち、また一緒に映画を作りたいと思った。初めは短編の予定だった脚本は気づけば長編になっていて、これは自分だけでは無理だと思い大学の先輩である小出プロデューサーを頼った(巻き込んだ)。子どもたちの出てくる物語をどう撮るか考えていると、大ベテランであるカメラマンの山崎さんが思い浮かんで、事務所まで行ってオファーをした。

予算は少ないが思い入れのある地で撮ることにこだわって、鹿児島県阿久根市の大人たちに声をかけた。初夏には現地を訪れて協賛金を集めつつ、たくさんの地元の子どもたちと出会った。その後東京でも信頼のおけるキャスト・スタッフの方々が少しずつ集まって、映画『海辺の金魚』のチームができた。8月末、いよいよチームで阿久根へ渡り、たくさんの大人や子どもに支えられながら撮影の日々を過ごした。ここまででおよそ半年。映画をめぐってどれだけの人と出会ったことだろう。

そして出会いはまだまだ続く。撮影が終わって東京へ帰ると、女優業に戻りつつ編集をする日々を過ごした。「ポスプロ」と呼ばれる、撮影した素材を映画として仕上げるまでの工程においても、本当に人の縁に恵まれた。映像の色味を整えるグレーディング、映画館でかけるにふさわしい音を作るMA、作品の世界観を包み込む音楽、映画の終わりを飾る主題歌、チラシやポスターのデザイン…。わがままな思いで始まった長編初監督作にしては、あまりにも心強い人たちの力に支えられた。小さな規模の作品だが、その分しっかり顔の見えるところに信頼のおける人たちがいて、ひとりではたどり着けない境地でも誰かとならば行けるのだと知った。

編集がある程度進んで、さあこれから色味や音の調整に入ろうというころ、同時に主題歌のことを考えていた。別に主題歌をつけてほしいとかつけるべきだとか誰かに言われたわけでもないのだが、なんとなく編集素材を見ながら主題歌は入れたいと思っていた。女性のシンガーでお子さんのいる人がいい、ということも思っていた。

色々聴きながらうーんと悩んでいたころ、ちょうど当時流れ始めていたあるCMソングが耳に入ってきた。聴き馴染みのあるその可憐な声で歌っていたのが、橋本絵莉子さんだった。私はもともと小学生のころからチャットモンチーを聴いていて大好きだったが、チャットモンチーが“完結”してからいつの間にソロ活動が始まっていたのだろうと調べると、ちょうど橋本さんのホームページが開設されたばかりのタイミングだった。

「橋本さんしかいない…」そんな思いがあふれて、気づけばホームページの問い合わせフォームから依頼文を送っていた。本来ならばプロデューサーや事務所を通じて送るべきものなのだが、「色々な大人に止められるかもしれない」と思案した私は、先手を打ったつもりでいた。しかしこの破天荒なやり方はやはり後々怒られた。私も今思い返せば無茶なやり方だったと反省しているし、若手の作り手たちには真似をしないでほしい。それでも作品を見て引き受けてくださった橋本さんサイドの方々には、感謝しかない。

こちらから曲のイメージを伝え、橋本さんが作っていた楽曲の中から選んでくださったのは、「あ、そ、か」という母と娘のことを歌った曲だった。映画の物語のずっとずっと先まで想像させてくれるようで、ぐっと奥行きが広がる心地がした。さらにレコーディングにお邪魔すると、橋本さんは最後のサビ部分に新たな歌詞を書いてくださっていて、それがあまりにも作品を深く理解し寄り添ってくださるようなものだったので、私は思わず泣いてしまった。

それまで映画を作っていてどんなに大変でも泣くことなんてなかったので、自分でもびっくりしたが、その場にいた人たちはもっとびっくりしたと思う。本当に色々なところでお騒がせしてしまっているなぁと思いつつ、人の縁に恵まれて初めての長編を作れる幸せを噛みしめる。女優として色々な現場を見てきたから尚更、これが当たり前ではないことがわかる。

映画づくりを通して最後に関わる人たちが、観客だ。もうそこまで行けば映画『海辺の金魚』は私のもとを離れて、観た人それぞれの心の内へと旅立っていくことになる。潔く子離れをして、称賛されるも批判されるも相手にされないも、この映画が泳いでゆくままに任せて受け止めようと思っている。

この映画自身が歩んでいく力を信じること、不必要に干渉せずそっと見守ること。映画を作っていたときとはまた別の、期待や不安を抱える日々が始まるのだなとドキドキしている。ただひとつ、この先映画がどんな道をたどったとしても、「これが私のはじまりだ」と胸を張って言える誇りだけは持っている。あとは、いい風が吹くことを祈るばかりだ。

これまで映画『海辺の金魚』を作る過程で出会ってくださった皆様へ、心からありがとう。そしてこれから出会ってくださる観客の皆様へ、どうぞよろしく。

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