今年はオスカーの歴史が変わる?見どころ&ノミネーションを一挙紹介 「ジョーカー」「パラサイト」受賞なるか<第92回アカデミー賞>
2020.02.09 08:00
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世界最高峰の映画の祭典「第92回アカデミー賞」授賞式が、現地時間2月9日(日本時間2月10日)に開催される。ノミネートされた注目作品と俳優陣、授賞式の見どころポイントを徹底紹介。
目次
今年は大混戦!ネトフリ作品や韓国映画が歴史を変える可能性も…
今年のアカデミー賞は、近年まれにみるほど、世界的にヒットした傑作映画が揃った。さらに、映画界が変化しつつあることを強く感じさせるノミネーションとなっている。中でもNetflix作品の躍進は、もうとどまるところを知らず。サブスク配信は映画としては異端だという見方もあったが、もはやメジャーな選択肢に。8作品で全24もノミネーションを受け、最高賞の「作品賞」にも2作がノミネート。また今年は「作品賞」に韓国映画が初ノミネートされたほか、コミックス原作の「ジョーカー」がノミネートされるなど、ジャンル多様さでも話題を集めている。Netflix映画も、韓国映画も、「作品賞」を受賞すれば間違いなく映画史が動くこととなるだろう。
日本人の活躍にも注目だ。歌曲賞にノミネートされている『アナと雪の女王2』のメイン楽曲「イントゥ・ジ・アンノウン」のステージに、日本版で務めた松たか子が出演することが発表された。松はオリジナル版の声優イディナ・メンゼルと共に、世界9か国のエルサ役声優と同曲を歌唱する。
また、ハリウッドで活躍中の日本出身メイクアップアーティストKazu Hiro(改名前:辻一弘)氏が、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。ジェイ・ローチ監督作『スキャンダル』で、現役で活躍中の有名ニュースキャスターを演じたシャーリーズ・セロンらを、観客が驚くほど本物そっくりに変貌させた。受賞すれば2度目のオスカー受賞となる。
また、グラミー賞5冠に輝いたビリー・アイリッシュのパフォーマンスも決定。ビリーは『007』シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のテーマ・ソングに歴代最年少で抜擢されており、アカデミー賞で初披露するのでは?という噂も。俳優部門のノミニーがまたしても白人ばかりと物議を醸している部分はあるものの、新しい風が吹くアカデミー賞となるのか期待したい。
【作品賞】注目ポイント
9作品がノミネートされ、ヒット作揃いとなった今年。トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』は、アメコミ作品でありながらダークヒーローの精神面に深く切り込んだ内容が反響を呼び大ヒット。R指定映画として史上最高となる映画世界興行収入1100億円を記録した。しかし過激な内容故にアメリカでは上映中止の措置をとる映画館もあり、殺人鬼を描いた作品が受賞していいのかという声も。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演を果たしたクエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、前哨戦「ゴールデングローブ賞」で作品賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞。世界に衝撃を与えた「シャロン・テート殺害事件」直前のハリウッドを描き、1960年代の当時を完璧に再現したことが評価されている。
また昨年の『ROMA/ローマ』に引き続き、今年はNetflixが2作ノミネートされるという快挙。巨匠マーティン・スコセッシ監督がNetflixオリジナルで手掛けたギャング映画『アイリッシュマン』と、ノア・バームバック監督が自らの実体験をもとに、離婚を巡る夫婦の複雑な感情を繊細に描いた『マリッジ・ストーリー』、どちらも注目だ。
そんな中、今回の「作品賞」はサム・メンデス監督『1917 命をかけた伝令』と、ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』の一騎打ちとも言われている。
これをとればアカデミー賞受賞に大きく近づくと言われている「米プロデューサー組合(PGA)賞」で作品賞を受賞した『1917 命をかけた伝令』は、第一次世界大戦で戦場を駆け抜けたイギリス兵の青年を、全編ワンカットで描く。その技術の高さやプロジェクトの難易度も含め、総合芸術として評価されている。
一方、アジア映画で初の作品賞ノミネートとなった『パラサイト 半地下の家族』は、昨年の「カンヌ国際映画祭」で最高賞のパルムドールを受賞。裕福な家庭に寄生していく貧困層の家族をユーモラスかつスリリングに描き、アジアから初の快挙となるかに期待が寄せられている。
【助演男優賞】注目ポイント
今年の「助演男優賞」の注目は、何と言ってもブラッド・ピット。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でレオナルド・ディカプリオ演じる落ち目俳優の“スタントマン”を演じ、56歳とは思えない鍛え上げられた肉体も話題に。過去プロデューサーとしてはオスカーに輝いた“ブラピ”だが、俳優賞での受賞は全て逃している。彼以外のノミニーは皆過去に俳優賞を受賞しており、ブラピの俳優賞初受賞は多くの映画ファンが期待していることだろう。
ただライバル達はトム・ハンクス、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノなど大ベテランの名優揃い。ようやくブラピが俳優としてオスカーを手にすることができるのかに注目だ。
【助演女優賞】注目ポイント
最有力と言われているのは、数々の前哨戦を総なめにしている『マリッジ・ストーリー』のローラ・ダーン。スカーレット・ヨハンソン演じる離婚を決意した舞台女優の弁護士役で、その饒舌な敏腕ぶりが生き生きと伝わる演技が話題に。オスカーには過去2度ノミネートされるも受賞を逃しており、三度目の正直となるか期待がかかる。対抗にはその『マリッジ・ストーリー』で共演したスカーレットも。タイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』でナチスに傾倒する少年の“肝っ玉母ちゃん”を演じノミネートされている。
また、おととし主演女優賞にノミネートされるも惜しくも受賞を逃した『スキャンダル』のマーゴット・ロビーにも注目だ。
【主演男優賞】注目ポイント
やはり今年の「主演男優賞」は、『ジョーカー』のホアキン・フェニックスが大本命。コメディアンに憧れる心優しい男が、いじめや貧困などの社会的制裁で精神的に追い詰められ、殺人鬼に変貌していく様子を狂演し、その演技は世界中の人々の心を動かした。徹底した役作りで知られるホアキンは、何も食べずに23キロも減量しこの役に挑んだそう。「ゴールデングローブ賞」、「全米映画俳優組合(SAG)賞」など前哨戦でも主演男優賞はホアキンが総なめ状態だ。対抗は『マリッジ・ストーリー』のアダム・ドライヴァー。こちらは『ジョーカー』とは一転、日常を静かに描いた作品だが、愛していた元妻と息子の親権巡って喧嘩するシーンを約10分間の長回しで撮影。物静かな男が徐々に激昂し理性を見失っていく様子を、妻役のスカーレットと共に名演した。
【主演女優賞】注目ポイント
数々の前哨戦を制している『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガーの受賞が最有力視されている。同作でハリウッド黄金期の伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドを演じたレニー。波乱万丈の人生を送ったジュディが47歳で急逝する半年前、自身の全てをかけたロンドン公演を再現したエモーショナルな歌唱シーンは圧巻。レニーは厳しいレッスンの末、全曲自らの生歌で挑んでいる。『マリッジ・ストーリー』のスカーレットは、夫約のアダム同様、離婚に直面した女性の感情の揺れを長回し撮影で見事に表現。助演女優賞とW受賞という歴史的な快挙もかかっている。
『スキャンダル』のシャーリーズは、超有名ニュースキャスターのメーガン・ケリーを実名役で実写化。アメリカ人ならだれもが知っている人物を演じ、2016年に起きたセクハラ騒動を3年後すぐに映画化するというプレッシャーもはねのけ熱演した。
そんな中、受賞を望む声が多いのは『ハリエット』のシンシア・エリヴォ。今回の俳優賞の中で、唯一“白人ではない”からだ。しかも彼女が演じたのは、奴隷制が敷かれるアメリカ南部から多くの奴隷を逃がす手助けをした伝説的活動家。演技部門は今回も再び白人だらけとなってしまったアカデミー賞に、多様性の光が差すのか注目が集まる。(modelpress編集部)
「第92回アカデミー賞」主要部門ノミネート作品一覧
【作品賞】「フォードvsフェラーリ」
「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「ジョーカー」
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
「マリッジ・ストーリー」
「1917 命をかけた伝令」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
「パラサイト 半地下の家族」
【助演男優賞】
トム・ハンクス「ア・ビューティフル・デイ・イン・ザ・ネイバーフッド(原題)」
アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」
アル・パチーノ「アイリッシュマン」
ジョー・ペシ「アイリッシュマン」
ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
【助演女優賞】
キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」
ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
マーゴット・ロビー「スキャンダル」
【主演男優賞】
アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー(英題)」
レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アダム・ドライヴァー「マリッジ・ストーリー」
ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
ジョナサン・プライス「2人のローマ教皇」
【主演女優賞】
シンシア・エリヴォ「ハリエット」
スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
シアーシャ・ローナン「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
シャーリーズ・セロン「スキャンダル」
レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」
【監督賞】
マーティン・スコセッシ「アイリッシュマン」
トッド・フィリップス「ジョーカー」
サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」
【Not Sponsored 記事】
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