向井理、詐欺師の顔を持つ警察官役に「挑戦するモチベーションになっている」

2024.04.26 08:00
提供:TVerプラス

向井理さんが主演を務めるテレビ東京開局60周年 ドラマ8『テレビ東京×WOWOW 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season1』(テレ東系、毎週金曜20:00~※TVerでリアルタイム配信あり)の第1話が4月26日(金)よりスタートします。


主人公の多家良啓介(向井さん)は、交番勤務の警察官。真面目で頼られる存在ですが、彼には法では裁けない相手ばかりを狙う「詐欺師K」という顔がありました。なぜ、警察官でありながら詐欺師の仮面をかぶることになったのか? 悪人を欺き、刑事をも翻弄する彼の過去、そして目的とは……。


今回、本作でふたつの顔を持つ多家良を演じる向井さんにインタビューを実施。役に対する思いを聞く中で、向井さんの“過去”も明かしてくれました。


多面的な人物を演じる楽しさを実感


――ふたつの顔を持つ人物を演じることについて、率直にどんなことを思いましたか?


今まで詐欺師が詐欺師を騙すドラマはあったと思いますけど、今回(表の顔が)警察官ということで、また少し違うアプローチになるんじゃないかなと思いました。当然ですけど同じことをやっても評価はないと思うので、どういう切り口でドラマが出来ていくのか楽しみでした。


――実際に多家良を演じてみて、何か感じるものはありましたか?


毎回いろいろな詐欺師を騙していくわけですが、相手によって効果的だと思う職業を選んで騙していくので、「ふたつの顔」というよりは、「複数の顔を持っている」という感覚でやっていますね。とても生々しい台本なので、それにあったお芝居をした方がいいし、何より“詐欺師を演じる”という意識は忘れようと思いました。1話ごとに違う職業の人を演じるので、分かりやすく「詐欺をしている」という顔はしない方がいいなと思ったんです。


制作の方たちと初めてお会いするときにも「派手さやエンターテインメント性だけで成立させるのではなく、(1話ごとに)ひとつの役柄を演じきることで(物語や役柄を)成立させていきたい」と話をさせていただきました。


――多家良という人物については、どのように捉えましたか?


人間はもともと多面的で社会的な生き物だとは思いますけど、今回それが顕著に出ているなと思います。例えば、ひとつのキャラクターを演じるとき、本来は言葉遣いや一人称が寄りどころになるんですけど、今回はあえてぐちゃぐちゃにしています。(対面する)相手によって言葉遣いが変わっている……というのも、このドラマの面白味のひとつなのかなと思いますね。それこそ、荒川良々さん演じる矢柴等(詐欺師Kの師匠&相棒)の前と、詐欺師の前とでは全然(言葉遣いや雰囲気が)違うんですよ。


その中で、多家良のキャラクターが見えるように演じるには、どうすればいいか。すごく難しいことですが、挑戦するモチベーションになっている気はします。


――オフィシャルのコメントで「装うのではなく、生きる。」とおっしゃっていましたが、まさにその言葉につながるんですね。


そうですね。詐欺師って、当たり前ですけど、これから詐欺を働く相手に対して、絶対に本心を見せないじゃないですか。昨年、舞台をやったんですが、僕が演じたのが、日常生活の中で些細な嘘をつく役柄だったんです。稽古中、演出家に「嘘をついている人ってもっと流暢に話すよね」と言われて……。確かにたどたどしく話していたら怪しいですよね。それと一緒で、詐欺をしている人って相手に悪い顔は見せない。多家良を演じる際は、“詐欺師をやっている意識をなくそう”と思ったところから始まっています。


――俳優として、多面的な役を演じることにやりがいを感じるものなのでしょうか?


面白いですね。基本的に主人公って、ブレちゃいけないし、ずっと正義でいなきゃいけない。だからこそ悪役(を演じていて)って楽しいなと思うことも多いんですけど……(笑)。今回、警察官でありながら詐欺師という2つの顔を持つ、“矛盾している役”に挑戦できるのはすごく楽しいです。多家良は、(詐欺師を騙すため)いろいろな名刺を持っていますが、その名刺に書かれた人物の人生すらも自分なりに考えて演じられるのは、ハードルが高いし、大変ですけど、いい経験をさせてもらっているなと思います。日々、頭をフル回転させながら現場に行っていますね。


詐欺は「人の欲望」につけ込む


――撮影現場の雰囲気はいかがですか?


基本各話ゲストなのですが、過去に共演したことある方ばかりなんですよ。初共演の方もいる中で、“詐欺に会う人”も“詐欺をする人”も、「お久しぶりです」とか「最近も会いましたね」という人が多いんです。入り口として“どういう人なのか?”は分かっているから、いつもと距離感は違うのかなと思いますね。受け止めてくれる人も多いので、気楽に構えてる感じはします。


――荒川良々さんとも共演作は多いですよね。


良々さんとは何度か同じ作品に出たことはありますけど、がっつりとお芝居をさせていただいたことはないんです。基本的にはプライベートで酔っぱらっている姿しか見たことがないんで(笑)。そういう意味では、新鮮な姿を見ているなと思います。


――詐欺師のスキルについては、向井さんの目にどう映りましたか?


肩書きだったり、ビジュアルだったり、 説得力がないと騙せない……というのはありますけど、台本や最近の詐欺事件を見て思うのは、やっぱり「人の欲望」ですよね。経済的なことが多いと思うんですけど、被害に遭う方の欲望をどれだけくすぐれるか? 犯罪ではありますが、詐欺師としては大事なスキルなのかなと思います。


――ドラマの世界は、非現実的に感じてしまいがちですが、現実に詐欺は多く存在します。このドラマを通じて、少しでも気を引き締める人がいたら……と思うこともありますか?


僕としては「大義名分があってこのドラマをやっています」とは思っていないんですけど、この役をやらせていただけると聞いてからは、日常生活の見え方は明確に変わりましたね。今まで、“こんな詐欺があるんだ”と流していたものが、特にここ最近は、“こんなに毎日違う詐欺事件が起こるんだ”と感じるようになりました。やっぱりどこか他人事ですけど、その中でも距離感は変わったなという意識はあります。(視聴者には)“もしかしたら身近に詐欺は存在するかもしれない”と頭の片隅にでも入れておいていただければ、今まで見てきた景色も変わるのかなと思います。だからと言って、「人を信用するな」ということではないですが、そんなにうまい話はないんだぞ、と俯瞰して見てもらえればと思いますね。


――警察官を演じるとなると、街で見かける本職の警察官に目がいくものなんですか?


今は便利な時代で、ある程度インターネットで調べられますけど、調べて一番上に上がってくるものってステレオタイプのものが多いと思うんです。それに頼ってしまうと、自分がお芝居している意味がなくなるので、あまりデジタルには頼りすぎないようにしていますね。最近は、なるべく交番の前を通るようにして観察をしたり、“警察官の方って、自転車に乗るとき、(イメージの中にある)あのヘルメットを本当にかぶっているんだ”と思ったり……。これは、ひとつの例ですが、そうやって感じたことや職業のクセを自分の中に蓄積しています。


――昔から役を演じるために人間観察をすることも多かったんですか?


20代のころは、スクランブル交差点が見えるカフェに1日8時間ぐらいいて、エリートっぽい人を探していました。“あの人エリートっぽいな”と思ったら、“じゃあなんで自分はエリートっぽいと思ったんだろう”と考えて、そう思った理由をメモするんです。もちろん、僕がエリートだと思った人は、何をしているか分からない人だけど、形態模写をすれば説得力が生まれると思ったんですよね。


数年後、エリートの役をいただいたときに、あのときカフェで「エリートに見えた方は、こういう歩き方をして、こういう携帯の持ち方をして、バッグはこうやって持っていた」と書いたメモを確認して、(役に)近づけました。(そうした観察は)いまだに無意識で続けていることですね。


取材・文:浜瀬将樹、撮影:松本理加
ヘアメイク:晋一朗(IKEDAYA TOKYO)
スタイリスト:外山由香里


<第1話あらすじ>
多家良啓介(向井)は近隣住民が気軽に立ち寄る町の交番に勤務する親切な警察官。だが、実は多家良は“過去のミス”により交番勤務をしていた。そんなある日、一本の通報が入り現場へ駆けつける。経営コンサルタント・鹿野博之が参加する資金繰りに苦しむ経営者のための相談会に現れた須永良二が「騙された」と暴れていた。


その頃、警視庁捜査二課では特別捜査官採用で配属された宮部ひかり(内田理央)が、課長・岩合拓真(伊藤淳史)に着任の挨拶をしていた。簿記1級の資格を持つ元銀行員という異色の経歴で「詐欺被害を少しでも減らしたい」と熱く語るが、現実を知ることになる。ひかりは早速、トラブルを起こした須永の元へ主任の山本貫太と共に事情を聞きに行く。コロナの煽りで経営難に陥り、融資の相談を鹿野にすると、ある条件を満たせば5000万円の融資を受けられると言われていたが、鹿野に1500万円を騙し取られた上に、「全国中小企業金融公庫」から融資返還の督促状が届く事態に。その現実に憤るひかりだが、警察から捜査されることになったのは須永だった――。そんな状況に多家良は近所でクリーニング店を営む矢柴等(荒川)の元を訪れ……。


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