涼を求めて奈良・天川村へ!渓谷ハイキングに鍾乳洞探検、温泉まで楽しむ夏旅

2025.07.16 21:45
提供:anna

最高気温が35℃を超える猛暑日が当たり前となりつつある近年、夏の旅は“涼しさ”がキーワード。せっかく旅にでるのなら、暑さを避けて過ごすよりも涼しく夏を満喫しましょう!

そこで訪れたのは、太平洋に注ぐ熊野川の源流であり、修験道の聖地として知られる奈良県吉野郡天川村です。奈良盆地よりも平均3~5℃ほど気温が低く、“水の国”とも称されるほど美しい水景が広がる天川村で、大自然が生み出した“涼”を巡ってきました!

( Index )

「みたらい渓谷」で川辺の遊歩道を散策 年中約8℃の地下世界「面不動鍾乳洞」 「天河大辨財天社」で神聖なパワーをチャージ 夏の疲れは「洞川温泉」でさよならしよう

「みたらい渓谷」で川辺の遊歩道を散策

水の神である八大龍王を祀ったことが起源とされる「大峯山龍泉寺」や、環境省が認定する名水百選にも選ばれている「洞川湧水群」などがある天川村は、“水”に縁の深い土地です。

なかでも巨石や奇石、大小さまざまな滝とともに、手付かずの自然が織りなす渓谷美が広がる「みたらい渓谷」は、夏こそ訪れたいシーズン。川遊びをしたり、全長約8kmにわたって整備された遊歩道を踏破したり、ここでしかできないネイチャートリップを叶えてくれます。

川に向かって枝を伸ばし、道を阻むように現れる「カツラの大木」。

今回歩いた「みたらい渓谷遊歩道」は、天川村総合案内所のある天川川合バス停から名所・みたらいの滝を越え、洞川温泉を目指す山登りルート。歩道のすぐそばを川が流れているため涼気にあふれ、木陰の多い一本道が続くので、夏のハイキング初心者さんでも安心してチャレンジできます。(もちろん、登りが不安な人は下りルートもおすすめです!)

「みたらいの滝」周辺は自然美を満喫する絶好ポイントが多数。

水の流れる音、鳥のさえずりといった天然のBGMを聞きながら進む道のりは、絶景の連続! 底まで見えるほどの透明度を誇る川にエメラルドグリーンの淵、ダイナミックな巨石群、森の中に吸い込まれるように架かる橋など、どこを見てもフォトジェニックな景観が広がります。

哀伝橋から望む、「みたらいの滝」とつり橋。

遊歩道のちょうど中間地点では「みたらいの滝」を観ることができます。周辺には休憩所や川に降りられる階段などもあり、観光客や川遊びをする人たちでもっともにぎわうポイントです。

ここから洞川温泉に向かう道は、「みたらい渓谷遊歩道」最大の難所ともいわれているほど、階段や急な上りが増えるそう。しっかり休息をとり、水分補給をしてから挑みます!

水辺に下りられる場所では、冷たい水に触れて涼をとるのもお楽しみ。

川迫川と山上川の2つの川が交わる「みたらい渓谷」は、川ごとに変化する水景も見どころのひとつ。高低差が激しくなる山上川は滝が多く、ゴウゴウと荒々しさを感じる水音に変わっていきます。かと思いきや、澄んだ水をたたえた淵が現れたり、山深い道では川を見失ったり、くるくると表情を変える景色に飽きることはありません。

大阪市内からたった2時間ほどでたどり着ける、山間の秘境「みたらい渓谷」。遊歩道を歩いた先には、森林浴で満たされたリフレッシュ感や達成感、そして待望の洞川温泉がお待ちかねです。

「みたらい渓谷遊歩道」で見つけた心に残る景色の数々は、スライドでもご紹介します。

鮮やかな木々の緑に赤い橋が映え、まるで物語のワンシーンのよう。 川迫川沿いの遊歩道は、比較的平坦な道が続きます。 木立のすき間から眺める水景の美しさはため息もの。 遊歩道のあちこちで見かける湧き水は、冷たくて気持ちいい! 途中には休憩できるスポットもあります。 名所「みたらいの滝」のてっぺんを真横から眺める貴重な体験も。 森の中に入り、山道が続く山上川側の遊歩道。 ファミリーやグループなど、川遊びをする人たちをたくさん見かけます。

みたらい渓谷/みたらい渓谷遊歩道(みたらいけいこく/みたらいけいこくゆうほどう)

奈良県吉野郡天川村北角
0747-63-0999(天川村総合案内所)

※天川村各所でハイキングコースマップを配布しています。

足を延ばして天川村のシンボル「かりがね橋」へ

まるで宙に浮いているように見える「かりがね橋」。

洞川温泉から15分ほど歩くと、天川村でもっとも長い、全長約120mもの「かりがね橋」が出現。「みたらい渓谷遊歩道」と並ぶ人気のハイキングコース「洞川自然研究路」では実際に歩いて渡ることもできるので、体力に余裕があれば訪れてみてください。

年中約8℃の地下世界「面不動鍾乳洞」

入り組んだ鍾乳洞内は冒険気分満点!

天川村でもっとも“涼”な場所といえば、洞川地区にある「面不動鍾乳洞」です。夏でも洞内の平均気温は約8℃。入り口に立った瞬間から冷気が感じられるため、夏の暑さで火照った体をクールダウンするのに最適です。

無数の鍾乳石が荘厳な景色をつくる「天の花園」

奈良県の特別天然記念物にも指定されている「面不動鍾乳洞」は、全長約280m。天井や壁からツララのように垂れた鍾乳石、地面からタケノコのように伸びた石筍(せきじゅん)は、どちらも1cm成長するのに約100年から200年を要するといい、気が遠くなるような年月をかけてつくられた自然のアートです。

鍾乳洞と聞くと狭いイメージがあるかもしれませんが、「面不動鍾乳洞」は天井が一番高い場所でなんと約10mもあります。実は、大昔には洞川地区の集落全体が巨大な鍾乳洞だったという説があり、ここはその一部だと考えられているそう。もっともっと巨大な空間が広がっていたかと思うと、歴史のロマンも感じられます。

洞内は青や赤、緑、紫といったさまざまなカラーのライトアップで演出。濡れた鍾乳石や岩肌がカラフルに変化する照明によってより幻想的に、より神秘的に輝き、現実とは思えないほど美しい絶景を見せてくれます。

照明によって鍾乳石の影が浮かび上がり、迫力満点の立体感に。 まるでオブジェのように並ぶ石筍の造形美が楽しめる「行者窟」。 小さな鍾乳石が無数に並ぶ姿から「ちりめん天井」と呼ばれています。 鍾乳洞ならではの未知の絶景は、一見の価値あり。 昭和8年に発見された「面不動鍾乳洞」。5年もの歳月をかけて発掘されました。

面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)

奈良県吉野郡天川村洞川673-89
0747-64-0352
営業時間:【夏季】8:00~18:00 【冬季】9:00~17:00 ※各最終入場は30分前まで
定休日:水曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始、荒天時 ※7・8月は無休
料金:大人(中学生以上)450円、小人(4歳~小学生以下)200円

「どろっこ」で山道をショートカット!

1両は4人乗り。2名用のイスが2席あります。

「面不動鍾乳洞」は海抜878mの高台にあるため、坂道を歩いて向かうと約20分がかかります。しかし、写真の「面不動モノレール(愛称:どろっこ)」を利用すれば、約5分で到着。丸太のような形をしたかわいいデザインでファミリー人気も高く、「どろっこ」に乗るためだけに天川村を訪れるファンもいるそうです。

「どろっこ」は背中にしっかりと重力を感じるほどの急斜面をゆっくりと進みます。木々が間近に迫ってくるような迫力は、怖さのない遊園地のアトラクションのよう。

「面不動鍾乳洞」前の昇降口に到着したら、ぜひ洞川地区が一望できる絶景にも目を向けてみて。一番奥には世界文化遺産にも登録されている修行道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の稜線が、左手には大原山が広がっています。

面不動モノレール(どろっこ)

奈良県吉野郡天川村洞川673-89
0747-64-0352
営業時間:面不動鍾乳洞に準ずる(営業時間中は随時往復運転/混雑時は早期に受付を終了する場合があります)
定休日:面不動鍾乳洞に準ずる
料金:【大人】往復500円、片道300円 【小人(4歳~小学生以下)】往復300円、片道200円

「天河大辨財天社」で神聖なパワーをチャージ

天川村の中央エリアに位置する「天河大辨財天社(天河神社)」は、日本三大弁天のひとつであり、日本有数のパワースポット。“神さまに呼ばれた人しか行けない場所”と伝えられていることもあり、人生で一度は訪れたい特別な聖地として知られています。

ご祭神は、弁財天としても信仰される市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)です。水の神、芸能の神、財運の神であることから、ご利益を求めてたくさんの参拝客が訪れます。

拝殿には、「天河大辨財天社」の象徴でもある神宝「五十鈴(いすず)」が吊るされています。3つの鈴をつなげたような独特の形をした「五十鈴」は、日本神話に残る天の岩戸伝説に縁あるもの。それぞれの鈴は「生魂(いくむすび)」「足魂(たるむすび)」「玉留魂(たまずめむすび)」という魂の進化に欠かせない状態を表しているのだそうです。

(右)「五十鈴守り 金(根付け)」3,000円 ※人気のため、授与数に制限があります

境内の池の周りにはベンチがあり、ほっとひと息つく場所としてもおすすめ。「五十鈴」の形をした人気の授与品「五十鈴守り」のやさしい音色に耳を傾けながら、ひと休みしてください。

天河大辨財天社/天河神社(てんかわだいべんざいてんしゃ/てんかわじんじゃ)

奈良県吉野郡天川村坪内107
0747-63-0558
参拝時間:8:00~17:00 ※社務所授与所、御朱印の両府は8:00~16:30

夏の疲れは「洞川温泉」でさよならしよう

天川村を訪れたなら、やっぱり温泉は欠かせません。川で遊んだり、遊歩道を歩いたりして疲れた体を癒やすため、日帰り温泉や温泉旅館をぜひ利用して!

【日帰り】洞川温泉ビジターセンター

「洞川温泉」は、今回の「みたらい渓谷遊歩道」散策の終着地でもあります。

2024年4月にオープンした「洞川温泉ビジターセンター」は、名産・吉野杉を贅沢に使った建物が目を引く日帰り温泉施設です。ちょうど洞川温泉街の入り口にあり、湯治を求める観光客を出迎えてくれます。

(左)内湯、(右)露天風呂

弱アルカリ性単純泉のやわらかいお湯が特徴の洞川温泉は、古来より修験者たちを癒やしてきた歴史ある秘湯。木の香りに包まれたヒノキの内湯と、少しぬるめの露天風呂がじんわりと体をほぐしてくれます。

施設内には特産品やドリンクなどを販売するコーナーをはじめ、広くゆったりした休憩室もスタンバイ。温泉に入ったあとものんびりとリラックスタイムが過ごせます。

洞川温泉ビジターセンター(どろがわおんせんビジターセンター)

奈良県吉野郡天川村洞川13-1
0747-64-0800
営業時間:11:00~20:00(最終受付19:30)
定休日:水曜(祝日の場合は翌日休)
料金:大人(中学生以上)800円、小人200円 ※タオルの販売もあり

【お泊り】洞川温泉街

夜は提灯に明かりが灯り、幻想的な雰囲気に一変。

20数軒の旅館・民宿が並ぶ洞川温泉街は、まるで昭和初期にタイムスリップしたようなレトロな町並みが魅力。建ち並ぶ宿は広く開け放たれた縁側が特徴で、修験道を訪れた山伏たちがいっぺんに旅館に上がれるようにと考えられたものなのだとか。日が落ちると風情や旅情感は一層増し、浴衣に着替えて散策したくなります。

洞川温泉街(どろがわおんせんがい)

奈良県吉野郡天川村洞川
0747-64-0333(洞川温泉観光案内所)

※内容は変更になる場合があります。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
※料金はすべて税込表記です。

写真/天川村企画観光課、村瀬高司 文/小林梢

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