

乗れない、買えない、入れないの三重苦……日常生活で実感した「オーバーツーリズムの影響」
【外国人旅行者エピソード #7】さまざまなシーンで遭遇する、外国人旅行者による驚きの行動。そこで、All About編集部ではインバウンドに関する500人アンケートを実施。そのなかから、今回は「オーバーツーリズムの影響」をお届けします。
All About編集部が実施した「インバウンド常識&非常識」アンケートに寄せられた回答のなかから、今回は外国人旅行者の増加にともない日常生活で困っていることについてご紹介。観光庁「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化研修」講師などの実績がある中原健一郎氏が解説します。
交通機関でのトラブル
バス、電車、タクシーなどの交通機関利用時にストレスを感じている人が多いようです。
「日常的に使っているバスや電車に外国人だらけで乗れなくなったこと(30代男性/神奈川県)」
「新幹線が混雑していて、席が思うように取れない(50代男性/兵庫県)」
「仕事や家族の付き添いで必要な時に、タクシーが全くつかまりません(50代女性/埼玉県)」
「交通量の多い道路の真ん中で写真を撮っている外国人がいて、なかなかどいてくれない(20代女性/愛知県)」
中原:インバウンド隆盛はこの20年ほど国を挙げて取り組んできたことの成果ですし、個々の外国人旅行者に大きな罪はありません。
しかし、確かに観光地や都内の一部など、市民の足に多大な影響が出ている地域はあります。行政を中心とした集中的、効果的な対応が必要ですし、われわれ市民も積極的に関与していくべきです。
道路の真ん中で写真を撮るのは完全なマナー(ルール)違反。「あなたの国ではよくても日本ではダメなんです」と、見かけた人が毅然と注意を促すことも、日本という国の質の高さを示しつつ問題の解消につながるはずです。
観光地の物価&宿泊問題
楽しいはずの旅行でがっかりした人、ビジネスシーンで悪影響が出ている人もいます。
「ビジネスホテルの値段が急に上がったうえに、満室が多く予約自体取りにくくなった(30代女性/兵庫県)」
「観光地の食べ物の値段が上がっていて嫌になった(30代女性/兵庫県)」
「スキー場が外国人観光客に合わせた値段設定になり、宿も、レストランの食事も、リフト券代も、とっても高額になりました。スキーというレジャーが、日本人にとっては、高くて手が出ないレジャーになりつつあります(50代女性/神奈川県)」
中原:これについては私も実感することが多いですね。ただし、「地域による」というのが実情です。東京や京都を中心に、ホテル代がコロナ禍前よりはるかに高くなった地域もありますが、地方に行けば「20年前のお値段です」というような宿も少なくありません。
昨今は宿泊施設の料金が“時価”で動くことがほとんどですから、需要の多い地域の宿泊料金が一定程度上昇することは避けられません。とはいえ、いくら需要があっても明らかに施設やサービスのクオリティーと価格が見合っていないケースもありますので、今後の大きな課題でしょう。
スキー場の件については、北海道のスキー場などが報道されるケースが多いようです。一部のキッチンカーなどが極端な値段で商品を販売し、それを自国よりは安い安いと言って食べる「一部の」外国人。報道ではそういう”絵”をクローズアップして流す傾向があります。
ただし、報道されている地域でも、街中の飲食店が軒並み高価格なのかといえば、そうではありません。外国人はどうしても現地人より情報量が少ないですから、SNSなどで話題の場所に一極集中します。
日本人は情報量の多さを武器に混雑のない穴場スキー場を探すことも可能です。むしろ「リフト券いまだにこの値段!?」と驚くようなゲレンデも多くありますよ。
外食&ショッピング時の変化
身近な飲食店やドラッグストア、コンビニも利用しにくくなっているという声も。
「行きつけの飲食店に入れなくなった(40代男性/奈良県)」
「定食屋の券売機に外国人観光客が群がっており購入できないことがある(50代男性/東京都)」
「ドラッグストアなどで必要なものが買えない時に困ることがあります(30代女性/京都府)」
「飲食店やコンビニのレジが外国人観光客で長蛇の列になっていることが増えました。特にセルフレジの操作に慣れていないのか、戸惑っている様子の観光客が多いです(30代女性/東京都)」
中原:レジや券売機の操作が外国人に難しいのは仕方がないどころか、日本は多言語での説明不足などによって難易度に拍車がかかっています。このような場面に遭遇したら、ぜひ少し助けてあげましょう。
流ちょうな英語を話す必要など全くありません。「少し助ける」という行為が世界での日本ファンを増やすことにつながり、何よりそれが、インバウンド受け入れの大きな狙い、目的であって、ファン獲得の恩恵を将来享受するのはわれわれ日本人です。
とはいえ個人の努力では限界がありますので、やはり自治体や企業のリードでさらなる案内表示対策を進めてほしいと思います。
いかがでしたか。主に都市部や観光地に隣接する地域では、日常生活でもオーバーツーリズムの影響を実感する機会は多いようです。これからは一人ひとりがより主体的に行動することが求められているように思います。
中原健一郎 プロフィール
神奈川県生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。次世代の国際派観光人材の育成やサービス産業の業務改善に取組むほか、約120カ国の渡航経験に基づく海外旅行の危機管理やお得情報を発信。中小企業診断士、観光学講師、全国通訳案内士。All About 海外旅行ガイド。
<調査概要>
インバウンド常識&非常識に関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年02月21日~03月07日
調査対象:全国10~70代の500人(男性147人、女性344人、回答しない7人、その他2人)
※回答者のコメントは原文ママ
執筆者:中原 健一郎
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