

“幸い”とは何か──『ぼくほし』が示した青春と人生の答え【僕達はまだその星の校則を知らない#最終話】
※本コラムは『僕達はまだその星の校則を知らない』最終話までのネタバレを含みます。
■“幸い”とは、この星で上手に生きていく術を探し続けること
よく、「学生時代に戻りたい〜!」と思うことがあります。でも、健治(磯村勇斗)が言うように、学校ってぬめぬめべとべとしている場所だったのかもしれません。多種多様な人類が無作為に集まっているから秩序がない。だから、みんな分かり合うためにたくさんの努力をしているんです。その努力は、振り返れば輝いて見えるけど、渦中にいたら傷つくことの方がずっと多かったりする。でも、わたしたち大人はそんなことはすっかり忘れて、輝きの方だけを覚えているんですよね。振り返った時に思い浮かぶ輝きを、人は「青春」と言うんだと思います。
『ぼくほし』の生徒たちは、眩しすぎて目を逸らしたくなるくらいに輝いていました。それはきっと、彼らが必死に“幸い”を探しながら生きているから。そんな生徒たちを支える教師たちもまた、“幸い”を見つけている最中です。
だからこそ、失敗もするし、迷うことだってある。山田(平岩紙)が起こした裁判で、生徒が証言台に立った時に、濱ソラリス高校っていいなと思いました。教師と生徒が一体となり、この星で上手に生きていく術を本気で探している。そんな姿勢に、『ぼくほし』らしさを感じました。
■健治と珠々の結婚、視聴者にも祝福させて〜!
ガールズトークで、「ねえねえ、どんなプロポーズが理想?」という話になった時、わたしはいつも「夜景の見えるレストランで〜」みたいなありきたりな回答をしてきました。でも、これからは「“僕らが出会ってから、もう地球は太陽のまわりをぐるりと一周以上回りました。結婚しましょう”って言われたい!」と答えていきたいと思います。それくらい、健治のプロポーズは最高だった! 数々の恋愛ドラマを観てきましたが、こんなに素敵なプロポーズの言葉に出会ったのは初めてかもしれません。
健治みたいに奥手なタイプって、“この人”と決めた相手に出会ったら、急に男気を発揮するんですよね。珠々(堀田真由)が「1回しかデートもしてないのに?」と言っても、「ごめん。でも、どう考えても、あなたのそばにいることが僕の幸いだから」とばっさり。これはもう“この人についていけば大丈夫”と思えるやつ〜! ぜひ、スペシャルで健治と珠々の結婚式とかやってほしい……! わたしたち視聴者にも祝福させてくださいっ!
また、珠々に「白鳥さんが学校を訴える弁護士になるのなら、しばらくは会わない方がいいかもしれません」と言われた時に、「嫌だ! 離れたくない! こんなに好きなのに! 僕と仕事、どっちが大事なんだ!」と恋愛における“痛ワード”を連発していた健治もかわいかったです。文学に慣れ親しんできているはずなのに、恋に沼った瞬間に語彙力が皆無になるのがおもしろい(笑)。
でも、恋愛ってそういうものですよね。あいみょんも、「ああ 余裕を持って人を好きになれる人ってこの世にいるのかな」(『ら、のはなし』)って言ってたし!
■理事長に“ムムス”を感じていたはずが……まさかの少女漫画展開!
そして、これは余談になりますが……。最終回の理事長のリアコっぷり、やばくなかったですか? 正直、わたしは理事長のことがあまり好きではなかったんです。学校を守らなければならないという責任感があるのは分かるけど、もっとちゃんと生徒の気持ちを考えてほしいなぁ、と。
腐ったミカンを排除するどころか、腐りかけのミカンまでを捨てようとしてしまう彼のスタンスは、教育者としていかがなものなのか? と“ムムス”を感じていました。
しかし、最終回で理事長が「いい先生になりたいと思っていたのに……」と健治の前で本音を漏らした時、彼のイメージが180度変わったんです。理事長は、最初から冷酷なロボットだったわけじゃない。感情を切り捨てなければ生きていくことができなかったんじゃないか? って。そう思った瞬間から、なんだか理事長のことが愛おしくてたまらなくなったんですよね。
山田との裁判の時、「今の学校は、僕の理想とする学校ではない。しかし、必ずやそうなるようこれからはもっともっと足掻いていきたい。そう心を決めました」と宣言していた理事長。正直、忙しさにかまけてそんなことを忘れてしまうんじゃないかな……なんて疑ってしまった部分もありましたが、彼は有言実行の男でした。
数ヶ月後、理事長室には「どなたもどうかお入りください。決して遠慮はありません」と書いたメモが貼られるように。服装もいつも高そうなスーツを着ていたのに、ジャージを羽織るようになりました。きっと、生徒も話しやすくなったはず! 実際に、理事長室には生徒たちが集い、彼に勉強を教えてもらっていたのです(わたしも教えてほしい……)。
さらに、「自分の目で見ないと、生徒や先生方の最善の利益ってよく分からなくなるから」と朝礼にも参加するようになったなんて〜!
理事長が自身の“幸い”に近づけたのは、きっと健治との“出会い”があったから。本当は健治を認めているから、「もし(教員資格認定試験に)受かったら、その時はうちにどうぞ」と誘ったくせに、「君の良さも悪さも理解して雇ってくれるところなんて、そうそうないからね」と付け加えちゃうあたり、ツンデレの極みですよね……!
理事長に“ムムス”を感じていたわたしが、最終的には“ポポム”に変わっていたりすることもあるから、人生って面白い。生きていたら、たくさんの“ムムス”に出会うことがあるけれど、それを少しでも“ポポム”で塗り替えていけたら――最終的に、人生が“幸い”で満ち溢れるんじゃないかなと思います。
(文:菜本かな)
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