

『愛の、がっこう。』のタイトルに隠された伏線!? それぞれの点の意味【愛の、がっこう#6】
※このコラムは『愛の、がっこう』6話までのネタバレを含んでいます。
■京急に乗って三浦海岸へ、の伏線回収がここで
婚約者の暴走により、ホストであるカヲル(ラウール)との繋がりが親バレした愛実(木村文乃)。一方で、愛実父に派遣された愛実母から、娘との関係を断つよう、手切れ金持参で突撃されたカヲル。
住む世界の違いや、関係を続けることへの高い壁を感じた2人は、最後の遠足と称して、お別れ旅行へ。その行き先はカヲルが宿題で書いていた一文、「京急に乗って三浦海岸へ」のとおり、三浦海岸です。
親や知人に会うことのない土地で、スマホの電源を切り、外界から邪魔されない2人だけの世界を作り上げます。
電源を切る瞬間に映ったカヲルのスマホの画面が、バキバキに割れていたところにカヲルらしさが表現されており、細かい演出に唸ってしまいました。
■学校に対する本心を、初めて人に吐露したカヲル
2人は旅の間、お互いのいろんなことを話します。自分のこと、親のこと、仕事のこと、過去のこと。
そんな会話の流れで、愛実はカヲルに「学校行きたかった?」と問いかけます。それに対して、「聞かれたことなかった」と驚いた様子のカヲル。
学校へ行くことを『義務や一種の脅迫』のように強要されてきたカヲルの人生。
文字が書けることが当たり前の人たちから、配慮や寄り添いもなく、彼らにとっての当たり前をただただシンプルに強要され続けたことはとても苦しかったことでしょう。
しかし、愛実は「なぜ同じことができないんだ?」という上からではなく、「どうしたらいいか考えましょう」と、常に同じ目線に立って話してくれます。
なので、「本当はすげー行きたかった」というカヲルの言葉も、本心を初めて人に話した瞬間だったのでしょう。
そこからさらに、「学校で楽しく過ごしたかったんですよね。でもそれができないって分かってたから行けなかった」と、言語化し、代弁してあげる愛実に「なんでそんなに俺のこと分かんの?」とカヲルも驚いている様子。
その頃のカヲルの教師が愛実だったら、彼の人生もまた違っていたのかもしれないと、たらればに思いを馳せてしまう場面でした。
■お別れ旅ではなく、人生をリスタートする旅に
一方で、愛実も今まで誰にも言えなかった話をカヲルに話します。元彼への気持ちが募りすぎて、24時間探偵のように監視し、嫌われ、「死ね」と言われて海に飛び込んだ、いわば黒歴史であり、愛実にとっては人生の大きな分岐点。
それをカヲルはダサい話として、笑い飛ばしてくれるのです。
聞きようによっては重い話になってしまう話題ですが、カヲルのカラッとした対応によって愛実は身も心も軽くなりました。
愛実もカヲルも、元彼へのストーカーに自殺未遂や、学校に行けなかったことなど、それぞれが持つ人生の暗い部分に対して、誰にも言えなかった本音を意図せず曝け出し合うことになりました。
これによりこの遠足は、彼らにとってただの「お別れ旅」ではなく、「自分の過去を清算し、次へ進んでいく旅」にもなったのではないでしょうか。
これからの人生を前を向いて歩んで行くために意味のある時間になったことでしょう。
■読点と句点から見える、「愛の、がっこう。」に隠された意味
そんな幸せな時間にも終わりは訪れます。
2人で海を見ながら、愛実は「最後に作文を書きませんか」と提案します。するとカヲルは棒を持ち出し、砂浜に『先生げんきでな』と書くのです。当初はひらがなもままならなかったカヲルが漢字で『先生』とまで書けるようになるなんて……。
愛実はそれを『先生、げんきでな。』と修正し、点と丸の使い方を教えます。読点は文章が続く時に、句読点は文を終わらせる時に使うという説明に対し、カヲルは「じゃあ先生と俺は今日で句点?」と、関係の終わりを句点で表現しました。
さて、ここでドラマのタイトルである『愛の、がっこう。』の不思議な点の使い方が見えてきませんか?
『愛の』は読点で続き、がっこうは句点で終わっています。これは2人の関係の未来を表しており、恋人として愛は続き、がっこうという先生と生徒としての関係は終わる、ということなのではないでしょうか?
■花火大会と日傘は未来への伏線?
また、旅の途中立ち寄った食堂で、コロナ以降中止になってしまった花火大会のポスターを見ながら、カヲルは花火が再開したらこの店に「1人で観にくる」ようなことを言っていました。これも伏線のような気がしてなりません。
花火大会の再開をきっかけにあの店で2人は再会、または2人でデートに行く未来があるのでは?
忘れた日傘を回収し、あの日傘を使いながら、人の目を気にせず2人で堂々と陽の光の下を歩ける人生が歩める未来が来ることを想像してしまいました。
■別れ方にも2人の真逆の性格が……
駆け落ちするか、なんて冗談を言ったり、キスをしたり、関係はこの後も続いていきそうなほど、これが最後だなんて信じられないデート。
しかし、もう少し続くと思っていたこの時間は、カヲルの提案により突然幕を閉じます。
帰りの電車は別々で帰ろうというカヲルの提案に、名残惜しくなかなか改札を通れない愛実。「せーので別れるのはどう?」と言うカヲルのアイデアに乗るのですが、「せーの」でカヲルは一回転して別れるフリをし、愛実は馬鹿正直に背を向けて改札に入り、そのまま真っ直ぐホームへ向かって消えていくのでした。
おちゃらけたカヲルと、真面目な愛実の性格がこんなところでも発揮されるとは。
■幸せの1日から一変、推し寄せる辛い現実
愛実がホームでスマホの電源を入れると待ち構えているのは現実。
降り注ぐような大量の通知の中には、学校からの呼び出しが。生徒の夏希(早坂美海)にカヲルとの関係がバレてしまったことから、学校へホストとの関係の説明を求める電話が入ったとのこと。
一方で、愛実の婚約者・川原(中島歩)は愛実とカヲルを追って三浦海岸まで来ていました。愛実を取り返したくて仕方がない川原は、目がガンギまった状態でカヲルに「色恋営業なんだろ」とけしかけると、カヲルも煽り返します。それにカッとなった川原は勢いでカヲルを殴ってしまい、カヲルは歩道橋から転げ落ちて意識を失ってしまうのです。
川原の暴行と意識不明のカヲル、愛実の学校での立場など、幸せだった1日から一変、あまりにも辛い現実が怒涛の勢いで濁流のように押し寄せてきました。果たしてそれぞれこの後どうなってしまうのか。また次回。
(やまとなでし子)
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