

食酢を使った料理を週1回以上摂取することが、毎日の便通に寄与する可能性!
Mizkan Holdings中央研究所(ミツカン中央研究所)はこのほど、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野の大石充教授との共同研究で、鹿児島県垂水市で行われた健康チェックデータを分析し、食酢を使った料理を週1回以上食べる人は、毎日排便がある傾向だったことを初めて明らかにしました。
毎日排便があることは、腸の健康や全身の調子を整えるために良い状態とされています。食酢が便通の頻度に影響を与える可能性は、日常生活における健康維持において重要な発見であり、多くの人の生活改善に役立つと考えられます。
■概要
鹿児島県垂水市の健康チェックデータ解析から、食酢が毎日の排便に効果を発揮している可能性
鹿児島県垂水市の40歳以上の成人1,024名の健康チェックデータ(*)を用いて、酸味のある料理と排便状況にどのような関係があるかを調査しました。
具体的には、「酢の物の小鉢(ワカメ酢やもずく酢など)」「酸味を感じるおかず(酢豚など)」「酸味のあるドレッシングをかけたサラダ」「ピクルス(ラッキョウの酢漬けも含む)」の摂取頻度と排便状況を分析しました。
1)「酢の物の小鉢(ワカメ酢やもずく酢など)」「酸味を感じるおかず(酢豚など)」「酸味のあるドレッシングをかけたサラダ」の摂取頻度が多い人ほど、毎日排便がある傾向が明らかになりました。
2)年齢や性別、食物繊維の摂取量、薬の服用歴といった排便に影響を及ぼす要因を考慮しても、1)の関連性が認められました。
この結果は、食酢を使った料理を週に1回以上食べる人に毎日排便がある傾向だったことを示しており、食酢が腸の健康に有益な影響を与える可能性があることを示唆しています。この発見は、便通改善の新しい方法として食酢の摂取が役立つ可能性があることを示しています。
*健康チェックデータ
「健康寿命の延伸」等を目的に、2017年度から40歳以上の人々を対象に垂水市で実施されている「健康チェック」のデータです。詳細は下記を確認してください。
https://www.city.tarumizu.lg.jp/kenko/kurashi/genkipro/index.html
■鹿児島大学大学院 大石充教授より
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野 大石充教授のコメント
高齢化率43%の鹿児島県垂水市で行われている多職種による高齢者コホート研究「垂水研究」の解析により、食酢を用いた料理を摂取する習慣がある方々の便通が良いことが示されました。さらなるデータの積み重ねは必要ですが、お酢の健康向上への新しい効果として大いに期待しています。
<大石充教授プロフィール>
1990年大阪大学医学部卒業後、2007年同大医学系研究科講師、2013年から鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野教授を務める。医師への高血圧治療の指導を行う循環器内科のスペシャリストであり、地域医療の底上げに尽力。2017年からは垂水スーパーバイザーに就任し、多職種によるチーム医療コホート研究を推進。さらに、産学行連携の共同研究体制を強化し、長期的な情報発信を目指している。
■今後の展望
今回の研究結果は時系列データを含まない2019年度単年の観察研究のため、今後、縦断研究や介入試験によって、より強固に食酢摂取と排便頻度の因果関係を解明していく予定。また、料理ではなく、より手軽に摂取習慣を形成できる「食酢飲料」の摂取習慣と排便頻度の因果関係の解明もあわせて実施していく予定です。
現在、ミツカン中央研究所では、やや便秘気味の人(週に3-5回の排便回数の人)を対象に、「食酢飲料」の摂取による便通改善効果を検証する介入試験を実施。今後も、「人と社会と地球の健康」の実現に向けて、食酢の新しい健康効果についての研究を続けていきます。
■研究の背景
ミツカン中央研究所は、「人と社会と地球の健康」を実現するため、食品の機能性研究に注力。同研究は、古くから親しまれている発酵調味料である食酢の機能性に着目しました。
これまでの研究では、食酢に含まれる酢酸を摂取することで「食後血糖値の上昇抑制」「肥満気味の方の内臓脂肪減少」「高めの血圧低下」「運動後に感じられる身体的な疲労感の自覚の軽減」などが報告されていますが、便通に関する科学的な情報はほとんどありませんでした。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野をはじめとする関係機関と垂水市は、高齢者の健康寿命を延ばすことを目的に、2017年度より「たるみず元気プロジェクト」として、40歳以上の人々を対象に「健康チェック」を実施。この健康チェックデータには食酢を用いた料理や飲料の摂食頻度に関するアンケートの結果が含まれています。
同研究では、これらのデータを詳細に解析し、食酢摂取習慣と排便との関連性について検証しました。
■研究内容
<解析対象者>
2019年に垂水市の健康チェックに参加した40歳以上の成人1,024名
<研究方法>
「排便状況(毎日排便があるか、排便に要する時間、いきみがあるか)」を目的変数とし、「食酢を用いた料理の摂食頻度(酢の物の小鉢、酸味を感じるおかず、酸味のあるドレッシングをかけたサラダ、ピクルス)」「年齢」「性別」「薬の服用歴(健胃消化薬、下剤、整腸薬)」「総食物繊維摂取量」を説明変数とする多変量ロジスティック回帰分析を行いました。
同研究成果は、2023年6月3日から4日にかけて開催された第59回日本循環器病予防学会学術集会にて発表されました。また、2025年3月28日に「Scientific Reports」に掲載されました。
■研究結果
垂水市の健康チェックの質問項目に組み込まれていた、「酢の物の小鉢」「酸味を感じるおかず」「酸味のあるドレッシングをかけたサラダ」「ピクルス」の摂取頻度のうち、「酢の物の小鉢」「酸味を感じるおかず」「酸味のあるドレッシングをかけたサラダ」を週1回以上摂取する習慣を有する人は、「毎日排便がある」と有意な正の関連があることが示されました。「ピクルス」の摂取習慣のみ有意な関連は認められませんでした。
さらに、「年齢」「性別」「総食物繊維摂取量」「薬の服用歴」など、排便に影響を与える因子を考慮した上で上記の関連性が見出されたことから、「毎日排便がある」ことにつながった因子として食酢が効果を発揮している可能性が示唆されました。
これまでの研究では、食酢が排便頻度に影響を及ぼすことを論じた研究結果は存在しなかったことから、同研究はこのような食酢の新規の機能性を見出した最初の報告となります。
そして、手軽に摂取できる食酢が排便頻度に影響しうるという重要な発見は、便通不順や便秘に対する新しい食習慣アプローチとなりうることが示唆され、今後の研究にさらなる期待が持てる結果となりました。
<出典情報>
[論文]
タイトル:Association between defecation status and the habit of eating vinegar-based dishes in community-dwelling Japanese individuals: a cross-sectional study
著者:Yuto Aoki, Shin Kawasoe, Takuro Kubozono, Joto Yoshimoto, Mikiya Kishi, Hiroaki Kanouchi, Satoko Suzuki & Mitsuru Ohishi
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-025-95618-2
(エボル)
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