

結婚式件数が20年で4割減 岡山で進む「祝祭を日常へ」《プラグマガジン編集長のローカルトライブ!》

人生最大の祝祭とも言える結婚式。その件数はこの20年でおよそ4割も減少し、今や「結婚式をしない」という選択が、ごく自然なものとして受け入れられる時代になりました。少子化、経済不安、価値観の多様化により、ブライダル業界全体が構造的な縮小に直面しています。また、業界には長期的な逆風が吹き、コロナ禍で状況はさらに厳しくなりました。そんな中、岡山市の結婚式場「ティアラ」は、自社の強みであるブライダルプロデュースのノウハウを武器に、式場の外で新たな挑戦に乗り出しています。いわば「祝祭を日常へ」、結婚式で培った祝祭の価値を地域の日常に接続し直す試みです。
公園に新たな価値
ティアラ(岡山市)が立ち上げたのは、岡山県総合グラウンドの「旧岡山偕行社」周辺を活用した地域イベントプロジェクト「ティアラザコネクト」です。国の登録有形文化財でもあるこの近代洋館は、ティアラが長らくブライダルのプロデュースを担ってきた特別な場所でもあります。
この公園一帯を市民に開かれた文化の場として生まれ変わらせたい、という思いのもと、23年秋から本格始動しました。夏祭りやクリスマスマーケットをはじめ、24年には芝生にシートを敷いて楽しむ「ナイトシネマ」も開催しています。

特徴的なのは、協賛や出店者に頼らず、飲食ブースから設営、広報に至るまで完全自社運営を貫いていること。式場としてのケータリング能力と、ブライダルで磨いてきた空間演出のセンスを屋外イベントに落とし込みながら、独自性を損なうことなく「誰の顔色もうかがわない」自由な運営を実現しています。

リスクを全て背負う代わりに、自社だけで運営をコントロールできる強みが生まれ、来場者の様子を見てブース配置を日々調整するといったことまで柔軟な対応が可能になりました。イベントは入場無料、飲食の持ち込みもある程度許容されており、「公園で心地よく過ごす体験」が中心に据えられています。
外へ一歩踏み出す
これらの取り組みは、地域社会への貢献という側面を持ちながらも、あくまでビジネスとして成立させることが前提です。来場者数は季節によって大きく変動し、クリスマスマーケットでは1日300万円以上の売り上げを記録した日もあれば、20万円程度にとどまる日もあります。それでも、イベントを重ねるごとに収支は安定しつつあり、23年度は年間トータルで黒字化を達成。
次の展開として、開催が困難になりつつある地域の伝統的な祭りをティアラがプロデュースする新規事業や、遊休資産を活用したコミュニティースペース構想も進んでいます。もともとティアラは「人生に一度の晴れ舞台」を支える現場で、丁寧な空間づくりときめ細やかな接客を徹底してきた会社。その姿勢は、たとえイベントの形が変わっても一貫しています。

「これまでと変わらず、ブライダルの価値を高めることに努めながらも、蓄積してきたノウハウや社内のリソースを地域に還元しながら、新たなビジネスモデルとして確立していきたい」(磯島貴史社長)。
どの業種もかつての常識が通用しなくなりつつあるこの時代。自らの強みやリソースを再確認しながら、リスクを覚悟で外に踏み出してみる。その勇気が、地域にも、自分たち自身にも、新しい可能性を開いてくれるのかもしれません。

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