

ショパン国際ピアノコンクールに挑む、若き天才ピアニストの栄光と苦悩

5年に一度、ポーランドのワルシャワで開催される『ショパン国際ピアノコンクール』(通称「ショパコン」)。作曲家フレデリック・ショパンの功績をたたえ1927年にスタートした世界最古の最も権威あるピアノコンクールだ。
クラシック音楽の熱心なリスナーでなくとも、このコンクールの存在を知る人は多いだろう。そして、その名を知る多くの人が「優勝するのがとんでもなく困難で、入賞したピアニストは将来が約束される」くらいの知識は持ち合わせているはずだ。
コンクールの裏側
そんな音楽の枠を越えた怪物的なイベントの内幕を描いたドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』が9月に公開される。10月に第19回大会が開催されるショパコン。本作は21年(コロナ禍により1年遅延)に行われた前回大会の様子を、複数の出演者に密着し、その内面をカメラであぶりだすことで、ショパコンという場にうごめく悪魔的魅力を描き出してゆく。
映画に登場するメインキャラクターは6人のピアニスト。ロシア、ポーランド、イタリア、中国、様々な出自を持つ若者が、21日間に及ぶコンクールで闘い抜く様子がナレーションや字幕での説明を排した即物的な映像で記録される。ゆえに演奏前のひりつくような臨場感や、重圧に押し潰されそうになる審査結果を待つ時間を、演奏者と共有するかのように体感できる稀有(けう)な作品となっている。
天才たちの死闘
映画では若手ピアニストたちのオフステージの姿も描かれる。アスリートのようなフィジカルトレーニングに取り組む様子や、指導者から常軌を逸した叱責(しっせき)を受ける姿。あまりのプレッシャーからゾンビに襲われる悪夢を見る者、過度の緊張から心身を病みコンクールを辞退する奏者。令和の日本の平均的な若者ならば「パワハラ」認定して、退職代行会社を使って即日逃げ出すような環境だ。そう、ショパコンは音楽コンクールなどではなく、世界中から集まった猛者たちがリングで死闘を繰り広げる、天下一武闘会なのだ。
一次予選を勝ち抜いた息子を「ここから先は、生き死にの闘い」と叱咤(しった)する母の姿を見て、その狂気に近い情熱には、ある種の感動さえ覚えた。終幕、全ての葛藤を飲み込むようなノクターン8番が奏でられる時、心に回復不可能な傷を負った者にしか到達できない、圧倒的な美の境地を感じ、スクリーンに拍手を送った。ピアノという悪魔の楽器に取りつかれた人々の祝祭に触れ、芸術のまがまがしいパワーを感じて欲しい。
(映画作家、写真家・高橋慎一)
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