

Forest to Closet~森とファッション 加速する〝森を壊さない服作り〟

先日、北海道平取町の二風谷アイヌ文化博物館を訪れた。何度目かも忘れるほど行く理由は、「アットゥシ」(樹皮布)の衣服コレクションが、何時間でも見ていたくなるほど心引かれるからだ。アイヌ民族がオヒョウやシナノキの樹皮から生み出した衣服は、まさに森と共に生きた証しだ。
森を着て、森を失う
人類は古来より、森から衣を得てきた。縄文遺跡からはクワやアオソなどの樹皮繊維の痕跡が見つかり、ネイティブアメリカンは杉の内皮から布を、ポリネシアではタパ(バーククロス)が儀式や日常の衣として作ってきた。人間の暮らしは、森の恵みと切り離せないものだったのだ。私はその「森を着ていた」文化を現代によみがえらせたく、〝森とつながるショール〟プロジェクトを始動させた。
リジェネラティブ・ニットブランド「SHOKAY」(ショーケイ)の無染色ヤクショールをニセコのシラカバや山桜、よもぎで染める「森ショール」はその一例。そして今も、多くの人が〝森から生まれた服〟を知らずに身に着けている。モダール、レーヨンやリヨセルなどのセルロース系繊維は、森林を伐採し、パルプ化し、化学処理を経て糸となったもの。

カナダの環境NGO(非政府組織)キャノピー(Canopy)によると、毎年3億本以上の木がテキスタイル素材として切り出されている。1分間に約570本の計算だ。私たちは気づかぬうちに、森を着て、森を失っている。
テキスタイル・エクスチェンジの24年報告では、ファッション素材の約6%が森林由来。しかし、その過半数は認証のない森林からの調達だ。こうした中で、「森を壊さない服づくり」が国際的に加速している。
衣服が生まれる源
13年にキャノピーが始めた「Canopy Style」や、国連の「Forests for Fashion」、そしてFSC(森林管理協議会)による「Fashion Forever Green act」などが、責任ある素材調達を後押ししている。世界のブランドが続々と賛同し、サプライチェーン全体の見直しが進んでいる。 森林セラピーのガイドでもある筆者は、森にいると安心感が増し、自律神経が整うことを近年の科学的研究に裏付けられた事実として、多くの人に体験してもらいたいと願っている。
今年は北海道の森で「森林浴×ファッション」イベントを開催予定だ。森を五感で感じ、衣服が生まれる源を肌で知る。そんな時間を共有していきたい。「森を壊さない服づくり」と「森へ誘う服づくり」。その両方が日本に浸透する活動を続けている。クローゼットに、森への扉を一つずつ増やすように。
(ダブルツリー代表取締役・林民子)
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