花澤香菜、声優業で大切にしているのは「常に心を動かすようにすること」／TVアニメ「ユア・フォルマ」

2025.04.07 12:00

2025年4月よりテレビ朝日系で放送されるアニメ作品『ユア・フォルマ』（毎週水曜23時45分から放送予定）。世界最年少で電索官の任についた天才少女のエチカ・ヒエダと人型ロボットのハロルドがタッグを組み、様々な電脳犯罪を暴いていくというストーリーになっている。今回はエチカ・ヒエダを演じる花澤香菜に、本作や声優業についての話を聞いた。

自身が演じたエチカは「不器用な女の子」

ーー『ユア・フォルマ』のアニメ化、出演が決まった際の気持ちをお聞かせください。

結構前に『ユア・フォルマ』の原作販促用PVで出演をさせていただいて、その時に1巻を読んだんですけど、面白いなと思いました。ずっと続いているのも知っていたので、アニメ化どうなのかなぁと思ってはいたのですが、まさか続投させていただけるとは思っていなかったので、ビックリしましたね。

ーー世界最年少で電索官の任についた天才少女、エチカ・ヒエダという役柄をどのように解釈されましたか？

原作の1巻だと私たちがアニメで演じていない部分がしっかりあるんですよね。ハロルドとエチカが出会って、そこからタッグを組んで、実は一回解散してるみたいな（笑）。そういうやり取りがあったことを踏まえて演じたいなと思っていたので、原作を頼りにしながら演じさせていただきました。原作も踏まえると、エチカは不器用な女の子だと解釈しましたね。言葉通り受け取ると本心ではないみたいな。彼女の感情を推し量るのがすごく難しいんですけど、ハロルドがいてくれることによって、本当の部分が見えてくるんですよ。あとはセリフにはないけど、表情でこう思っているんだっていうのがしっかり描かれています。そういう部分は原作を読んでいないと分からないので、原作がすごく頼りになったなと思います。

ーー本作はアメリカ、ドイツ、フランス、中国、台湾、タイの6カ国でも展開中ですが、海外のファンの声は届いていますか？

しっかり届いています。海外でライブしてファンの方と接すると、本当に日本のアニメを楽しんでくれているんだなって実感しますね。しかも日本語で見てる方もいるみたいで。日本語で挨拶すると、ちゃんと理解してくださる方も多いんですよ。アニメで日本語を学んでいる方も結構いらっしゃるみたいです。『ユア・フォルマ』は舞台が日本ではなくて、海外の方も身近に感じられる世界観だと思うので、そこも楽しめるのかなと思います。

エチカを演じるための工夫「複雑な部分を精細に演じられるように意識した」

ーー『ユア・フォルマ』でエチカを演じ終えた想いをお聞かせください。

『ユア・フォルマ』は骨太なSFクライムサスペンスではあるんですけど、ハロルドとエチカの関係性が少しずつ変わっていって、絆も深まっていくんですよね。人とAIとかじゃなくて、魂と魂が通じ合ったのかもしれないなって思わせてくれるような熱いシーンがあって、最後には通じ合えた部分があったのかなって思えたので嬉しかったです。

ーーエチカを演じるにあたっての工夫や苦労したことはありますか？

エチカはどうしたくてこういう態度や行動を取っているかっていうのが本当に分かりづらい子なので、そこはちゃんと拾おうっていう意識で演じましたね。ただつっけんどんな子じゃなくて、今は距離を置きたいからこうしてるとか、自分でもどうしようもなくてそうしちゃうとか、色々理由があるんですよ。なので、そういった部分を精細に演じられるように意識しました。

ーー花澤さんにとってハロルドはどんなキャラクターですか？

近くにいたら警戒しちゃうなって感じですね（笑）。どんどん彼の動かしたい方向に動いていっちゃう気がして、操られそうだなと思います。今やってる行動は本当に自分の意思なのかって、自分を見失いそうです。

アフレコ現場での意識「熱量を途切れさせないように」

ーーアフレコ現場での印象的なエピソードをお聞かせください。

アフレコ現場では、犯人は誰なんだよって話によくなっていましたね（笑）。私は役柄的にあまり先の展開を知りたくなかったので、毎回収録する部分のちょっと先までだけ読んで現場に行くようにしていました。皆で犯人探しをずっとしていましたし、事件が面白いので盛り上がっていましたね。

ーー『ユア・フォルマ』は全話を見て理解していく作品だと思いますが、1話完結型の作品と比べて取り組み方は変わりましたか？

熱量を途切れさせないようにっていう意識はあったと思います。アフレコは1週間空くこともあれば、2週3週と空くこともありましたし、クライマックスの続きから収録するっていう時もありましたね。なので毎回台本をしっかり読み返して、こんな感じだったなって思い出しながら取り組みました。

忘れないようにしている言葉「常に心を動かしてた方がいいよ」

ーーエチカの電索官という職業は、キャラクターにシンクロするという意味で声優に近い部分もあるかと思いますが、共感できる要素はありましたか？

声優としてキャラクターと今シンクロしているなって思う瞬間があるんですが、電索官にもそういう部分があるのもしれないですね。電索官は“機憶”の中に入るので、大事な“機憶”を自分で見つけなきゃいけないんですよ。一方私もエチカを演じるうえで、エチカが本当に大事にしているのは何なのかを考えて取り組んだので、そういった部分は共感できるなと思います。

ーー花澤さんが声優をするうえで、忘れないようにしている言葉はありますか？

声優の先輩から教えていただいた「常に心を動かしてた方がいいよ」という言葉です。お芝居で心を動かすのはもちろんですけど、生活の中でも心を動かさないようにするのって結構簡単で、そうしがちだと思うんですね。でもそれをし続けていると、いざお芝居をするときに蓋が開きにくくなっちゃうのかなと思っていて。あんまり人の前では出さないですけど、家だと悲しい時は悲しむし、怒る時は怒るし、楽しい時は踊るし。（笑）先輩に詳しくは説明していただかなかったんですけど、私はそうやってこの言葉を受け取りましたね。

ーー視聴者へメッセ―ジをお願いします。

『ユア・フォルマ』の原作の1巻を読んでおけば、1話目から色々分かってめちゃくちゃ楽しいと思います。ぜひ原作を読んでから作品を見てください。