特定技能受け入れへ監査基準「JASTI」 4月から運用開始、繊産連が統括事務局
経済産業省は繊維産業の監査要求事項・評価基準「JASTI」を策定し、4月から運用を開始する。昨年4月に外国人技能実習制度の「特定技能1号」に繊維業が追加されたことを踏まえた施策。繊維業が特定技能実習生を受け入れるための四つの追加要件の中の「国際的な人権基準への適合」の「基準」の一つとする。日本繊維産業連盟が統括事務局として全体を管理する。その傘下の事務局を検査機関のコンソーシアムと全国社会保険労務士連合会とし、それぞれが事業者からの申請受け付けと監査・判定を行う。
23年9月に設置した「繊維産業における責任ある企業行動ルール形成戦略研究会」の中に昨年9月に新設したワーキンググループでの議論を踏まえて策定、運営体制を決めた。項目は研究会が策定・公表した案とほぼ同様で、「強制労働」「児童労働」「差別・ハラスメント」「結社の自由・団体交渉権」「労働安全衛生」「雇用及び福利厚生」「賃金」「デューディリジェンス」「外国人労働者」の全84項目。「これまで監査などの経験がない中小事業者が対象に多いことを想定し、国際認証と最低限接続できる項目に絞った」(髙木重孝製造産業局生活製品課長)という。当面はGOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)のような「認証」ではなく、「監査」とする。「認証に比べて時間と手間、コストがかからないため」だ。
判定基準は公表し、監査要求事項ごとに重要度を設定する。事業者は監査結果に応じて「A判定」「B判定」「判定なし」の判定を受ける。判定なしは監査基準をクリアしたとみなされない。監査結果を特定技能の追加要件に活用する場合、A判定の事業者には2年後、B判定には1年後の更新を求める。また、「事業者が取り組みやすくし、その後の継続的な取り組みも促す」ため、初回監査と2回目以降の監査で異なる判定基準を設定する。
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