

遠州織物の若手プロジェクト「エントランス」 産地の求人掲載サイトを開設

遠州織物の関係業者の若手プロジェクトチーム、エントランスは、新たにホームページを開設した。ページ内に繊維事業者の求人情報を掲載した特設サイトを設置し、産地の担い手確保につなげる。
(森田桃子)
働きたい人との接点
エントランスメンバーが産地の求人情報を集め、担い手が必要な事業者をとりまとめて掲載するほか、各メンバーがその情報をSNSで発信し、応募者を募る。従来、繊維事業者の求人の多くはハローワークなどでの募集に限られていたが、産地で高齢化が深刻になるなか、産地の求人情報を一度に見られるようにし、産地で働きたい人との接点を作る狙いだ。
掲載するのは、企業で働く社員の求人だけではない。「将来的に個人事業として独立」することを前提とした募集もある。エントランスが窓口となり、個人事業主の職人のもとでの修業や独立をサポートする。
背景には遠州産地の職人の高齢化がある。担い手の多くが70~80代で、廃業する事業者も増えている。特に深刻化しているのが、準備工程や加工工程の人手不足だ。この間、機屋などではSNSでの発信やファクトリーブランドで認知が高まり、若い人が増えてきた。一方で、準備工程や加工は仕事自体の知名度も低い上、家内工業などの小規模事業者が中心のため、人を雇えず、技術の継承が進んでいない。
危機感を全体で共有
こうした状況について、浜田美希エントランス代表は「遠州産地は分業で成り立っている。織屋さんだけに若い人が増えても、産地として成り立っていけない」と危機感を募らせる。月1回エントランスで開催する「遠州さんち未来会議」でも、メンバーが持つ周囲の廃業状況などの情報を共有しており、担い手不足への課題感が強まっていた。
そこで「会社や組合、協会などにとらわれずに作られたエントランスという立場」から、産地全体の人手不足の解決に乗り出すことにした。
事業者間でも産地存続への懸念は徐々に浸透しており、「雇えないけど、技術を教えるだけなら」と協力姿勢を示す職人もいる。サイトを通じて働きたい人を募り、そうした職人とつなげる役割を担っていく。
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