《ニュース2024》ラグジュアリー戦略 「サヴォワールフェール」に注目
24年は「サヴォワールフェール」(匠=たくみ=の技)に注目が集まった。世界的に手仕事の技を継承することの大切さが問われており、ラグジュアリーブランドを中心に職人の育成を進める動きが活発になった。
職人を守り育てる
優れた手仕事を持つ職人を守り、育成していく取り組みはブランドごとに異なる。ケリンググループの「ブリオーニ」が9月、伊アブルッツォ州ペンネにテーラーリング学校「スクォーラ・ディ・アルタ・サルトリア・ナザレノ・フォンティコリ」を開校した。次世代のテーラーを育成するという使命は、ブリオーニの継続的な他の取り組みとも密接に連携しているという。同グループは、「ボッテガ・ヴェネタ」が熟練の職人を育成する学校を開いている。
LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、匠の技の継承と発展を目的として、15年にLVMHメティエダールを設立。今年は新たな施設での展覧会を開催した。仏語で「メティエ」とは職や仕事を指し、「アール」は芸術や美術を意味する。この二つを合わせたメティエダールは、伝統的な職人技やその芸術性をたたえる表現だ。
同組織は手工業や職人たちの活動に投資をし、アトリエの保存や新たな技術の導入を通じて、匠の技を継承しようとしている。22年に設立したLVMHメティエダール・ジャパンは、日仏の文化に精通した盛岡笑奈氏がディレクターに就任。盛岡氏の企画による特別展を、11月にパリ市内で新たに修復された歴史的建造物「ラ・マン」で披露した。文化や自然との対話から生まれる、日本ならではの詩趣あふれる工芸品を紹介した。
業種や文化超えて
中川木工芸の木桶製作技法によるゆるやかな曲線を描くシャンパンクーラーや、開化堂の職人が手作業で仕上げる茶筒が展示された。LVMHメティエダールのコミュニティーを生かした協業作品では、土屋鞄製造所が伊マゾーニのトスカーナ産カーフレザーを使い、とらやの羊羹(ようかん)のためのカスタムメイドバッグを製作した。金井工芸の泥染めとヘンローンレザーのなめし技術を融合したクロコダイルレザーの作品など、業種や文化を超えたサヴォワールフェールの新たな発展の可能性を示した。
世界的に手仕事の技を継承するための取り組みは重要になっている。匠の技を守ることは、ラグジュアリー戦略では焦眉(しょうび)の課題となった。
=おわり
(繊研新聞本紙24年12月23日付)
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