元バレーボール日本代表・古賀紗理那選手「働く女性たちの環境に改善が必要」

元バレーボール日本代表・古賀紗理那選手「働く女性たちの環境に改善が必要」

2024.10.26 11:10

10月15日、青山の「はたらく女性スクエア」にて、バレーボール女子代表チームでキャプテンを務めた古賀紗理那さんが、W societyと花王株式会社が共催する「働く女性と健康を考えるトークセッション」に登壇しました。

イベントには古賀さんの他に、花王株式会社のサニタリーブランドマネジャー・坂田さんと、不妊治療薬や経口避妊薬などを展開するオルガノン株式会社の戦略部門長・高島さんも登壇。働く女性たちに必要な環境づくりについて、トークセッションが行われました。

■チームのリーダーとしてメンバーの体調にも気配りを

イベントではまず、モデレーターであるW societyの谷村さんから、働く女性を取り巻く現状の環境についての説明がありました。

月経随伴症や不妊治療など、女性特有の健康課題による欠勤やパフォーマンスの低下による、社会全体の経済損失は約3.4兆円といわれており、企業の取り組み次第でポジティブなインパクトがあることが期待されています。そして健康問題をサポートする環境、不調に関して職場で気軽に話せる環境がある企業は満足度が上がりやすいという相関関係もあるそう。

そして、バレーボール選手として活躍してきた古賀さんも、生理不順などの体調不良を慢性的に抱えていた時期もあったと語ります。

「生理の時は腰が抜けやすくなったり、体調が悪くなってしまう選手もいるので、そういった時はトレーナーに相談して、生理前には体調に合ったケアをしていただいたり、トレーニングの負荷を調整していました。体調やコンディションに関してはトレーナーからコーチへ情報共有してもらえるような連携があったので、感謝しています」

チームのキャプテンとして周囲を観察する意識を持ち、その日コンディションが良くない選手には率先してコミュニケーションしていたという古賀さん。それぞれの性格に合わせて、声のかけ方やタイミングなども変えていたそうです。

■企業事例を通して「女性が活躍できる環境」について考える

「コートの中だけでは解決できない問題もたくさんありますから。選手同士の信頼関係も大切なので(体調のことも)話しました」と古賀さん。ですが、まだまだ日本社会全体では、生理について職場で気軽に話し合えないという女性も多いでしょう。

そこで後半は、花王・坂田さんと、オルガノン・高島さんも登壇し、女性の健康課題に対し各企業が取り組んでいる事例も紹介されました。

坂田さんは花王のサニタリーブランド「ロリエ」の担当として、職場のトイレに生理用品を設置する「職場のロリエ」の事例を紹介。「職場のロリエ」を導入している企業では、女性社員がトイレットペーパーなどの備品と同じように、生理の時に職場に置いてある生理用品を利用することができます。

海外遠征の時には、日本からいつも使っている生理用品を持ち込んでいるという古賀さん。事例を聞いて「大会の開催場所によっては、控室からトイレがすごく遠い時も。スポーツの関係各所にも設置してあったらすごく便利」と共感しました。

続いて坂田さんが、オルガノン株式会社の福利厚生について紹介。オルガノンでは生理休暇という制度はなく、代わりに「ハーデイリーブ」という制度が導入されており、生理中だけでなく生理前後や、更年期のタイミングにも使えるのだそう。また、昨年は社内で「生理体験イベント」が実施され、男性も腹部に電極パッドをつけ、生理時の痛みを疑似体験したそう。実施後は、職場でも生理に関する話がしやすくなったといいます。

各企業が取り組む事例を聞いて「私たちはたまたま自分の体調を共有できる環境があったけど、そういう組織ばかりとは限らない。女性が100%の力を発揮するために環境づくりを変えていく必要があると思います」と古賀さん。トークセッションを通して、女性が働きやすい環境や風土づくりに関する理解が深まりました。

■自分の体の声に耳を傾け、必要なものを見極める

イベントの後には、古賀さんがマイナビウーマンの個別取材にも回答してくれました。生理の時の過ごし方や、アスリートとして向き合ってきた「自分や女性の健康」に関して、古賀さんの思いをお伺いしてきました。

――現役時代は生理不順に悩まれていたそうですが、ケアはどのようにされていたのでしょうか。

海外遠征で生活のルーティンが変わったタイミングで生理が遅れたり、不順になることが多かったので、食事をかなり気にしていました。食べるものってすごく大切だと思うので、海外でも日常と同じ食生活を意識して、不足しがちな炭水化物やビタミン、タンパク質などが摂れるよう、日本からいろいろと非常食を持ち込んでいました。食事を改善してからは徐々に、海外遠征中でも定期的に生理がくるようになりましたね。

――日常生活でもストイックなルーティンを決めていると思うのですが、どうやって必要なものを選んでいったのでしょうか。

まずはなんでも試してみて、良かったものだけをルーティンとして取り入れるようにしています。ストレッチの種類にしても食べものにしても、今の自分の体に必要なもの、そうでないものがあると思います。体調に関してはまずトレーナーに相談することが多かったので、教えてもらったケア方法の中から、自分に合うものだけを残していきました。

――海外遠征中もいつもの生理用品を使っているとのことでしたが、こちらもいろいろ試されたのでしょうか。

スポーツしている時にはフィット感や、安心感が重要なので、かなりいろいろ試しました。自分に合わなかったものはチームメンバーにあげたり、逆にメンバーからおすすめしてもらうこともあったので、そのおかげで自分に合う生理用品を見つけることができましたね。

――生理期間中は練習をセーブしていたとのことですが、ご自愛のためにされていたことはありますか。

基本的には自分の体の声を聞いて、過度に負荷をかけすぎないよう調整するのが重要だと思うのですが、生理中は特によく寝るようにしていました。練習が終わったらテレビやスマホを見ず、すぐにお風呂に入ってストレッチを行い、普段より1〜2時間早くベッドに入ります。よく眠れるということは体が欲しているということなので、その声を聞き逃さないよう、生理中は自分の体調に気を配るようにしていましたね。

――引退されて、生活にも変化があったと思いますが、これからの健康にはどう向き合っていこうと考えていますか。

現役時代と比べると圧倒的に運動量が減ったので、危機感を覚えてトレーニングジムを個人的に契約しました。それに、これから年齢を重ねていくと太りやすくなっていく可能性もあると思うので、食事には引き続き気を配っていきたいです。忙しいからといって、食べないダイエットをするのではなく、必要なものをきちんと摂ることは、アスリートである以前に一人の女性としても重要なことだと考えています。

――最後に、社会で活躍する女性にメッセージやアドバイスをお願いします。

女性の健康には、心の余裕を持つことも大切だと思います。よく食べてよく寝て、自分の体を整えることが、精神的な余裕にも繋がっていくと思います。毎月やってくる生理も加味した上で、自分の体を大切にすれば、心身ともに健康になっていくはず! 女性が活躍できる社会の実現のために、一人ひとりが自分の身体を大切にできたらいいなと思います。

自身の健康課題に向き合ってきた古賀さんの話を聞くと、体の声に耳を傾けること、そして自分に必要なケア方法を見極めることの大切さを実感します。まずは気になる方法を試し、取捨選択するという古賀さん流のマイルールを参考に、自分らしいセルフケア方法を見つけてみてくださいね。

(取材・文:ミクニシオリ)

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