広告制作者がテキスタイルプロダクト 第1弾は桐生の須裁が協力
クリエイティブ制作の視点で新たなテキスタイルの表現を――広告制作会社に勤務するコピーライター兼PRプランナーのむすびめさんとグラフィックデザイナーのほりせいさんは、テキスタイルプロダクト「scale」(スケール)を発表した。第1弾は群馬県桐生市の織物メーカー、須裁が協力し、同社のジャカードで海を泳ぐ魚のうろこのような表面感や透明感を追求した。
むすびめさんとほりせいさんは知見を生かし、社外でもクリエイティブ活動をする中で出会った。第1弾のプロダクトで注目したのは「遠い祖先、陸に上がる前の生物が身にまとっていた」うろこ。人が身に付け、身を守るための役割を果たす織物を採用した。
糸を1本ずつ織り込み、美しい色を作る。魚のうろこが水面の揺らぎの中で光を反射させながら輝く様をジャカードの技術で表そうとした。
2種開発し、あえてモアレを起こすため二重織にした。青魚のうろこのようなきらめきを表現したテキスタイルは、緯糸の配色と織り組織を工夫して色合いに変化を出した。稚魚のみずみずしいうろこをイメージした生地は、絣糸を用いて多彩な表情を加えた。
9月には展示会を東京で開催した。「来場者から、テキスタイルでこんな表現ができるんだ、とその奥深さに驚いてもらえた」とむすびめさんは話す。須裁が行う、オリジナルテキスタイルのオーダー企画に関心を持つ人もいたという。「本来、モアレが生まれる生地は衣服には向かない」が、展示会では演奏家から「衣装として着用できないか」との提案もあった。
2種のテキスタイルを使った写真作品のコンセプトブックも作った。9月の展示会で販売し、現在はオンラインストアで数量限定で売っている。
今後も、繊維産業の職人技術とクリエイターの創造力を融合させたプロダクトを開発していきたい考えだ。異業種の発想でテキスタイルの新たな表現を模索し、制作活動と作品を通じて業界の垣根を超えた接点を創出し「国内産地や繊維産業の活性化にも貢献したい」と意欲的だ。
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