

夏が犯した大きな過ち。板挟みの夏に降り注ぐ辛辣な言葉の嵐【海のはじまり11】
※このコラムは『海のはじまり』11話までのネタバレを含んでいます。
■あらゆる寂しさが生まれた新生活
2人での新生活が始まった夏(目黒蓮)と海(泉谷星奈)。新しい図書館、新しい通学路、新しい苗字、全てが一新された生活。父である夏もおり、弥生(有村架純)からもらったイルカのぬいぐるみもあるけれど、どこか寂しそうな海。水季(古川琴音)からもらった大切な絵本を祖母・朱音(大竹しのぶ)の家に置いてきてしまったことも、海の不安を煽っているよう。
一方で、朱音も海のいない生活に実感が湧いていないようです。いつものように「海ちゃん洗濯物干すの手伝って!」と呼びかけてしまったり、海がいないと飲みきれない量の牛乳や、水季が子どもの頃に落書きをしたお鍋が目に入るたび、海だけでなく、水季がいなくなったことまで思い出して、寂しさに座り込んでしまいます。
海がいなくなる前は、祖父・翔平(利重剛)の辛そうな様子を気遣って、気丈に振る舞っていましたが、いざいなくなると堰を切ったように自分も寂しさが溢れてしまう朱音。1人でいる時にひっそりと内に秘めた感情を出すのが、人に素直に寄りかかれない彼女らしい。
■『いちばんすきな花』との、まさかのクロスオーバー
海と弥生が友人として出かけた先は美容院。そこは『海のはじまり』と同じ脚本家・生方美久さんのドラマ『いちばんすきな花』の登場人物・夜々(今田美桜)の美容院snail! 海の髪を切るのはもちろん夜々。
まさかのドラマを超えたクロスオーバーに、生方ファン歓喜! 元気そうな夜々の姿にも胸が熱くなります。
その日は他にもカフェでケーキを食べるなど楽しく過ごしたものの、弥生は海の異変に気付きます。「元気は元気だけど、前以上に水季さんのこと話す感じあったから気になって……」夏へのこの助言が後々海がとる行動の理由の一つだったのです。
■夏が犯した大きな過ち
以前は手こずっていた三つ編みもスムーズに結べるようになり、だんだんと父親の階段を登り、成長している夏。
夏に結ってもらった三つ編みで過ごした新しい学校では、早速お友達ができて海も楽しそう。しかし、母親がいないことについて聞かれたことを夏に相談すると、夏は水季に目線を合わせて「ママいないけど、パパがいるって言えばいいんだよ」と助言します。
しかし、海の心はそれでもスッキリしないようで、「ママいたのにいた感じしなくなっちゃった」と夏に訴えます。
夏はそれを、祖父母もいなくなり1人の時間が増えたことや、水季の死に対する寂しさが原因と考え、「ママいないけど、パパがいる。辛くなるなら水季の話しなくていいから。2人で頑張ろう。俺はいなくならないから」と海の心を支えようとするのです。しかしこれは大きな間違いだったのです。
■日常に水季を感じることで母と生きていた海
ある日、夏が帰宅すると自宅から海の姿が消えていました。家出した先は、海が信頼する一人、津野(池松壮亮)の働く図書館。
「ママがいた場所、いなくなっちゃった。夏くん、ママいないって言うの。海もいないの分かってる。津野くんママいいたの分かるよね。夏くん分かんないみたい。水季はもういないから2人で頑張ろうって。水季の話しなくていいよって。ママのこと忘れた方がいいの? もういないから?」
ここまで自分の辛い理由と原因を洗い出して、言語化できる小1の賢さに震えます。
水季と過ごした図書館、家、そして水季をよく知る人々。これらに支えられて、海はあらゆる場所で水季を感じながら生きることができました。
祖母から水季の昔の話を聞いたり、水季が使っていた物と触れたり、日常に面影を感じることで、海は水季の死後も母と生きていたのです。
しかし、夏との暮らしは新しい小学校、図書館、家、水季の気配は全く感じられません。
「ママここにいた?」と夏に聞くものの、水季との思い出話が出てくることもなく……。
夏は「水季の死は悲しいもの」として処理し、むやみに思い出させず、区切りをつけて生きることが海にとってベストだと考えてしまっていました。
その対応が、海が感じていた「ママいたのにいた感じしなくなっちゃった」につながってしまったのです。
そして、弥生が言っていた「海ちゃん、いつもより水季さんのこと話す感じあったから」というのが、日常で薄まってしまった水季の面影を取り戻すかのように取っていた行動だったのです。
■きちんと海の気持ちを理解している津野
夏は迎えに行った図書館で、海と会うことができませんでした。
代わりに津野から海の気持ちを全て代弁するかのような説教を受けるのです。「今こそ水季、水季ってうるさくていいんですよ。海ちゃん、いるいないの話してないですよ? 分かんないですよね。南雲さんがいなくなった時も、お前いなかったもんな!」
お前と口を突いてしまうほど、一人理解のできていない夏に声を荒げる津野。
海の気持ちが理解できない夏は、父としての大きな壁に早速ぶちあたりました。
■板挟みの夏に降り注ぐ辛辣な言葉の嵐
今度は祖父母の家まで、夏は海を迎えに行きました。しかしそこでの海からの言葉があまりにも辛辣すぎて。
「(ママと2人だった時は)夏くんいなくて寂しかったことないの。おうちにいるのママだけで大丈夫だった。パパいらなかった。だから(ママいなくて)夏くんと2人も大丈夫だと思ったの。夏くんと2人さみしかった」「海のせいでみんな(環境が変わって)寂しくしてる。最初からいなければよかった?」「ママもさみしそうだった。ママいたのになんで一緒にいてくれなかったの? まだパパじゃなかったから? なんで2人でって言うの? なんでママいないって言うの? 海、ママとずっといたもん。いなかったの夏くんじゃん」
海にとっての正論ではあるのですが、水季に姿を消され、夏に事実を告げないまま勝手に海を生む選択をとられ、それでも水季が亡くなったことで責任を果たそうとしている夏が、こんな仕打ちを受けるのはあまりにも理不尽すぎて。
津野や海が責めている「夏は大事な時にいなかった」も自らのその選択をしたのではなく、「いられなかった」が正しいですし、事実を知っていたら夏はもっと早く海達のそばにいたはずです。
「夏に迷惑をかけない」という水季の自分勝手な決意が中途半端だったせいで、夏は巻き込まれてしまった被害者でもあります。
しかし、そんな事情は海には理解はできませんし、する必要もありません。「理不尽な事実」と「海の感情」の間で板挟みとなった夏は、とにかく、この空白期間を埋めなければ夏は父になることができません。
水季がいなくなった事実など、海はとうに理解しています。それぞれの心や思い出の中で生き続けている水季と共に、『3人』で生きることが海にとっての正解ですが、津野の言葉を受けてもまだ夏は分かっていないよう。次回ラストで夏はそれを理解して、父子の絆を深めることはできるのでしょうか。
弥生の動きもありそうでしたが、果たして……。ハッピーエンドを期待しつつ次回を待ちましょう。
(やまとなでし子)
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