アニメ「【推しの子】」が放送中

<【推しの子】>原作改変問題から始まった第2期舞台編、強烈パワーワードも飛び交った反響シーンを振り返る

2024.08.24 18:00
アニメ「【推しの子】」が放送中

今夏クールで始まったアニメ「【推しの子】第2期」(毎週水曜夜11:00-11:30ほか、TOKYO MXほかにて放送/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほか)。第1期での人気そのままに注目を集めており、現在は第十九話まで放送。2.5次元舞台編はクライマックスに突入している。この2.5次元舞台編では漫画の舞台化というメディア変換にまつわるセンセーショナルなテーマ、アクアたちの芝居観が話題となったが、そこにはどんなドラマがあったのか。特に反響が大きかったシーンから振り返る。(以降、ネタバレが含まれます)

“推し”の死の真相を追う転生者アクアの物語

「【推しの子】」は「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の、赤坂アカ×横槍メンゴによる累計発行部数1600万部を超える同名漫画を原作としたアニメ作品。地方の病院に務める産婦人科医ゴローと、禁断の秘密を抱えてやってきた彼の“推し”のアイドル、アイとの最悪の出会いから始まる物語だ。

ある日、何者かに殺されたゴローはアイが産んだ双子の子の1人、アクア(CV. 大塚剛央)として転生する。しかし、まもなくアイも何者かに襲われて亡くなってしまう。アイの死の真相を突き止め、アイを殺した人物に復讐を果たすため、アクアは芸能界の道へ踏み込む。

第1期は2023年4月から6月に全11話を放送。ダークなサスペンスと華やかなアイドルストーリーが絡み合い、芸能界の裏側もリアルに描かれていく内容が大きな話題を呼んだ。第2期は第十一話で予告された2.5次元舞台「東京ブレイド」の稽古突入から始まっていく。

原作改変・伝言ゲーム―― 反響を呼んだ第2期の幕開け

まず第2期幕開けで話題になったのは、原作改変という問題だ。鮫島アビ子(CV.佐倉綾音)による大ヒット漫画「東京ブレイド」の舞台化作品に参加することになったアクアだが、稽古開始の数日後に波乱が起きる。見学に来たアビ子は稽古に励む役者たちの姿に感激しながらも、舞台版の脚本を全否定し、全ての修正を求めたのだ。

漫画やアニメの実写化、舞台化は原作再現・原作改変というセンシティブな問題を常に含んでおり、作中では“伝言ゲーム”によって起こる原作者と脚本家の行き違いを描写。当初SNSには暴言を吐きまくるアビ子を諌める声や、自己解釈で脚本を書いたと思われたGOA(CV.小野大輔)に非難の声が見られたが、制作側によるミスコミュニケーション、GOAとアビ子のそれぞれの心理、状況が交互に語られたことで、両者に同情や共感が寄せられることに。

「原作と脚本の意味、メディアの違いによる原作再現に対する脚本の工夫、考えさせられる」「アビ子先生の怒りはとてつもなく正しいし、非難を一身に受けたGOAさんの悔しい気持ちもすごく分かる」「解像度の高いエピソードだからこそ共感もすごく受ける」など、センセーショナルなテーマであっただけに視聴者からの反響は大きなものとなっていた。

「5000万部売ってから」のパワーワード

前半の台風の目となったアビ子。第十四話「リライティング」では吉祥寺頼子(CV.伊藤静)に言い放った“5000万部"のパワーワードがSNSでブレイクした。

制作サイドとアビ子の関係修復を図るため、アビ子の師匠である頼子に相談をしたアクアたち。頼子も以前に自分の作品がひどいドラマ化をされたため、アビ子の気持ちも分かると仲裁役を断るが、結局はアビ子のもとを訪れてくれる。その頼子は仕事場にこもるアビ子の姿に絶句する。アビ子はアシスタントをクビにし、睡眠時間を削りながら1人で描き続けていたのだ。

このとき、アビ子の非を咎める頼子に対して言った言葉が、「そういうの5000万部売ってから言ってもらえます?」だ。10万部売れれば成功と言われている漫画業界。「それを言われて言い返せる漫画家は今この業界にほとんどいない。本当に無敵の返しよ」と言う頼子だが、彼女も黙っていなかった。「でも、悪いけど私の方が面白い漫画描いてっから!」と痛烈に言い返す。

結局言い争いの末にアビ子は「私は先生みたいに他人と上手くやれないんです! 私だって本当はみんなと…」と本音を漏らし、「歩み寄りなさい」と頼子は優しく諭す。このときの2人の本気のケンカには、「パワーワードの飛び交いがすごい」「人気作家のプライドのぶつかり合い」など多数のコメントが集まり、第2期屈指の反響シーンとなっていた。

有馬かなと黒川あかねのレスバ勃発

第十六話「開幕」では、黒川あかね(CV.石見舞菜香)と有馬かな(CV.潘めぐみ)のレスバが勃発。大人気ない傷口のえぐり合いが反響を呼んだ。

自他共に認める犬猿の仲にあるかなとあかねだが、姫川大輝(CV.内山昂輝)からの情報で、あかねが自分に憧れて演劇の世界に入ったと知ったかなは、「私が大好きならそう言ってくれたいいのにー。ごめんねー。私はあなたのことが全然好きじゃなくてごめんねー。一方通行の思いでごめんねー」とうれしそうに容赦なくいじり倒す。

からかい上手のかなに対し、煽り耐性の低いあかねに勝ち目なし…と思いきや、「ピーマン体操が代表作なくせに!」と強烈なカウンターが炸裂。グハッと吐血するかなだったが、負けじと「そっちだって代表作は恋愛リアリティーショーでしょーが!!」とクロスカウンターを決めていく。

互いに過去の傷口をえぐり合うレスバには視聴者も笑いを誘われ、「かなの性格悪すぎてオモロww」「この煽りあい何度観ても笑う」などの反響が相次ぐシーンとなっていた。

大根役者だった鳴嶋メルトの成長と覚醒

第十七話「成長」では鳴嶋メルト(CV.前田誠二)の成長と覚醒が話題になった。メルトと言えば、第1期の「今日は甘口で」ドラマ編で見事な大根ぶりを見せてくれたモデル役者だ。

これまで顔の良さだけで適当に仕事をこなしてきたメルトだが、「今日アマ」の撮影時、アクアの迫真の演技に触れたことをきっかけに心を入れ替え、実力不足は自覚した上で、二度と自分がダメなせいで作品を台無しにしたくないと演技に本気で取り組んできた。そんなメルトに送ったアクアのアドバイスは、「演技が下手に思われているならそれを活用する」こと。

本番でこれを実践したメルトは、最大の見せ場である1分間に自分の全てを注ぎ、覚醒する。強いと思っていた自分が本当は全然弱いと気づいた役(ギザミ)の気持ちに、劣等感に打ちのめされた自分の“悔しい”という感情を乗せた気迫の感情演技で会場を飲み込んでみせる。

アートな作画で描いた心理描写も相乗して、メルトの覚醒はとても印象的なシーンに。客席ではメルトが台無しにしたドラマ「今日アマ」の原作者・頼子が感動の涙を浮かべていた。メルト一色に染まったこの回には、「アニメ化ならではの神演出」「凄すぎて目ん玉飛び出た」「アニメじゃなくて絵画とかアートのレベルだった」といったメルトを称えるコメントが溢れていた。

元天才子役の復活とアクアの復讐への覚悟

第十九話「トリガー」では、元天才子役の有馬かなが鮮烈な復活を遂げた。あかねから「本気のかなちゃんに勝ちたい」と演技対決を挑まれても受けの演技を変えなかったかなだが、「有馬がやりたい芝居を見てみたい」というアクアに背中を押され、子役時代に一世を風靡した太陽の演技を取り戻す。

衆目の主役に躍り出たかなの輝きは舞台を照らし、観客を魅了する。そして、帰ってきた“推し”にあかねは「かなちゃん…かなちゃん…」と胸をときめかせる。SNSでは「太陽のかなちゃん復活」「きらきら満点のかなちゃん最高」「推しに大興奮の限界オタクw」など、多くのコメントが並ぶ大反響シーンになっていた。

一方、かなの背中を押したアクアは自らパニック症状のトリガーを引くことで、かなとは真逆の闇の演技を披露する。芝居を楽しむことを捨て、復讐のためだけの茨の道を選択したアクアの姿に、「しんどくて見てられない」「アクアの覚悟がつらすぎる」などのコメントが寄せられる。しかし、そもそもアクアが芸能界に入ったのは、アイを殺した者に復讐を果たすためである。舞台「東京ブレイド」に参加しているのも、劇団ララライに生前のアイと関係する人物がいるらしいからだ。

今後は舞台の行方と同時に、アクアの復讐の行方も気になるところ。また、B小町の活動再開にも期待がかかる。現在はかなが舞台中のため、ルビー(CV.伊駒ゆりえ)、MEMちょ(CV.大久保瑠美)はほとんど出番のない状況が続いているが、アイドルステージの上で輝くルビーたちの姿も早く見たいものだ。

「【推しの子】」第1期、第2期はABEMAで全話無料配信中。

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